自転車トラック競技ナショナル中長距離チーム、チーム楽天Kドリームス所属、古山稀絵。高校時代からナショナルチームのメンバーとして活動してきた彼女が、2023年11月末をもってナショナルチームを離れることを発表した。
中長距離チームの「お姉さん」、古山稀絵
1997年生まれ、2023年現在26歳の古山がナショナルチームに入ったのは高校生の頃。
東京2020オリンピックに向けた強化が行われていた2018年にはチームパシュートメンバーとして活躍し、アジア選手権で日本記録・アジア記録更新を樹立。「チームパシュートでオリンピックに行ける」という雰囲気を作ったひとりだった。
女子チームパシュートはその後成績が伸び悩み、東京オリンピックに向けた強化はストップ。日本チームとしてマディソンとオムニアムに注力することとなるが、古山はその後もトレーニングを継続。東京オリンピックには補欠として控え、大会を裏から支えた。
そして東京2020オリンピックを経て、パリオリンピック世代へ。ともに切磋琢磨してきた鈴木奈央、東京2020オリンピック・マディソンに出場した中村妃智など「東京オリンピック世代」のメンバーがチームを卒業する中、古山はナショナルチームに残ることを選択した。
パリに向けた世代が続々と加入してきたトラックナショナルチーム。東京2020オリンピック後にジュニアから上がってきた内野艶和、2023年にエリートチームに入った垣田真穂・池田瑞紀らは頼もしい存在となった一方、後輩らに成績を抜かされてしまうという側面も生じる。
2023年シーズン、古山は国際レースのエントリーリストに名を連ねていたものの、実際に出場することはまれだった。それでも仲間達を見守る姿はカメラに捉えられていた。
古山は、アジア選手権で優勝こそしているものの、ネーションズカップや世界選手権といった「超一流」の大会での活躍は少ない。なまじ世界チャンピオンになった梶原悠未などがそばにいる分、脚光を浴びることも少なかった。
東京2020オリンピックを経験し、パリオリンピックを目指す世代たちのパートナーとして活躍してきた古山。脚光を浴びずとも「続けてきたこと、続けてこれたこと」が彼女の強さではないだろうか。
そして2023年11月、中長距離チームの軌跡を知る「お姉さん」が、後輩たちにバトンを託す。
ラストレースは伊豆で
古山がナショナルチームメンバーとして出場する最後のレースとなる『ジャパントラックカップ』。東京2020オリンピックが開催された伊豆ベロドロームが会場となるクラス1大会……「日本で開催される国際大会」だ。
https://twitter.com/KieFuruyama/status/1716434158216785941
実施種目は男女ともにスプリント、ケイリン、オムニアム、マディソンのみというコンパクトな大会。3日間で2大会(ジャパントラックカップⅠとジャパントラックカップⅡ)行われるため、フル参加の選手は各種目に2回出場することとなる(オムニアムはジャパントラックカップⅡでのみ実施)。
大会は11月16日〜18日。最終日の18日(土)はチーム楽天Kドリームスによる「応援バスツアー」も企画されている。
チームを支えてきた古山のラストレースを、ぜひご覧いただきたい。