たったひとりの「ジャパントラックカップ前哨戦」 ~長迫吉拓の挑戦 ~
自己ベスト更新!しかし……
1本目のタイムは……10秒17。
惜しくも目標タイムを切ることが出来ずに、ジェイソンヘッドコーチからは「I’m sorry my frind, you need to do another one(残念ながらもう一回だね)」と声を掛けられての再挑戦となった。
改めてスプリントで戦う選手たちとの違いを実感する。
「疲れた~。走った感じ『速かったんだろうな〜!』って思ったし、ライン取り(走行ライン)も綺麗にできました。走った感触としては過去イチのスピード、という感じでしたね。欲張るともうちょっと欲しかったです。でも今日のベストを出せたんじゃないかと思います!
ハロン(スプリント予選で行われる200mFTT)で速いタイムを出せれば出せるほど、後の勝ち上がりが有利になります。タイムが良いほど対戦相手が格下になるわけですから。ハロンでタイムが出ず、格上と当たって、走れば走るほどキツくなっていくことを考えると、ここで全力を出すのは必要なことですよね。でも全力を出すことで体力を取られてしまう……
やっぱ個人種目の人はすごいなあって思いますね(笑)これが勝ち上がりの1本目だと考えたら、自分はマジ脚がないなあと思います。
でもチームスプリント1走のトレーニングしかしていないわけで、スプリント向けのトレーニングをすれば問題なくなると思いますよ!逆に言えば1本で出し切る脚質なのかな(笑)
1走で良かったと思う反面、1走しかできんなと思います……でもオーストラリアの1走は9秒6とかで走るし、オランダのロイ(・バンデンバーグ)だってワールドカップで9秒7とか8を出していた時期もある。
っていうことを考えると、9秒台に行かないと世界のトップスターターにはなれないのかなと思います。ちょっと自信がないけど、脚を休めて2本目、行ってきます」
2本目終了 自己ベスト更新はならず
迎えた2本目、長迫のタイムは10秒18。1本目からの落ち幅は0.01秒だけに留まったものの、目標達成とはならなかった。改めて話を伺う。
Q:さあ、2本目が終了しました。今回のチャレンジの振り返りをお願いします。
1本目の疲れが怖くて、それにビビっちゃったところがあると思います。思いっきり助走ができなかった。その割にタイムは(1走目から)あんまり落ちなくて、10秒18。でも感覚的にはかなり遅かったです。
やっぱり2本目の方が要点を抑えられたと思います。1本目は効率が悪く、とにかく力を出した。2本目は効率良く走ることができて、疲れも1本目ほどではありませんでした。駆け方によって余分なエネルギーを使うものなんだな、と学ぶことができました。
(オリンピック後の)全日本選手権では本当にスプリントで9秒台を出したいと思ってます。頑張ります!
Q:「たった一人のジャパントラックカップ前哨戦」としての挑戦でしたが、自分にメダルをあげるとしたら何色ですか?
今回はあげられんね〜(笑)
でもナショナルチームBチーム(育成チーム)とはいい勝負ができるのではないでしょうか。普段からこういう練習の時はBチームのメンバーと練習しています。僕としては良いターゲットだし、向こうからしても「普通の選手と違う駆け方」ということで後ろに付きづらい。お互いにメリットのある練習相手になっていると思います。
そういう意味ではジャパントラックカップでBチームの選手がどんな走りをするか楽しみです。彼らの成績と今回のタイムを比較していきたいと思います。
長迫がBチームの選手たちに注目する2024 ジャパントラックカップのは5月9日から4日間開催。
「強さの証明」をキャッチフレーズにパリ五輪前では国内最後となるレースを是非とも楽しんでいただきたい。