2024年5月9日(木)より伊豆ベロドロームで開催されている自転車トラック競技の国際レース『2024ジャパントラックカップ』。大会2日目には男子オムニアムが実施され、混戦を窪木一茂が制して調子の良さを伺わせた。本記事では男子オムニアムの模様をお伝えする。
男子オムニアム
4つの種目の総合得点によって勝者が決まるオムニアム。オリンピック種目としても採用されている。この種目には23人の選手が出場した。
第1種目:スクラッチ
定められた距離を走り着順を競うスクラッチ。シンプルに「1着になれば勝ち」というルールであり、「バンクで行われるロードレース」と表現されることもある種目。今回は40周・10kmで行われる。
決定的な逃げが発生せずに進んむレース。大きく展開が変わったのは残り14周、窪木一茂が単独で前に出る。
窪木は一気に前に出て集団に半周ほどのリードを作りると、そのままの勢いで集団を1周追い抜き。代わって先頭となったのは今村駿介。これにコーナー・リーヒー(オーストラリア)、少し離れてミン・キョンホ(韓国)、ジェームス・モリアティー(Ccache x Par Küp)、ヤン・ヤン(Henan Bodywrap Ltwoo Cycling Team)の3選手が追走し、着を争う。
1周追い抜き力を見せた窪木が1位。今村が2位、コーナー・リーヒーが3位となった。
第2種目:テンポレース
毎周回、フィニッシュラインを1着で通過した選手だけ1ポイントを得ることができるテンポレース。さらに集団を1周追い抜いた場合(ラップした場合)は20ポイントが加算されるルールとなっている。
40周回、10kmのレース。まずは窪木一茂が1着で最初のポイントを獲得。続いて今村駿介、窪木、グレアム・フリズリー(Ccache x Par Küp)、岡本勝哉とバラバラにポイントを獲得していくが、中盤からアタックした橋本が7回連続でポイントを獲得していく。橋本はさらに1周追い抜きの+20ポイントも加え、合計29ポイントでこの種目の1位となった。
第3種目:エリミネーション
初日に行われた単独種目では窪木一茂が優勝したエリミネーション。2周に1回、最後尾の選手が除外(エリミネート)される。
ラスト3人となったのはグレアム・フリズリー、窪木、今村。直前のエリミネート周回終了後から3者は緩むことなく、猛スピードでの力勝負。ここでは窪木とフリズリーが接戦となり、フリズリーがエリミネートされた。
最後の一騎打ちは今村と窪木。少しペースが緩みつつ今村が前で進んだところ、残り半周から窪木が追い上げて先着。この種目の1位となった。
第4種目:ポイントレース
ここまでの3種目で得たポイントを持ち点として行われる最終種目。10周ごとのスプリント周回で、1着に5ポイント、2着に3ポイント、3着に2ポイント、4着に1ポイントが与えられ、ラップによる20ポイント加算も可能となる。レースは100周、25km。
スタート時点でのポイント上位は以下のメンバー。
順位 | 選手名 | 所属 | ポイント | |
1位 | 今村駿介 | JPN | 110 | |
2位 | 窪木一茂 | JPN | 102 | |
3位 | グレアム・フリズリー | FRISLIE Graeme | CPU | 102 |
4位 | 橋本英也 | JPN | 100 | |
5位 | コーナー・リーヒー | LEAHY Conor | CPU | 88 |
残り84周あたりから兒島直樹が単独でアタックすると、それをチャウ・ジンヤン(Henan Bodywrap Ltwoo Cycling Team)が追走。兒島が2回目のポイント周回を1着で通過する。残り76周で兒島は吸収され、集団は再び1つとなる。
次に飛び出したのはミン・キョンホ(韓国)。これにツォ・カイウォン(Hong Kong Sports Institute)、ジョシュア・ダフィー、山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)が追いつき、逃げ集団を形成。4回目のポイント周回でポイントを得てからラップ(+20ポイント)を成功させ、一挙に大量ポイントを獲得。
レースの折り返しを迎えるタイミングでは、ポイントリーダーは変わらず今村。ただしラップした山本が2位まで順位を上げ、これに窪木、橋本、グレアム・フリズリーと続く形。しかし順位は刻々と変わっていく。
勝負は最終局面になっても窪木と今村、フリズリーがポイント獲得するなど、最終スプリントまで順位争いは分からず。
最後の5周時点の順位は以下の通り。
順位 | 選手名 | 所属 | ポイント |
1位 | 今村駿介 | JPN | 142 |
2位 | 窪木一茂 | JPN | 141 |
3位 | 山本哲央 | BGT | 137 |
4位 | 橋本英也 | JPN | 134 |
5位 | グレアム・フリズリー | CPU | 124 |
迎えた最終周回、集団内から窪木と今村が同時に仕掛けると、窪木がスプリント力を活かして飛び出していく。今村は窪木に追いつくことができず、窪木が最終ポイント周回を1着で通過。逆転優勝を遂げた。
順位 | 選手名 | 所属 | ポイント | |
1位 | 窪木一茂 | JPN | 151 | |
2位 | 今村駿介 | JPN | 148 | |
3位 | 山本哲央 | BGT | 137 |