100年前の自転車種目をカラーで

2/2 Page

100年前はどんな種目が実施されていた?

『パリ2024オリンピック』公式サイトで紹介された1924年大会のカラー映像。実施種目という点では、2024年現在とどのような違いがあるのだろうか。100年前のオリンピック自転車種目を紹介する。

「50km」や「タンデム」が実施

『パリ1924オリンピック』自転車は、トラックとロードの2つの競技を男子のみで実施。トラックは4種目が行われた。

トラック 男子のみ スプリント、2,000mタンデム
50km、4,000mチームパシュート
ロード 男子のみ ロードレース
チームタイムトライアル
(どちらもコース全長不明)

参照:Olympics.com「PARIS 1924 RESULTS」

木村和平, 三浦生誠, Para, 2023 Japan Track Cup Ⅰ

現在のタンデム(パラサイクリングトラック)

スプリントやチームパシュートなど聞き慣れている種目の他に、長距離の50kmレースや、2024年現在ではパラサイクリングでの実施がメインとなっているタンデムも行われている。

ロード種目も実施された『パリ1924オリンピック』。コース全長距離についての公式情報は確認できないが、トラックでも「50km」の種目が組み込まれるほど、”タフなレース”が好まれていたであろう当時。ロードレースも100km後半〜300km近い長距離で実施されていたのではと想像できる。

動画内に登場する(開始から約57秒)優勝選手と見られるライダーの体には、自転車のチューブが襷のように掛けられている。サポートカーなどはもちろん存在しない、”古き良き時代”が感じられる一場面だ。

現在も残るベロドロームが、「パリ2024」ロードに登場

『パリ1924オリンピック』自転車トラックが開催されたのはパリ中心部にある「Vélodrome Jacques Anquetil(ベロドローム=ジャック・アンクティル)」。実は2024年現在でも現存しているベロドロームだ。

ツール・ド・フランスのフィニッシュ地点

「ベロドローム=ジャック・アンクティル」は元々「la Cipale」という名前で、『パリ1900オリンピック』の開催地として1896年に建設されたベロドローム。

1968年〜1974年の7年間は「ツール・ド・フランス(ツール)」のフィニッシュ地点にも設定されており、エディ・メルクスらのレジェンドが名を刻んだフランス自転車競技の聖地とも言える場所だ。

現在の施設名に冠されている「ジャック・アンクティル」は、エディ・メルクスらを含む数人しか達成していない5度のツール総合優勝」を初めて成し遂げたレジェンド選手の名前。彼の死去後、その名前がベロドロームの名前となった。

テラスからバンクを望む優雅なレストラン

長い歴史を誇る「ベロドローム=ジャック・アンクティル」には、「La Cipale RESTAURANT」という元々のベロドローム名を冠したレストランが隣接している

本レストランのレビューには「ベロドロームを見渡せる席もあり、素晴らしかった。とてもおすすめ」という星5つのコメントも掲載されている。本レストランの公式インスタグラムを覗いてみると、まさにバンクの真横にあるテラス席を発見することができた。

店内にも当時のレース写真などが飾られており、パリを訪れた際にはぜひ立ち寄ってみたい場所だ。

『パリ2024オリンピック』ロードにも登場

100年前のパリオリンピックで自転車トラックが実施された「ベロドローム=ジャック・アンクティル」は、『パリ2024オリンピック』にも登場した。

登場したのは自転車トラック*ではなく、ロード。

※トラックの会場は「Vélodrome National」

PARIS, FRANCE - JULY 27: Chloe Dygert of Team United States competes near the Hotel des Invalides, during the Women’s Individual Time Trial on day one of the Olympic Games Paris 2024 at Pont Alexandre III on July 27, 2024 in Paris, France. (Photo by Tim de Waele/Getty Images)

7月27日・28日に実施された男女「ロード個人タイムトライアル」では「ベロドローム=ジャック・アンクティル」の前を通る道がコースに組み込まれており、60人以上の出場選手が歴史あるベロドロームを通過していった。

そして8月3日・4日に実施される男女「ロードレース」では、「ベロドローム=ジャック・アンクティル」は通過しないものの、難所で知られる「シャトーフォール峠」に建てられたジャック・アンクティルの記念碑を通過する。

パリ2024大会がおくるレジェンド選手へのトリビュートにも注目しつつ、4年に1度の栄冠を目指す選手たちを応援していただきたい。

自転車種目は大会最終日の8月11日まで

Men's Elimination, 2022 Track World Championships, Saint-Quentin-en-Yvelines, France

以上本記事では、『パリ2024オリンピック』公式サイトで取り上げられている「カラーで見るパリ1924」のコーナーをもとに、100年前のオリンピック自転車種目やその開催地についてご紹介してきた。

ジャック・アンクティルの名前のように、後々語り継がれる名場面が今大会でも誕生するかもしれない。

大会最終日の8月11日(現地時間)まで続く『パリ2024オリンピック』自転車種目。ぜひ一瞬一瞬に注目し、選手たちの走りを目に焼き付けてほしい。

参照:Olympics.com NEWS(2023年7月5日), La Cipae RESTAURANT

その他『パリ2024オリンピック』に関する記事はコチラ

パリ2024オリンピック 自転車競技5種目スケジュール・テレビ放送予定 

【2/5】12時間耐久レース!? オリンピック初頭の正式種目/UCI世界選手権・オリンピック史を振り返る