男子マディソン

2/2 Page

窪木一茂 & 今村駿介

Q:レースを振り返っていかがですか?

今村:前半から前にいることはできたんですが、細かなミスを僕がメインにしてしまいました。良い位置取りを提げてしまったことが、上位争いができなかった要因だと思います。

窪木:最後の40周30周で今村に冷静な声かけができませんでした。キツいところで踏ん張るような時こそ「メダルいけるぞ!」と声をかけるべきでしたが、口が乾いてお腹も痛くて、できませんでした。そこでの一声があれば僕も今村も復活できて、メダルが獲れたんじゃないかと思います。

Q:中盤で暫定3位まで浮上しました。

今村:最近は窪木さんが仕掛けてくれるので、僕はついていくだけでした。前の選手に食らいつくことが僕の仕事です。しかし窪木さんに頼らず、きちんと「2人1組」でレースをするという点が足りなかったなと思います。

Q:窪木選手にとってはリオオリンピックぶりのオリンピックでした。

窪木:リオオリンピックの時とは比べ物にならないほど自信もありますし、恐れるものもなくしっかり勝負ができました。周りのサポートのおかげもあり、最高のパフォーマンスだったし、日本の皆さんにも「日本がやるんじゃないか」と思わせることができたならすごく嬉しいです。悔いはありません。

Q:チームを引っ張ってきた窪木選手は、どのような背中ですか?

今村:マディソンで長くペアを組んできて、たくさん勉強させていただいてきました。今回チャンスが巡ってきましたが、金メダルを獲りたいとは思いつつ物おじしてしまう部分もあった。その気持ちの差で窪木さんに遅れを取っていたと思うし、世界に差をつけられた部分だったと思います。力不足を感じて悔しいです。

Q:この経験を次にどう活かしていきますか?

窪木:僕たちの勇気、元気、やる気を感じ取っていただいて、明日からの糧にしてもらえれば、僕たちのやってきたことは無駄じゃなかったと思います。また日本チームで「4年後」を作り上げてもらえたらと思います。

今村:上位争いをするためにここまでやってきて、細かな技術を磨いてきました。この1日は忘れられないですし、窪木さんの背中を追って世界に肉薄することができたと思います。まだやれることはいっぱいあるなと思います。

窪木:走ってる途中で思ったんです。去年だったと思いますが、ブノワ(・ベトゥ テクニカルディレクター)が「日本がマディソンでメダルを獲ることは奇跡に近い」と言っていたんです。今回レース前、2人でそのことを話しました。それで暫定3位になった時に「奇跡を起こしてやろう」って思いましたね、叶わなかったんですが。

今村:でもこの4年間でそう思えるようになったことが、「少しは近づけた」ということだと思います。できないことはないって、少しは示すことができた。次の4年間でもっともっと力をつけて、あっと驚くような結果を残せたらと思います。

Q:改めて、この結果をどう受け止めていますか?

窪木:日本の自転車界が進歩したと言えると思います。そしてコーチ陣にも感謝したいです。ダニエル(・ギジガー)、ブノワ、本当に身を犠牲にして応援してくれていました。今回も直前で橋本(英也)くんから「調子の良い今村に」と変更になって、僕も複雑な気持ちでしたし、彼も落ち込んでいたと思いますが、橋本くんも最後に背中を押してくれました。選ばれなかった兒島(直樹)選手、松田(祥位)選手の分も頑張れたのかなと思います。

今村:もっと詰めればより戦えると思うし、脚力をつけたいと感じます。リザーブとして準備はしていましたが、やっぱりどこか正選手へ任せるような気持ちがありました。気持ちの面で準備ができていなかった部分もあったと思います。窪木さんは本当にキツいところでアタックしてくれました。「やるしかない」と思ってはいたけれど引っ張ってもらうような形になり、窪木さんにも、(橋本)英也さんにも……チームとして「みんなで」強くなってきて、その代表として走ったのに、歯痒いです。

Q:窪木選手は3種目を走り終えました。全体を通しての評価を聞かせてください。

窪木:僕はオリンピックは2回目ですし、みんなより経験年数は多い。3種目引っ張るつもりでやってきて、メダルこそなかったもののパフォーマンスは発揮できたと思います。「日本の中長距離チームは世界で戦える」と示すことが僕の存在意義だったと思うので、それができたかなと思います。

次のレース予定

いよいよトラック競技およびパリオリンピック最終日、8月11日。女子オムニアム、女子スプリント、男子ケイリンが行われる。

2024パリオリンピック 自転車トラック競技レーススケジュール

配信情報はこちらの記事よりご確認を。

パリ2024オリンピック 自転車競技5種目スケジュール・テレビ放送予定