「高校自転車部」は全国に一体いくつ?

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「自転車で食べていく」という進路

日本の自転車競技において特筆すべきことが「競輪」の存在。肉体を酷使する仕事であるため一定のリスクはあるものの、成功すれば高収入を狙える競輪選手という職業は、自転車部で切磋琢磨する学生にとって魅力的な進路のひとつ。

競輪側としても、そういった才能ある若者を選手候補生として引き入れたいという思惑、そして競輪/KEIRINをはじめとした「自転車競技」を振興したいという思いもあって、補助事業として高体連の大会運営などを資金支援している。

新山響平や児島直樹らトップ選手が直接指導「全国高体連トラック全国合宿」

全国高体連トラック全国合宿

自転車部という「土壌」があり、そして競輪選手という「目指すところ」がある。この2点が揃っていることが、日本の自転車競技を今の形にたらしめていると言えるだろう。

これらの背景があるからこそ、現在トラック競技の日本ナショナルチームは競輪からの強力なバックアップを受け、オリンピックでのメダル獲得のために強化を行えている。

ロードレースでの「自転車大国」はまだ遠い

宇都宮, 2022 JAPAN CUP CYCLE ROAD RACE クリテリウム

短距離種目やトラック競技全般であれば、学生が積み上げてきたものを「競輪」の形に転換しやすい。その一方、ロードレースでスターになりたい学生たちは、向かう先が少々難しい。

競技人口が多く、選手としての寿命が長い競輪選手に比べ、ロードレースで「食べていける」レベルになれるのはほんの一握り。海外に進出する難しさはもとより、国内を見ても日本でロードレースの大会を行うには交通事情などの障害が多く、一般への認知・理解が高いとは言えない状況だ。

このような現状の中で、補助事業として競輪の売上の一部がロードレース大会の運営費用に役立てられていたり、トラック中長距離メンバーを中心とした「日本ナショナルチーム」が2024年のツアー・オブ・ジャパンにエントリーする、また競輪選手でありながらロードレースに出場する選手がいるなど、競輪・トラック・ロードレースそれぞれが「互いに協調し合う」ような試みが行われている。

これらが日本をさらなる「自転車大国」に押し上げてくれるか、今後に期待したいところだ。

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