5月29日、自転車トラック競技のパリオリンピック代表内定メンバーが一堂に会し、記者会見が行われた。
代表が公に発表された今、選手たちの胸に去来する想いとはどのようなものなのか?この記事では女子中長距離種目に出場する内野艶和、垣田真穂、池田瑞紀、梶原悠未、4人のコメントをお伝えする。
内野艶和
Q:オリンピック出場が決まった今の心境を教えてください。
とても楽しみで、嬉しい気持ちでいっぱいです。2023年から2024年にかけての1年はとても濃く、成長する機会がたくさんあった1年でした。中長距離の種目にもスプリント力が必須という中、ガールズケイリンで培ったスプリント力は活かされているなと思います。
チームパシュートは4人で力を合わせて良い順位を取るという種目ですから、自分が足を引っ張ることがないように、力を最大限に出してチームに貢献したいと思います。
マディソンは後輩の垣田真穂選手と一緒に走りますので、リードして良いレース内容でオリンピックを終えられるようにしたいです。メダル獲得を目指して2人でがんばります。
Q:マディソンでペアを組む垣田選手は、内野選手から見てどのような選手ですか?
若さというか……私も若い方ではあるんですけれど(笑)、すごく元気がある女の子です。怖いもの知らずなところがあって、それがレースで良い方向で出てきてくれます。年上ですしリードしなきゃと思っているのですが、レースではその元気の良さと思い切りの良さにリードされているなと感じます。そういう部分では、後輩ながらリスペクトしています。
Q:ネーションズカップ第2戦(香港)ではマディソンで金メダルを獲得しましたが、世界の中で日本はどのような立ち位置にいると考えますか?
以前よりはだいぶトップに近づいてきたと思います。でも足りない部分はまだ多くあって、そこを修正していくことが今は大事だと思います。小さなミスを無くしたり、何をしなければならないか自分で考える力がもう少し付けば、トップの選手たちとも渡り合える。
残り時間は少ないですが、ネーションズカップで掴めた良い感覚をパリオリンピックに向けて繋げていきたいです。レース映像を見返したり、小さなことを積み重ねていきます。
Q:女子中長距離でチームパシュートの枠を獲れたということは、選手層の厚さの証明にもなっているかと思います。
チームパシュートの枠を獲得できたのは快挙なんじゃないかなと思います。その中で走れる嬉しさ、そして感謝もあります。
皆さんご存知の通り、先輩である梶原悠未選手は東京オリンピックで銀メダルを獲得した方で、「敵わないな」と思う気持ち、そして「だからこそ(梶原選手に)挑みたい」と思う気持ちが日々自分の中にあります。後輩は後輩で強い子たちが多く、彼女たちが後ろから迫ってきている中で、自分も追いかけなきゃいけない。そういう立場にいられることがとてもありがたいなと思いますし、とても楽しく自転車競技をやれています。
Q:ご自身の強みを聞かせてください。
チームパシュートでは「何があっても変わらず走る」ということを意識しています。何かハプニングが起きても走り続ける、そういうポジションになれるように努力しています、周りから見てちゃんとそうなっているかはわからないですが(笑)軸になれるような、安定した選手になりたいと思っています。
マディソンでも理想は同じで、リードして、指示をしていけるような選手になっていきたいと思っています。冷静に判断できる選手を目指して頑張っているところです。
Q:同じ高校(祐誠高校)から3選手がオリンピックに決まりましたね。
※内野選手に加えて池田瑞紀選手、そして今村駿介選手が祐誠高校出身
はい。同じ高校の先輩後輩と一緒にオリンピックに出られることはとてもう光栄です。こういった話題もメディアに取り上げられるかと思うので、そこに恥じないような走りができたらと思います。
垣田真穂
Q:オリンピック代表に選ばれた今の気持ちを聞かせてください。
小さな頃からオリンピック出場が夢でした。今こうして選手として選ばれて、嬉しい気持、楽しみな気持ちが大きいです。
チームパシュートはギリギリの10位で枠が獲得できました。チームができて長いわけではないので、走行ラインなど細かいところを直していくことで8位以内を目指します。
マディソンはネーションズカップ第2戦(香港)で良い結果を出すことができたので、オリンピックでも(内野)艶和さんと出し切りたいと思います。艶和さんは本当に強くてかっこいい先輩で、いつも頼ってばかり。自分がうまくいかない時でもたくさん声をかけて助けてくれます。自分がもっと良く走れるようになれば、さらに良い結果が出ると思うので、がんばりたいです。
Q:同級生の池田瑞紀選手とともにオリンピックに挑みます。
毎日助けてもらっていて、自分がうまくいかない時に窓の隙間から手紙をポンって投げ入れてくれたりします(笑)支えられています。
Q:ここから本番に向けて伸ばしていきたいことを教えてください。
まずは怪我をしないことが第一です。レース経験が他の選手に比べて浅いので、レース動画を見て学ぶこと。それから、この段階で間に合うかわかりませんが、持久力やスプリントがまだまだ足りないと思っているので、強化していきたいと思います。
池田瑞紀
Q:オリンピック代表が内定となりました。今の心境をお聞かせください。
チームパシュートという団体種目での出場ですが、ギリギリの10位で枠を獲ることができました。選考対象の最後の大会まで獲れるか獲れないか僅差のところにいましたが、最後までみんなで力を出し切って枠を獲得できたので、すごく嬉しかったです。
実感はまだないです。自分が選ばれたというよりは「チームパシュートで走れるんだ」という気持ちが大きいです。
ワクワク感とか緊張とかより、オリンピックという大舞台で走る実感が湧いてないです。でもこれから練習を重ねていくうちに、ワクワクもあるんでしょうけど、緊張も大きくなっていくのかなと思っています。
Q:池田選手にとってオリンピックとはどのような大会ですか?
その競技を知らない人も見てくれる、すごく大きな大会だと思っています。チームパシュートは約4分間のレースですが、その中で自分の想いとか自分の練習してきた成果を思い切り出したいと思っています。
Q:チームパシュートの難しさとはどのような部分ですか?
チームメンバーのコンディションは、大会ごとに違います。「今回は◯周ひくけれど、この前の大会ではもっと多くひいていた」というようなことがあります。1人1人のコンディションを考えなければ一番良い走りができないと思っています。
Q:チームパシュートの中で池田選手はどのような役割を担いますか?
走順によって役割は違うんですが、2走の私は1走選手にちゃんとついて、ペースをきちんと維持することです。それができないと全体のタイムが大きく変わるので、すごく大事だと思っています。
私たちのチームは、大会で失敗しても同じ失敗を繰り返さないように考えられるのが良いところだなと思います。
梶原悠未
Q:代表内定が発表された今の気持ちを聞かせてください。
東京オリンピックに続き2度目のオリンピック出場になります。小さな頃からの夢の舞台に2度立つことができ、本当に嬉しく思います。東京オリンピックでは銀メダルでとても悔しかったので、次こそは金メダルを全力で獲りにいきたいです。
Q:そのために、どのような部分を強化されていますか?
東京オリンピックでは最後のポイントレースで競り負けてしまい、持久力が足りないと痛感しました。以前は2時間だった練習を、東京オリンピック以降は5時間、6時間に増やして持久力を強化してきました。
去年1年間は怪我に悩んだ1年で、レースに恐怖心を抱く場面もありました。でもそういった時、たくさんの方々に応援していただいたことで、応援の力をエネルギーに走るということができるようになったと感じます。スタートラインで応援の声をちゃんと感じられるようになりました。
また東京オリンピックまではオフをつくらず毎日練習していました。練習が大好きですし「休みはいらない!」と思ってやっていたんですが、怪我を経験して定期的に休むこと、体をケアすることを学びました。それによって怪我を未然に防ぐことができますし、翌日のトレーニングにより良い状態で臨むことができます。休むことの重要さを学びました。
Q:改めて、パリでどのような走りをしたいか聞かせてください。
世界の選手たちが最高の状態に仕上げてくると思います。私も自分史上最速の走りができるよう、一生懸命がんばります。