「トラック競技における革命」をテーマの1つに掲げ、2021年に初開催された『UCIトラックチャンピオンズリーグ』。
世界のトップ選手らを招待し、展開が早くルールが分かりやすい種目を実施するなど、既存のファンだけでなく新たな視聴者層の獲得にも注力している大会だ。
この記事では11月23日から開幕する2024年大会の出場選手をご紹介する。
日本から橋本英也が参戦
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「スプリントカテゴリー」と「エンデュランスカテゴリー」、男子と女子、それぞれ18選手が招待され合計72選手が出場する『2024トラックチャンピオンズリーグ』。
本大会へ、橋本英也が唯一の日本人選手として出場することが決定した。橋本にとっては2年連続2度目の出場となり、2023年大会では第1ステージにブルージャージ*を獲得する活躍を見せた。
※ブルージャージ:総合ポイント1位に与えられるジャージ
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『パリ2024世界選手権』や『2024世界選手権トラック』で活躍した選手たちと、全5ラウンドに及ぶリーグ戦を戦い抜く。
11月23日(土)の開幕戦から毎週金・土(現地)の週末に実施され、12月7日(土)のロンドンでフィナーレを迎える。
ヨーロッパ3都市の会場を巡る今大会期間中は、長期遠征状態となる本人のSNS等でも現地の模様が伝えられるかもしれない。ぜひご注目いただきたい。
男子スプリントカテゴリー
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強豪選手が名を連ねた男子スプリントカテゴリー。
日本選手やイギリスのジャック・カーリンらの名前はないが、オランダの世界最強スプリンターの2人や、マシュー・リチャードソンをはじめとする各国の強者が出場する。ケイリンのアルカンシェルを保持する日本にとって、2025年を見据えたライバル達の走りをチェックできる大会となりそうだ。
出場選手
選手名 | 国 | 主な戦績(2024年) | |
トーマス・コーニッシュ | Thomas Cornish | オーストラリア | 「世界選手権」チームスプリント2位 |
サム・デイキン | Sam Dakin | ニュージーランド | |
ライアン・エラル | Rayan Helal | フランス | |
レイ・ホフマン | Leigh Hoffman | オーストラリア | 「世界選手権」チームスプリント2位 |
ジェフリー・ホーフラント | Jeffrey Hoogland | オランダ | 「パリオリンピック」チームスプリント優勝 「世界選手権」1kmTT・スプリント2位、チームスプリント優勝 |
ハリー・レンディンガム ホーン | Harry Ledingham-Horn | イギリス | |
バシリー・レンデル | Vasilijus Lendel | リトアニア | |
ハリー・ラブレイセン | Harrie Lavreysen | オランダ | 「パリオリンピック」スプリント・ケイリン・チームスプリント優勝 「世界選手権」1kmTT・スプリント・チームスプリント優勝 |
クリスティアン・オルテガ | Cristian David Ortega Fontalvo | コロンビア | |
ニコラス・ポール | Nicholas Paul | トリニダード・トバゴ | |
ケビン・キンテロ | Kevin Santiago Quintero Chavarro | コロンビア | 「世界選手権」ケイリン3位 |
マシュー・リチャードソン | Matthew Richardson | イギリス | 「パリオリンピック」スプリント・ケイリン2位、チームスプリント3位 |
マテウス・ルディク | Mateusz Rudyk | ポーランド | |
テイト・ライアン | Tayte Ryan | オーストラリア | |
ムハマド シャー・シャローム | Muhammad Shah Firdaus Sahrom | マレーシア | |
ルカ・スピーゲル | Luca Spiegel | ドイツ | |
ジャイール・ジョンエンファ | Jair Tjon En Fa | スリナム | |
ミカイル・ヤコフレフ | Mikhali Yakovlev | イスラエル | 「世界選手権」ケイリン2位 |
【注目】ハリー・ラブレイセン(オランダ)
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オランダが誇る世界No.1スプリンター。
『パリ2024オリンピック』では短距離全種目を制覇。続く『2024世界選手権トラック』では3種目でアルカンシェルを獲得し、世界選手権における史上最多優勝記録を樹立した(16回)。
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2021年大会からの全3シーズンに出場しており、2度の総合優勝を果たしているラブレイセン。衰えることのない絶対王者は、どのように2024年を締めくくるのだろうか。
【注目】マシュー・リチャードソン(イギリス)
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『パリ2024オリンピック』でを獲得後、オーストラリアからイギリスへ移籍したマシュー・リチャードソン。
移籍もあってか『2024世界選手権トラック』では出場を見送っていたが、本大会ではイギリス選手としての参戦が決定した。

リチャードソンは2022年大会でハリー・ラブレイセンと熱戦を繰り広げ、総合優勝を勝ち取ったスプリンターであり、ラブレイセンに次ぐ世界トップスプリンターとして注目を集めてきた。
そんなリチャードソンにとって新たなスタートとなる本大会では、イギリスチームのLotusバイクを駆る姿が見られるかもしれない。
女子スプリントカテゴリー
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エルレス・アンドリュース
リー ソフィー・フリードリッヒをはじめとするドイツ勢の出場はないが、その他は世界選手権と同等もしくはそれ以上の激戦区となっている女子スプリントカテゴリー。
『2024世界選手権トラック』出場を見送っていたパリ五輪金メダリストのエルレス・アンドリュースが出場する。
出場選手
選手名 | 国 | 主な戦績 | |
エルレス・アンドリュース | Ellesse Andrews | ニュージーランド | 「パリオリンピック」ケイリン・スプリント優勝、チームスプリント2位 |
マーサ・バヨナ | Martha Bayona Pineda | コロンビア | |
アッラ・ビレツカ | Alla Biletska | ウクライナ | |
ソフィー・ケープウェル | Sophie Capewell | イギリス | 「パリオリンピック」チームスプリント優勝 「世界選手権」500mTT2位、チームスプリント優勝 |
クリスティーナ・クロナン | Kristina Clonan | オーストラリア | 「世界選手権」チームスプリント3位 |
ステファニー・クアドラードフロレス | STEFANY LORENA CUADRADO FLOREZ | コロンビア | |
ニッキー・デグレンデル | Nicky Degrendele | ベルギー | |
エマ・フィヌカン | Emma Finucane | イギリス | 「パリオリンピック」スプリント・ケイリン3位、チームスプリント優勝 「世界選手権」スプリント優勝、チームスプリント優勝 |
シェーン ヘーゼル・フルトン | Shaane-Hazel Fulton | ニュージーランド | 「パリオリンピック」チームスプリント2位 |
ルス ダニエラ・ガシオラ ゴンザレス | Luz Daniela Gaxiola Gonzalez | メキシコ | |
マチルド・グロ | Mathilde Gros | フランス | |
アリナ・リシェンコ | Alina Lysenko | AIN(個人中選手) | |
ケイティー・マーシャン | Katy Marchant | イギリス | 「パリオリンピック」チームスプリント優勝 「世界選手権」500mTT・ケイリン3位、チームスプリント優勝 |
レベッカ・ペッチ | Rebecca Petch | ニュージーランド | 「パリオリンピック」チームスプリント2位 |
アレッサ カトリオナ・プロップスター | Alessa-Catriona Propster | ドイツ | |
ヘッティ・ファンデヴォウ | Hetty van de Wouw | オランダ | 「パリオリンピック」ケイリン2位 「世界選手権」スプリント・ケイリン・チームスプリント2位 |
ステフィー・ファンデルピート | Steffie van der Peet | オランダ | 「世界選手権」チームスプリント2位 |
ミリアム・ヴェチェ | Miriam Vece | イタリア |
【注目】エルレス・アンドリュース(ニュージーランド)
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『東京2020オリンピック』でケイリン銀メダルを獲得した後、『パリ2024オリンピック』ではケイリン・スプリントの2冠を達成し、チームスプリントでも銀メダルに貢献。強豪選手のうちの1人から、表彰台常連選手へと成長を遂げたスプリンターだ。
『2024世界選手権トラック』では出場を見送っていたアンドリュースが、チャンピオンズリーグの舞台に戻ってくる。
【注目】エマ・フィヌカン(イギリス)
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アンドリュースと同じく、2022-2023年シーズンから世界選手権やネーションズカップの表彰台常連選手へと成長したイギリス短距離チームのエース。
『パリ2024オリンピック』個人種目ではアンドリュースらに敗れ金メダルには至らなかったが、アンドリュース不在の『2024世界選手権トラック』ではスプリント2連覇を達成。
自身初のチャンピオンズリーグ総合優勝を狙う。
UCI TRACK CHAMPIONS LEAGUE NEWS(2024年11月7日)
男子エンデュランスカテゴリー
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橋本英也が参戦する男子エンデュランスカテゴリー。
パリ五輪メダリストの出場はなく、現アルカンシェル保持者の出場も1人のみ。
世界選手権のメダルホルダーら、強豪選手の走りを窺いつつ各選手が牽制し合うのか。はたまた各選手がステージ優勝を目指し、積極的なアタック合戦が繰り広げられるのか。レースの動きにも注目したい。
出場選手
選手名 | 国 | 主な戦績 | |
ブレイク・アニョレット | Blake Agnoletto | オーストラリア | |
ディラン・ビビック | Dylan Bibic | カナダ | 「世界選手権」エリミネーション2位 |
リンジー・ド ヴィルダー | Lindsay De Vylder | ベルギー | 「世界選手権」オムニアム優勝、マディソン2位 |
ロイ・エイフティング | Roy Eefting | オランダ | |
トビアス・ハンセン | Tobias Hansen | デンマーク | 「世界選手権」スクラッチ2位、エリミネーション・チームパシュート優勝 |
橋本英也 | 日本 | ||
フィリップ・ハイネン | Philip Heijnen | オランダ | 「世界選手権」ポイントレース3位 |
キーガン・ホーンブロー | Keegan Hornblow | ニュージーランド | |
クラウディオ・イムホフ | Claudio Imhof | スイス | |
グラント・クーンツ | Grant Koontz | アメリカ | |
ピーター・ムーア | Peter Moore | アメリカ | |
オスカー・ニルソン ジュリアン | Oscar Nilsson-Julien | フランス | |
ウィリアム・ペレット | William Perrett | イギリス | |
クリモン・プティ | Clement Petit | フランス | 「世界選手権」スクラッチ3位 |
フィリップ・プロコピシン | Filip Prokopyszyn | ポーランド | |
ウィリアム・ティドボール | William Tidball | イギリス | |
アレックス・フォーゲル | Alex Vogel | スイス | |
ティム・ウェフラー | Tim Wafler | オーストリア |
【注目】トビアス・ハンセン(デンマーク)
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2023年・2024年の世界選手権でチームパシュート2連覇を達成したデンマークチームの1人。
近年は個人種目でも好成績を残しており、自国開催の『2024世界選手権トラック』ではチームパシュートの金メダルに加え、エリミネーションで金、スクラッチで銀メダルを獲得する活躍ぶりを見せた。
【注目】ディラン・ビビック(カナダ)
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自身19歳で出場した『2022世界選手権トラック』ではスクラッチで窪木一茂らを下し、アルカンシェルを獲得。
『2024世界選手権トラック』でもエリミネーションで銀メダルを手にしており、若手ながらも表彰台常連になりつつある選手だ。
女子エンデュランスカテゴリー
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強豪のアメリカ・イタリア・ニュージーランド・ベルギーのスター選手が出場を見送るなか、イギリスがエースメンバーで参戦。
イギリスと同じくアイルランドからも4選手が出場する本大会。世界選手権やオリンピックでは、通常1種目につき国ごとに1人までしか出場できない中長距離・個人種目だけに、本大会では同国選手同士の連携もあるかもしれない。
出場選手
選手名 | 国 | 主な戦績 | |
ヤレリ・アセヴェド メンドーサ | Yareli Acevedo Mendoza | メキシコ | |
ケイティ・アーチボルド | Katie Archibald | イギリス | 「世界選手権」マディソン3位、チームパシュート優勝 |
オリビア・バレイシュテ | Olivija Baleišytė | リトアニア | |
ルーシー ベネジット・ミンス | Lucy Bénézet Minns | アイルランド | |
エイリン グレイス・クレイトン | CREIGHTON Erin Grace | アイルランド | |
サマンサ・ドネリー | Samantha Donnelly | ニュージーランド | |
ネア・エバンス | Neah Evans | イギリス | 「パリオリンピック」マディソン2位 「世界選手権」マディソン3位、チームパシュート優勝 |
ララ・ギレスピー | Lara Gillespie | アイルランド | |
ミア・グリフィン | Mia Griffin | アイルランド | |
エレン・クリング | Ellen Hjøllund Klinge | デンマーク | |
アンナ・モリス | Anna Morris | イギリス | 「パリオリンピック」チームパシュート3位 「世界選手権」個人パシュート・チームパシュート優勝 |
ジェシカ・ロバーツ | Jessica Roberts | イギリス | 「パリオリンピック」チームパシュート3位 「世界選手権」オムニアム2位、チームパシュート優勝 |
シベール・シュナウダー | Cybèle Schneider | スイス | |
ペトラ・セフチコヴァ | Petra Sevsikova | チェコ | |
アニータ イボンヌ・ステンバーグ | Anita Yvonne Stenberg | ノルウェー | 「世界選手権」オムニアム3位 |
ノラ・ティヴィート | Nora Tveit | ノルウェー | |
サラ・バンダム | Sarah van Dam | カナダ | |
エブティッサム・ザイード | Ebtissam Zayed | エジプト |
【注目】ケイティ・アーチボルド
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『2023トラックチャンピオンズリーグ』女子エンデュランスカテゴリー総合優勝者。
直前の怪我で『パリ2024オリンピック』への出場を逃していたアーチボルドだったが、パリから約1ヶ月半後の復帰戦となった『2024世界選手権トラック』では、マディソン・チームパシュートでメダル獲得。
好調さを取り戻したイギリスチームのエースが、自国(ロンドン)で開催されるチャンピオンズリーグのフィナーレで再びブルージャージを勝ち取ることができるのか、要注目だ。
UCI TRACK CHAMPIONS LEAGUE NEWS(2024年11月5日)
「放送予定情報」や選手のSNSもチェック
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11月23日から開幕する『2024UCIトラックチャンピオンズリーグ』。2021年の初開催から2023年までの3大会では、日本でも視聴可能だった。
2024年大会における放送予定の詳細は明らかとなっていないが、発表があり次第お伝えしていく予定だ。
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— Eiya Hashimoto (橋本英也) (@Eiya_Hashimoto) October 31, 2023
放送情報とあわせて、出場選手のSNSも要注目。通常の国際大会と異なり、各国チームスタッフの同伴がないのも本大会の特徴の1つ。毎年、各選手による他国同士の交流や現地を楽しむ様子が、大会公式SNSで取り上げられることもある。
エンタメ要素の強いトラックチャンピオンズリーグを楽しんでほしい。
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