『朝日新聞社杯競輪祭』。通称”競輪祭”と同時開催になっている競輪祭女子王座戦。
このレースに勝てば年末の「ガールズグランプリ」への切符が手に入る大一番。
去年が初開催だった女子王座戦。2回目のチャンピオンを決める戦いは11月21日20時30分に行われる予定となっている。
既に大会2日目を終え、決勝に残ったメンバーは日本ナショナルチームから2024ケイリン世界チャンピオンの佐藤水菜、2番車に久米詩、3番車はナショナルチームを9月に引退したばかりの太田りゆ、4番車に當銘直美、続いて11月にナショナルチーム引退を表明した梅川風子、尾崎睦、最後の7番車は、6月に今年はここまで唯一のGI開催となった第2回パールカップを制した石井貴子。
決勝までの2日間で圧倒的強さを見せて勝ち上がってきた佐藤水菜。大一番のレ―スの前に改めて佐藤に注目する。
初日も準決勝(2日目)も逃げ切り
競輪祭女子王座戦の開幕レースとなった初日の第1レース。最終周回前の3コーナー辺りでは6番手だった佐藤が加速していくと、一気に最終周回に入った時点で先頭。そのままスピードを落とすことなく逃げ切ってしまった。
準決勝となった2日目、初日と同様に6番手で最終周回前の3コーナーを過ぎた辺りから仕掛けた佐藤は、一気に前を抜き去って先頭に出ると、前を譲らずに1着。距離にして500mほどを駆け抜けていった。初日と準決勝で同じようなレースをしたことで、同じような展開では誰も佐藤を捕まえられないことが改めて証明されるレースとなった。
強さの理由 3つの鍵
この強さの理由はたくさん挙げられると思うが、敢えて3つに絞ってみたい。1つ目は世界選手権後の休暇を挟み身体がリフレッシュされていること。2つ目に小倉競輪場は屋内バンクのため外的要因(風向きや気温の影響)を受けずに走れることで競技の時に似た環境になっていること。最後にナショナルチームでの普段の練習によって500mは踏み続けることができる身体になっていること。
上記3つの鍵によって、佐藤が普段通りの実力を出しやすい環境になっているのではないだろうか。そして普段通りの実力を出せば、世界チャンピオンは最も強い選手ということだ。
だが決勝メンバーには同じくナショナルチームで凌ぎを削り、世界選手権ではファイナリストにまでなった梅川風子(第1回の競輪祭女子王座戦のチャンピオン)、そしてパリ五輪に出場した太田りゆを含め強豪が名を連ねた。世界チャンピオンであり、2023年のガールズグランプリも制した佐藤水菜、その佐藤は誰もが警戒する選手なだけに、佐藤を中心に決勝戦が展開されることは間違いないだろう。
しかし競輪の面白さは単純な強さだけが結果に反映されるのではなく、戦術やレース展開が結果に大きく影響を与えるところでもある。
レースの末に佐藤に新たなタイトルがもたらされるのか、それとも他の選手がガールズグランプリへの切符を手にするのか。20時30分に発送予定のレ―スの行方に注目したい。
準決勝終了後コメント
Q:初日に続き準決勝も長い距離の仕掛けになりました。
打鐘で石井(寛子)選手が抑えてきたところで、しっかりと勝負師として戦いにいけたと思います。1着になれたのは奇跡というくらい當銘(直美)選手が強かったです。明日優勝するには、チャンスを見つけていく必要があると思います。
Q:世界選手権で金メダルを獲ったことは、日本の競輪にも繋がっていますか?
HPCJCのサポートも手厚いですし、スタッフの皆さんが尽力してくれていたり、企業の方もサポートしてくれていることは本当にありがたいことだなと思います。さらに、全国からファンの皆さんが駆けつけて声援をいただけて、ガールズケイリンの魅力を感じることができています。競技を走ることのありがたみも、あらためて感じますね。
Q:2走してみて、体調面はいかがですか?
去年と比べると体調はいいですが、ここに向けて完璧に仕上げられているとまではいかないので、不安はあります。これまでやってきたことを信じて感張っていきます。
Q:昨年とは異なり、ガールズグランプリ出場権がない状態での決勝となります。
失うものはなにもないと思って、自分のやりたいことをやっていきたいです。
Q:決勝は1番車でのスタートとなります。
嬉しくも、難しい車番だと思います。しっかりと地力を出して戦いたいと思います。
優勝だけを考えて仕掛けが遅くなっても良くないので、自分のやりたいようなレースができたらと思います。