心臓発作を乗り越えオリンピック金メダリストへ

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「十分やりきった。悔いはない」

以下シェーン・ブラスペニンクスが自身のSNSで2月29日に投稿したコメントを紹介する。

 

トラック競技から引退することを決意しました。トラック競技で得たかったものは手にすることができました。これからは新たな挑戦が始まります。

長い間自転車に乗ってきました。元々私は優秀なライダーではありませんでしたが、ロードのユースカテゴリーにて何度か、オランダチャンピオンジャージに袖を通すことができました。

しかし本格的にトラック競技へ取り組み始めたのは、ジュニアカテゴリーの国内強化指定選手に選抜された頃からです。2011年にはトラック競技一筋に転向し、またゼロからのスタートを切りました。

シェーン・ブラスペニンクス Shanne Braspennincx (NED), Women's Sprint Quarter-Final AUGUST 7, 2021 - Cycling : during the Tokyo 2020 Olympic Games at the Izu Velodrome in Shizuoka, Japan. (Photo by Shutaro Mochizuki/AFLO)

『2015世界選手権トラック』でケイリンの銀メダルを獲得できるとは夢にも思っていませんでした。そして同じ年に心臓発作に苦しむとも思いもしていませんでした。

血液が正常に循環しない中、6ヶ月間の辛いリハビリや沈む気持ちを乗り越えてきました。

針の穴のように小さな可能性を信じて何とか続けてきました。私の体でできることは、十分やりきったと思っています。補欠として参加したリオオリンピックでは「次のオリンピックこそ、ゼッケン付きのナショナルジャージを着たい」と強く思ったものです。

その思いが実り、金メダルを首に下げて東京から帰ってくることができました。それから公私共に忙しい毎日が続きましたが、昨年(2023年)やっと競技人生を振り返って、「悔いはない」と思うことができたので、プロトラック競技選手を引退することに決めました。

全ての目標を達成できたわけではありませんが、満足しています。自転車競技とともに歩んだ年月は、”章”と呼ぶには壮大すぎる思い出が詰まっています。新たな人生の”本”を開けることに心からワクワクしています。

これまでの皆さんのサポートのおかげで、私の挑戦が素晴らしいものとなりました。本当に感謝しています。

東京オリンピックの舞台裏動画も公開

シェーン・ブラスペニンクスが自身のSNSで引退を発表した同日、オランダスポーツ協会(TeamNL)の公式YouTubeが動画を公開。動画は主に、東京オリンピックでの舞台裏などがブラスペニンクスのコーチらによって語られる場面で構成されている。

「どんな壁も乗り越えていける」ジェフリー・ホーフラント コメント

ジェフリー・ホーフラント, HOOGLAND Jeffrey, NED,Final, Men's 1Km Time Trial, 2022 Track World Championships, Saint-Quentin-en-Yvelines, France

ジェフリー・ホーフラント

その他、チームメイトのジェフリー・ホーフラント(オランダ・男子)らも、自身のSNSでブラスペニンクス引退への賛辞やコメントを送っている。

以下ジェフリー・ホーフラントによる投稿を一部抜粋・意訳

「彼女が決心して何かに取り組んだ時、彼女に達成できないことはありませんでした。それこそが彼女の素晴らしい強さです。彼女は彼女自身のためでなく、他人やチームのためにいつも献身的に行動していました。彼女を誇りに思っているのは私だけではないはずです。

これからも、どんな壁にぶつかろうとも、君なら乗り越えていけると信じていますし、何より君は1人ではありません。これからも私たちはずっと一緒です!」

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