2024年5月29日、自転車トラック競技におけるパリ2024オリンピック日本代表候補選手の記者会見が実施された。すでに5月22日に代表候補選手は発表されていたが、今回は改めて各選手の「出場予定種目」が発表され、選手やコーチのコメントが聞ける機会となった。この記事ではコーチ陣のコメントを紹介する。
各種目の出場予定選手
短距離 | 男子 | チームスプリント | 長迫吉拓 太田海也 小原佑太 |
スプリント | 太田海也 小原佑太 |
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ケイリン | 太田海也 中野慎詞 |
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女子 | スプリント | 佐藤水菜 太田りゆ |
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ケイリン | 佐藤水菜 太田りゆ |
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中長距離 | 男子 | チームパシュート | 窪木一茂 橋本英也 中野慎詞 今村駿介 |
マディソン | 窪木一茂 橋本英也 |
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オムニアム | 窪木一茂 | ||
女子 | チームパシュート | 内野艶和 垣田真穂 池田瑞紀 梶原悠未 |
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マディソン | 内野艶和 垣田真穂 |
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オムニアム | 梶原悠未 |
今回の布陣について、関係者のコメントから抜粋していく。
ブノワ・べトゥ テクニカルディレクター
国際オリンピック委員会が設けた納得しがたいルールに合わせた選択を迫られた中で、チームパシュートがその“損”を背負わなくてはなりませんでした。
しかし、条件は世界中の国々も一緒。今ある要素の中で、メダルにふさわしいパフォーマンスを出せるチームを作るということを考えてきました。逆に、素晴らしいサプライズが、素晴らしいパフォーマンスが待っているかもしれないと考えています。
中野浩一 選手強化スーパーバイザー
男子チームパシュートについては、ブノワも言っていたように大会運営側による出場枠の決め方の問題です。
それにどのように対応しつつ「どの種目が一番メダルの可能性があるか」に主眼を置き、コーチ陣とトラック部会のメンバーによって代表選手候補が決められました。過去には「ケイリンを最優先」としていましたが、今回はそのような種目による優先順位はありません。あくまで「どの種目がメダルの可能性が高いか」によって決めています。
僕自身にも葛藤がありましたが、結果を出して「良かった」と思ってもらえればと考えています。
ダニエル・ギジガー 中長距離ヘッドコーチ
男女ともに3種目で出場枠を取ることができましたが、男子チームパシュート(のメンバーの最終結果)でいつものメンバーを選べなかったことにとても失望しています。一番強いチームで臨めるのがベストですが、そうできないルールがあります。UCIと戦いたいですが、今はこのルールで進めなくてはならない。それでもみんなには頑張ってほしいと思います。
男子マディソンについて、もしかしたら窪木&今村ペアで行くのではと考えていた方もいるかもしれません。しかしネーションズカップ第2戦(香港)で窪木&橋本ペアが良い成績を残し、このペアの可能性に気づきました。この2人は良い関係があります。そこでネーションズカップ第3戦(ミルトン)で再度窪木&今村ペアを試しました。この2人は個人としては強いですが、ペアになるとちょっと距離があると感じました。
この試みから、リスクがあるかもしれませんが、窪木&橋本ペアでオリンピックに臨むことを決めました。
ジェイソン・ニブレット 短距離ヘッドコーチ
中長距離のコーチはダニエル氏ですから、中野選手が参加する男子チームパシュートの戦略を決めるのはダニエル氏です。とはいえ中野選手が4km走り切るとは思わないでください。コーチが彼の特色をどのように判断し、中野がどのように作戦を遂行するのか。必要な仕事が終われば(レースは)離脱、と考えてください。残りの3人が最後まで走る、ということになると思います。他の国も同じようなことをやっていますし、彼にはそのような仕事が期待されています。
中野選手は昨年の世界選手権男子ケイリンでメダルを獲っており、ケイリンにおいて最も期待される選手のひとり。ご存知の通りケイリンでは、3周にわたってずっと先頭を走るようなことがあります。そのためチームパシュートのトレーニングも、ケイリンにプラスになると考えています。