2024年8月9日、パリオリンピックの自転車トラック競技種目の5日目には女子スプリントが開催。前日まで行われていた女子ケイリンに続き、日本から佐藤水菜と太田りゆが出場した。ケイリンでのメダル獲得は成らなかった2人が自身の最終種目にメダル獲得を懸けて臨む。

スプリント

予選は200mFTT(助走なしの200mタイム測定)。

予選のタイムをもとに本戦(対戦ラウンド)の組み合わせが決定し、勝ち上がり戦が行われる。

本戦はトラック3周、1対1で先着を争う。どんなに強靭な選手でも3周を全部フルパワーで走ることはできないので、どのタイミングで前に出るのかの駆け引き、そして一気にハイスピードになる高速バトルが見どころの種目。

予選 重なるオリンピック記録の塗り替え
3度の世界新の更新

30人が出走し、24人が予選を突破できる。たかが予選と捉えられがちなタイムトライアルだが、本選での対戦相手が予選の結果によって決まるため、この予選の結果が、勝ち上がるためには重要な要素となる。

参考記録集

これまでの世界記録:10秒154(ケルシー・ミシェル、2019)
これまでのオリンピック記録:10秒310(リー ソフィー・フリードリッヒ 2021)
これまでのアジア記録:10秒387(リー・ワイジー、2019)
これまでの日本記録:10秒479(佐藤水菜、2024)

予選10番目に出走したのは太田りゆ。勢いをつけて200mを駆け抜けると、そのタイムは10秒659。この時点で予選突破を決めた。

佐藤は16番目に出走し、なんと暫定トップとなる10秒257を記録。そして強豪を残してはいたもののオリンピック記録も更新した。

その後にはエマ・フィヌカン(イギリス)、リー ソフィー・フリードリッヒ(ドイツ)、前日のケイリンで金を獲得したエルレス・アンドリュース(ニュージーランド)が世界記録&オリンピック記録を更新していったが、佐藤のスピードが世界レベルだということをタイムで証明した。

予選トップ3+日本選手結果

順位 選手名 所属 タイム
1位 リー ソフィー・フリードリッヒ FRIEDRICH Lea ドイツ 10.029
※世界新
2位 エマ・フィヌカン FINUCANE Emma イギリス 10.067
※世界新
3位 エルレス・アンドリュース ANDREWS Ellesse ニュージーランド 10.108
※世界新
7位 佐藤水菜 日本 10.257
※日本新
20位 太田りゆ 日本 10.659

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1回戦

太田(予選20位)の相手は開催国のエース、2022世界チャンピオンのマチルド・グロ(フランス:予選5位)。

太田は後ろから攻めていく形となった。両者が見合ってレースが進んでいくが、残り2周を切って太田が加速して先頭へ出ていく。

前に太田、後ろにグロとなったレース。太田が加速していくが、距離を空けずにグロが追っていく。最終周回に入るとグロが太田をかわしていき、太田は粘れず後退。グロが先着し、太田は敗者復活戦回りとなった。

佐藤(予選7位)も開催国の500mタイムトライアルチャンピオン、タキ マリー ディヴィン・クアメ(フランス:予選18位)との戦い。

佐藤は前でゆったりとレースを進めていくと1周を過ぎてクアメが前に出ていく。そこからはクアメが徐々にスピードを上げていくと、最終周回に入って両者がスプリントを始める。自転車2台分ほどの距離を置いていた佐藤が加速し始めたのは1コーナーを過ぎてから。一気にクアメに並ぶと最終ストレートで完全に前に出て先着。2回戦進出を決めた。

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1回戦敗者復活戦

敗者復活戦は3人1組のレースで1人のみが2回戦へと復活できる。太田は最終4組となり、対戦相手はローリン・ジェネスト(カナダ)とニューラル・モフダスリ(マレーシア)。

モフダスリ、太田、ジェネストの順でレースが開始すると、残り2周で太田が前へと出ていく。太田、後ろの2人と同時に仕掛けていったのは最終周回に入ってから。まずはジュネストが前に出ていくと、太田とモフダスリがジェネストを追っていく。追いかける2人だったが、最初に失速していったのは太田。最終ストレートで前の2人に追いつくことが出来ずに3着。太田の始めてのオリンピックが終了する結果となった。

この組から勝ち上がったのはジェネストで、2回戦へと復活を果たした。

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2回戦

佐藤の相手は東京2020の金メダリスト、ケルシー・ミシェル(カナダ:予選10位)。強敵との一戦となった。

前に佐藤、後ろにミシェルでレースがスタートすると佐藤がゆっくりと前で進んでいく。1周ほど進み、佐藤が内側を空けるとミシェルが位置を変えて前へと動いていく。ミッチェルが前に出るとレースは一気にスピードアップしていく。

前で徐々にスピードを上げるミシェルに対し、バンクの上部でグングンとスピードを付けていく佐藤。残り1周で一気に後方から傾斜を利用した佐藤がミシェルに仕掛けていくと、残り半周で並び掛け、そして最終ストレートで抜け出して先着。

東京2020のスプリントチャンピオンを倒して3回戦進出を決めた。

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選手コメント

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