獲得できるUCIポイントは?
最後に、2つの大会で獲得できる「UCIポイント」による違いを見ていこう。
UCIポイントは各大会のクラス(格付け)によって異なる。同じ種目で同じ順位の結果を残したとしても、その大会のクラスによって獲得できるポイント数は異なる。
例えば、スプリントやケイリンなどの個人種目で1位〜3位の選手が獲得できる、各大会クラスごとのポイントは以下の通り。
世界選手権 オリンピック |
ネーションズカップ | 大陸選手権 | クラス1大会 | クラス2大会 国内選手権 トラックチャンピオンズリーグ |
|
1位 | 1000 | 800 | 600 | 200 | 100 |
2位 | 900 | 720 | 540 | 180 | 90 |
3位 | 800 | 640 | 480 | 160 | 80 |
「アジア選手権」は「大陸選手権」に分類されるため、スプリントなどの個人種目で優勝した選手には、600ポイントが与えられる。
一方、「アジア競技大会」はUCIにより「Regional Games(地域競技大会)」に分類されており、獲得できるUCIポイントは大会に参加する国の数によって決まる。
「地域競技大会」のうち「5カ国以上」が参加する大会はクラス1と同等のポイント、「3〜4カ国」が参加する大会はクラス2と同等のポイントが与えれる。
「アジア競技大会」で実施されるトラック競技には5カ国以上の参加が予想されることから、ほとんどの場合はクラス1の大会となり、仮にスプリントで優勝すると200ポイントを獲得できる。
参照:UCI Regulation TRACK RACES 「3.3.010bis」
まとめ
以上、本記事では「アジア競技大会」と「アジア選手権」の違いを解説してきた。
異なる2つの大会の違いを理解した上で浮かんでくる「どちらがより重要な大会なの?」という疑問。
大会が持つ重要性には各国間の交流など、様々な論点があるだろうが、自転車トラック競技においてオリンピックへの出場を第1目標とした場合、より高いUCIポイントや世界選手権に出場するための「大陸チャンピオン枠」が獲得できる「アジア選手権」の方が重要度が高いと言えるだろう。
「違い」まとめ
管轄 | 開催頻度 | UCIによる分類 | UCIポイント | 優勝者が獲得できるもの | |
アジア競技大会 | OCA | 4年に1回 | 地域競技大会 | 通常クラス1の ポイントと同等 |
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アジア選手権トラック | ACC | 毎年1回 | 大陸選手権 | 大陸選手権のポイント | ・大陸選手権者ジャージ ・世界選手権の大陸チャンピオン枠など |
しかし、アジア競技大会は実施競技の多さから、アジア選手権よりも大規模なイベントとなる。
また、多くの異なる競技が実施されるため、自転車競技を普段見慣れない方に興味を持ってもらう絶好の大会だと言えるだろう(逆もまた然り)。
「アジア競技大会」も「アジア選手権」も、ぜひ両方注目していただきたい。