新たな挑戦 苦しみの末に金メダル獲得

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選手インタビュー

長迫吉拓

Q:久々の実戦で優勝。いまの気持ちをお聞かせください。

どんな大会でも、優勝するのは嬉しいですね。3走が(中野)慎詞に代わって、どんなチームになるのかなと思っていましたが、2本目でかなり良いタイムを出すことができて、今後ステップアップできるきっかけになったんじゃないかと思います。

Q:ベテランの長迫選手から見て、中野選手はいかがでしたか?

僕は個人種目には出ないのでわからない部分もありますが、チームスプリントならではの、失敗できないという責任感や怖さがあったと思います。ベストを出すのが難しいし、3人の息を合わせるというのは難しいですが、それをしなくてはいけないのがチームスプリント。それを少し確認できたのかなと思います。この経験はケイリンにも活きてくると思います。

Q:ご自身のタイムとしてはどんな感触でしたか?

(今回は)17秒53がベストでしたが、もう少し早く走れるかなという期待はありました。スタートゲートがいつもと違うタイミングということもあり、映像から自分のタイムを測ると悪くはなかったので、次のネーションズカップに向けて良い刺激になりました。

Q:2024年を終えて、モチベーションの維持も難しい部分もあったと思います。

世界選手権が終わってから気持ちが少し緩んだ部分もありましたし、体重もいま落ち始めたくらいのタイミングです。今後に向けて、ダイエットがうまくいけばタイムも上がっていくと思うので、楽しみです。

Q:1回戦のパフォーマンスは、今後に向けてすごく期待できる内容でした。

42秒7っていうタイムは、パリオリンピックの1年前にようやく出せたタイムでした。いま、次のオリンピックまで3年あるなかで、このタイムを出せたというのは、良いことだと思います。

一方で、オリンピック以外の舞台ではこれよりも良いタイムをなかなか出せていないので、42秒5の壁を早く破りたいです。

太田海也

Q:優勝おめでとうございます。

ありがとうございます。自分のなかでは、技術的にはまだまだと感じたレースもありましたが、2年前にこのバンクで走った時のタイムと比べると3本とも上回ることができました。その点では、底上げができていることを実感でき、自信がつきました。

Q:オリンピックを終えてモチベーションも難しい中で、2025年最初の種目で優勝。この結果についてはどう考えますか?

オリンピックでの経験もあるので、アジアでは絶対に負けないという気持ちで来ています。当たり前の結果を出した、と言いたいところですが、やっぱり嬉しいですね。

Q:中野慎詞選手が入っての新しい編成となりました。

見ていただいてもわかるように、大きな可能性を秘めたチームだと思います。今後も、こういうチームでやっていけるのが楽しみです。

Q:ご自身のタイムとしてはいかがでしょうか?

いまの体のコンディションで、オリンピックと遜色ないタイムで走れているというのは、悪くないと思います。

Q:優勝が決まった瞬間はいかがでしたか?

喜びすぎないようにしようと思っていたのですが、ガッツポーズが出てしまいましたね(笑)

Q:これで、気持ちよく個人種目に出場できるのではないでしょうか?

3種目に出場するので、3冠ができるように、しっかりと集中して走っていきたいと思います。

中野慎詞

Q:レースを終えての率直な感想をお聞かせください。

ほかの2人はオリンピックに出場し、ネーションズカップや世界選手権でもメダルを獲っているチームの一員。チームとしては最低限優勝しなくてはいけないなか、小原さんの代わりとして入る形だったので、なんとしてでも優勝に貢献したいと思っていました。

Q:予選が走る前から、緊張の色が見えた気がします。

やるしかない、といういつもの精神ではありましたが、予選は不安もありました。この速いチームでの出場、というのが初めてだったので、どんなスピードで走るのかというのは未知の世界で、焦りもありましたね。落ち着きのない走りにになってしまっていたと思います。

Q:そこから、1回戦ではタイムも大きく伸ばしてきました。

予選で(2走の太田海也から)ちぎれてしまって43秒5だったので、ちぎれなければ良いタイムが出せるという確信はありました。余裕でついていけるわけではなく、スタートからすべてマッチしてついていけるような実力なので、とにかく落ち着いてレースをしようと思っていました。

(長迫)吉拓さんや(太田)海也からは、「オリンピックでは良いタイムだったが、それまでは42秒7がひとつの目安だった」と聞いていたなか、1回戦でそのタイムを出すことができて、自分の力をアピールできたのかなと思います。

Q:決勝ではプレッシャーもあったと思います。

1回戦で良いパフォーマンスを出せたので、自信を持って臨みました。ギリギリのなかの戦いで、余裕がないレースになってしまいました。ちぎれてしまって、良い形で終わらせることができなかったのが悔しいです。

Q:ご自身で感じるいまの課題は?

スタートして、60mからバックにかけての加速です。チームの中で劣っていて、そこで差が開いてしまうというのが大きな課題だなと思います。

Q:それでも、42秒7というタイムは自信につながるのでは?

そのタイムで走れるくらいまで成長したんだという喜びもありました。ただ、もう少し良い形で前につければもっとタイムを出せるという改善点も見つかりました。3本中1本しか良い走りはできませんでしたが、いろいろと課題が見つかるレースだったと思います。

Q:今後に向けて良いステップになった?

はい。今後、世界で戦っていくうえで、チームスプリントでメダルを獲りたいという気持ちが出てきました。少しずつ自分の力も上がってきて、少しずつ先が見えてきました。

Q:個人種目も思い切っていけそうですね。

スプリントとケイリンに出るので、そこでも金メダルを目指して戦っていきたいです。