2025年3月14日よりトルコ・コンヤにて開幕した『2025ネーションズカップ』。
大会最終日に行われた男子スプリントは、マシュー・リチャードソンが予選で世界新を記録(その後に取り消し)し、そのまま金メダルを獲得。中野慎詞、山﨑賢人を含めたレースの模様をレポートする。
男子スプリント
今大会は予選(トップ4はシード)⇒1回戦⇒2回戦⇒準々決勝(ここから2本先取)⇒準決勝⇒決勝の勝ち上がりとなる。
日本からは、前日のケイリンと同じく山﨑賢人・中野慎詞の2人が出場した。
そのほか、イギリスのエースであるマシュー・リチャードソン、ヨーロッパ選手権の銅メダリストであるライアン・エラル(フランス)、前日のケイリンで金メダルを手にしたムハマド・シャー シャロームら全40人がこの種目に集った。
予選 200mFTT
“超高速バンク”で驚愕のタイム 日本人2人は自己ベスト
助走ありの200mタイムトライアルで行われた予選。山﨑、中野は共に自己ベストを更新するタイムを記録。予選をそれぞれ突破した。
会場を驚かせたのは最終走者のマシュー・リチャードソン(イギリス)。現世界記録の9秒088を上回る9秒041をマークし、世界新記録を樹立した。
予選順位 | 選手名 | 所属 | タイム |
1位 | マシューリチャードソン | イギリス | 9.041 ※ |
2位 | レイ・ホフマン | オーストリア | 9.218 |
3位 | ハリー・レディンガムホーン | イギリス | 9.317 |
9位 | 中野慎詞 | 日本 | 9.479 ※自己ベスト |
17位 | 山﨑賢人 | 日本 | 9.592 ※自己ベスト |
※後にUCIの調査により「最後の数メートルがコース外(ブルーラインの下)で走行」されていたため、このタイムは無効と発表。なお、予選の順位は1位のままとなった。
Matthew Richardson’s world record time in the flying 200m was later voided by the UCIhttps://t.co/jWB7XoBy7x
— Cycling Weekly (@cyclingweekly) March 16, 2025
1回戦 中野が快勝 山﨑は僅差で勝利
中野は予選24位のデイヴィットベッカム・エレカトーチンゴ(インド)との対戦を制して2回戦へ。
山﨑は予選16位のサム・デイキン(ニュージーランド)との対戦。2人が何度か横並びでぶつかるようなレースになったため、一旦やり直しが発生したが、再走では山﨑が写真判定の結果勝利。2回戦進出となった。
2回戦 山﨑は世界最速との戦い 中野は小細工無しのレースで勝ち上がり
山﨑は第1組で予選トップ、世界新を記録したマシュー・リチャードソンとの対戦となった。
レースは山﨑が前、リチャードソンが後ろで進んでいく。山﨑としては何とか先行して攻めたいところだが、リチャードソンが後ろに張り付きスピードを上げていくことができない。
最終周回に入るとバンクの形状を利用するために上部に上がった山﨑。そしてこのタイミングを逃さなかったリチャードソンが空いた内側を攻めて前後が変わる。
前に出たリチャードソンが加速していくと、山﨑は前に追いつくことが出来ずに2着。2回戦勝ち上がりはならず。
中野は第8組。予選8位のヌジサネ・フィリップ(トリニダード・トバゴ)と対戦。タイムがほぼ同じの両者の戦いは小細工無しのスピード勝負となった。
スタートからスピードを上げていく中野、そして後輪に付けるフィリップ。特に上下に動いていくようなことも無く、中野がスプリント体制に入ると、外からはフィリップが仕掛けていく。
最終ストレートに入ってもフィリップに近寄らせなかった中野が先着して準々決勝へと勝ち抜けを決めた。
準々決勝 再びリチャードソンの壁
1本目、中野が前でスタート直後からスピードを上げて行くが、ピッタリと付けて追っていくリチャードソン。最終周回に入りスピードを上げた中野だったが、後ろからリチャードソンが仕掛けていくと一気に中野の前に出て先着。1本目をリチャードソンが得る形となった。
2本目はリチャードソンが前、そして5~6車身ほど大きく離れて中野となってレースが進む。
1本目と同様に最初から加速し始めた2人。1周を過ぎると通常のスプリントレースでは見られないようなスピードで両者が進んでいく。
最初に仕掛けたのは中野で、リチャードソンとのギャップを詰めにいくが、この動きを嫌ったリチャードソン。中野の加速に合わせて車間をキープして加速していき、最終周回へ。
お互いがフルスピードになると中野はリチャードソンを捕まえられずに先着を許す結果に。リチャードソンがストレートで中野を下して準決勝進出を決めた。
決勝 イギリス勢の頂点争い
決勝のカードはマシュー・リチャードソン対ハリー・レンディンガム ホーンのイギリス勢の戦い。ここまで圧倒的なスピードを武器にストレートで勝ち上がってきたリチャードソン。決勝でもその速さに注目が集まった。
レースはその通りリチャードソンがスピードで圧倒。ネーションズカップの王者の称号を得る形となった。
3位にはレイ・ホフマン(オーストラリア)との対戦を制したライアン・エラル(フランス)。
順位 | 選手名 | 所属 | |
1位 | マシュー・リチャードソン | Matthew Richardson | イギリス |
2位 | ハリー・レンディンガム ホーン | Harry Ledingham-Horn | イギリス |
3位 | ライアン・エラル | Rayan Helal | フランス |
8位 | 中野慎詞 | 日本 | |
15位 | 山﨑賢人 | 日本 |