世界各地から招待されたトップ選手たちが全5ラウンドを戦い抜く『UCIトラックチャンピオンズリーグ』。

「トラック競技における革命」をテーマの1つに掲げ、ルールが分かりやすい種目に絞って実施するなど、既存ファンを楽しませるだけでなく、新たな視聴者層の獲得に注力している大会だ。

2年目となる2022年大会にはイギリスのテレビ番組「Deaf Away Days」の取材班も駆けつけた。2023年3月17日、大会公式サイトも「Deaf Away Days」に取り上げられたことを公式にリリース。この記事では本リリースの内容に触れつつ、「ろう者(Deaf People)」と自転車競技の関係性などをご紹介していく。

『UCI Track Champions League』リリース(2023年3月17日)

「Deaf Away Days」とは?

「Deaf Away Days」はイギリスのスポーツチャンネル「BT Sport」で放送・配信されているテレビシリーズ。ろう者(聴覚に障害がある人)であるコスティ兄弟(Marios Costi、Memnos Costi)が案内人となり、イギリス国内の様々なスポーツイベントを訪問する番組だ。

スポーツにおける「ろう者コミュニティ」の認知を広げ、全ての人が参加できるプログラムや、新たな機会の創出を目指す「BT Sports」の取り組みとして、2023年1月に放送が開始された。

ろう者のメインキャスターが手話でレポートし、番組を進めていく……従来ではあまり見られなかった、新たな取り組みと言えるだろう。

参照:BT Broadband

ろう者の2人が体験した「UCIトラックチャンピオンズリーグ」

シリーズ3回目となる放送で、2022年12月にイギリス・ロンドンで開催された『2022 UCIトラックチャンピオンズリーグ』の最終ラウンドが取り上げられた。

会場の「Lee Valley Velodrome」を訪れたコスティ兄弟は、クリス・ホイローラ・ケニーマシュー・リチャードソンなどに大会の見どころをインタビューしつつ、レースを観戦した感想などをレポート。

番組内でコスティ兄弟が手話でレポートした、観戦時のコメントを一部ご紹介する。

「快適なシートだし、観客席からの眺めもきれい。会場のライトに包まれているみたいで、特別感があって良いよね。まるでディスコみたいです!スタジアムで売っているフードも美味しいしね」

Women's Elimination, UCI Track Champions League, Round 5 London

「選手たちはトラックの高い所まで登ってから、急降下する。そうやって加速するんだ!

ワォ!すごいスピードでトラックを周回していたね。とても目が追いつかなかったよ。走っている選手同士の距離もすごく近いし」

UCI Track Champions League, Round 5 London

「トラックの内側にはトレーニングエリアがあって、選手やバイクがずらりと並んでいたのも、見ていて楽しかったね。全てが1つのスタジアムに集約されていて、観客はそれを一望できるんだ!」

聴覚に障害を持っていたとしても、トラック競技のスピード感やトラックチャンピオンズリーグ特有の演出を楽しんだことを興奮気味に解説していたコスティ兄弟。「Deaf Away Days」の別のエピソードでは、サッカーやラグビーの試合にも取材を行なっている。気になる方は「BT Sport」にてチェックしてみてほしい。

ろう者のためのサイクルコミュニティ

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