2024年8月8日、パリ2024オリンピックの自転車トラック競技種目の4日目には男子オムニアムが開催。1日で4種目を行うタフな種目には、日本からチーム最年長の窪木一茂が出場。窪木は終盤に追い上げる底なしの体力を見せて6位の結果を残した。優勝は開催国の強豪ベンジャミン・トマ(フランス)。満員となった会場で金メダルを獲得し、4年に1度の祭典の王者となった。
オムニアム
4種目を行いその総合成績を競う、オムニアム。
レースに勝つための「スピード」「持久力」はもちろん、展開を読む「頭脳」も必要な総合力が試される種目。
この種目には世界各国から24人が出場。日本からは窪木一茂がリオデジャネイロ2016オリンピック以来8年ぶりの出場となった。前回の窪木の成績は14位。今大会ではメダル獲得を目指す。
スクラッチ 窪木が見事なスプリント力を発揮
1種目はスクラッチ。定められた距離を走り着順を競う。
レースはトラック40周、10kmの戦い。高速で展開するレースとなったが、大きな動きは中盤に起こる。開催国のベンジャミン・トマ(フランス)、ニクラス・ラースン(デンマーク)、ファビオ・ファンデンボッシェ(ベルギー)、ヤン ウィレム・ファンシップ(オランダ)と強豪4人がアタックを成功させてメイン集団を1周追い抜きすることに成功する。窪木は集団内で動くことが出来ず。最後は集団でのスプリント勝負となるが、残り2周から良い位置を得た窪木が一気に加速すると、他の選手たちを引き離して単独でフィニッシュ。見た目は1着となったが、先に集団を1周追い抜きしていた4人がいたため、この種目を5位で終えた。1位はトマ(フランス)、2位はラースン(デンマーク)3位にファンデンボッシェ(ベルギー)の結果。
順位 | 選手名 | 所属 | |
1位 | ベンジャミン・トマ | THOMAS Benjamin | フランス |
2位 | ニクラス・ラースン | LARSEN Niklas | デンマーク |
3位 | ファビオ・ファンデンボッシェ | van den BOSSCHE Fabio | ベルギー |
4位 | ヤン ウィレム・ファンシップ | van SCHIP Jan Willem | オランダ |
5位 | 窪木一茂 | 日本 |
テンポレース
2種目目はテンポレース。毎周回フィニッシュラインを1着で通過した選手だけ1ポイントを得ることができる。さらに、集団を1周追い抜いた場合(ラップした場合)は20ポイントが加算され最終的な合計ポイントで順位が決定する。
この種目でも有力選手たちによるアタックが決まり、逃げ集団とメイン集団に分かれるが、窪木は逃げ集団に入れずポイント獲得は成らず。しかしながら「0」ポイントの選手たちの中でのスプリント勝負を制したため、この種目の順位を15位とした。1位はファビオ・ファンデンボッシェ(ベルギー)、2位はユリ・レイタオ(ポーランド)、3位はティム トーン・トウデンベルグ(ドイツ)。
順位 | 選手名 | 所属 | |
1位 | ファビオ・ファンデンボッシェ | van den BOSSCHE Fabio | ベルギー |
2位 | ユリ・レイタオ | LEITAO Iuri | ポーランド |
3位 | ティム トーン・トウデンベルグ | TEUTENBERG Tim Torn | ドイツ |
15位 | 窪木一茂 | 日本 |
エリミネーション
3種目目はエリミネーション。2周に1回最後尾の選手が除外されるサバイバルレース。
一つのミスが除外を招くこのレースでは、序盤から選手たちの激しい位置争いが行われる。窪木は一度危ない場面があったものの、レースを集団の前方で展開していく。ヤン ウィレム・ファンシップ(オランダ)、アーロン・ゲイト(ニュージーランド)、ディラン・ビビック(カナダ)など、国際大会で名を馳せた選手たちが次々と消えていく中で迎えた残り10人の集団での除外周回。内側のやや後方にいた窪木だったが、除外を避けようと外側の選手たちが一気に加速していくと、フィニッシュラインギリギリで最後尾となってしまいエリミネートされてしまった。
直後は自身がエリミネートされたと気付かないほど僅差の判定。この種目を窪木は10位で終えた。1位はイーサン・ハイター(イギリス)、2位にベンジャミン・トマ(フランス)、3位にティム トーン・トウデンベルグ(ドイツ)。
順位 | 選手名 | 所属 | |
1位 | イーサン・ハイター | HAYTER Ethan | イギリス |
2位 | ベンジャミン・トマ | THOMAS Benjamin | フランス |
3位 | ティム トーン・トウデンベルグ | TEUTENBERG Tim Torn | ドイツ |
15位 | 窪木一茂 | 日本 |
ポイントレース
最後の種目はポイントレース。それまで3種目で獲得した総合ポイントを持ち点としてスタートし、10周ごとのスプリント周回で、1着に5ポイント、2着に3ポイント、3着に2ポイント、4着に1ポイントが与えられる。レースで得たポイントが持ち点に加算されていき、最終的に総合ポイントが最も高かった選手が勝利となる。
レースは100周、25キロ。ポイント周回は10回。
ここまで総合10位(66ポイント)につけている窪木。トップはファンデンボッシュ(ベルギー:106ポイント)、2位にトマ(フランス:98ポイント)、3位にユリ・レイタオ(ポーランド:94ポイント)となり、窪木はメダル獲得まで28ポイントのビハインドで最終種目を迎える。
レースは序盤から窪木が大きく動いていく。残り90周、1回目のポイント周回では3着2ポイント、次に2着3ポイントと、得意のスプリント力を活かしてポイントを獲得。そしてその勢いのまま上位のトマとファンデンボッシュらと共に4人でのアタックに成功する。集団から抜け出した窪木を含む逃げ集団は10周回を重ねてメイン集団に追いつくと、それぞれ20ポイントを獲得。開始からわずか30周で窪木は25ポイントを獲得した。
レースの中盤は他の選手たちのアタックや展開が向かないこともあり、窪木は息を潜めていたが、レース終盤に再び窪木が動き出す。残り35周を切って、トップ争いをするトマ(フランス)やレイタオ(ポーランド)らとアタックを成功させると再び逃げ集団を形成。そしてスピードが緩んだメイン集団に一気に追いつき20ポイントを加算する。窪木はここまでで45ポイントを加算し、スタート前の10位から6位へと順位を上げることに成功した。
その後も諦めずに残り20周で4着1ポインント、残り10周でも1ポイントを獲得するが、メダルには届かず。この種目で47ポイントを加算し合計を113ポイント。最終成績を6位として8年ぶりのオムニアムを終えた。
優勝はホームアドバンテージを大いに得たベンジャミン・トマ(フランス:164ポイント)。大歓声の後押しを受け、スタート前の暫定トップだったファビオ・ファンデンボッシュ(ドイツ)を逆転して優勝。2位はユリ・レイタオ(ポーランド:153ポイント)、3位にファンデンボッシュ(ベルギー:131ポイント)。
トマは自身初のオリンピックタイトルを母国開催の大会で獲得することに成功した。
順位 | 選手名 | 所属 | ポイント | |
1位 | ベンジャミン・トマ | THOMAS Benjamin | フランス | 164 |
2位 | ユリ・レイタオ | LEITAO Iur | ポルトガル | 153 |
3位 | ファビオ・ファンデンボッシェ | van den BOSSCHE Fabio | ベルギー | 131 |
6位 | 窪木一茂 | 日本 | 113 |