男子短距離
男子短距離ではフランス勢の活躍が目立った。
全4種目で表彰台に登ったフランス選手のなかでも、セバスチャン・ビジエはスプリントとケイリンの2冠を達成している。
メダリストの年齢を見てみると、25歳以上の選手がほとんど。筋肉量が際立つ短距離種目において、最も脂の乗っている世代なのかもしれない。
スプリント
200mFTTが実施された予選ではトップ5人が9.6秒台にかたまり、コンマ0.1秒単位の激戦から幕を開けた男子スプリント。
決勝は、予選1位のジャック・カーリンと予選3位のセバスチャン・ビジエ。互いに1本ずつ1着をとる接戦となったが、3本目を制したセバスチャン・ビジエが優勝を果たした。
接戦を制したセバスチャン・ビジエからは、レースの過酷さが伝わってくる。
決勝と同じく、フランス対イギリスの戦いとなった3位決定戦を制したのは、ライアン・エラル。
元スター選手であり、現在はフランス短距離コーチのグレゴリー・ボジェに、男子スプリントで2枚目のメダルを捧げた。
選手名 | 国名 | ||
優勝 | セバスチャン・ビジエ | VIGIER Sébastien | フランス |
2位 | ジャック・カーリン | CARLIN Jack | イギリス |
3位 | ライアン・エラル | HELAL Rayan | フランス |
チームスプリント
スプリントとケイリンの2冠を達成したセバスチャン・ビジエや、500mTTを制したメルビン・ランデルニューなどを擁するフランスチームを下し、チームスプリントで優勝を果たしたのは”最強”の呼び声高いオランダチーム。
個人種目でも現世界チャンピオンであるオランダチームは、今大会の会場となるベロドロームが1周200mであることから、チームスプリントのみの出場となっていた。
そして、その唯一の出場種目でフルに実力を発揮し、2位のフランスに約1秒差をつけ優勝。2021年大会に続き2連覇を達成し、10月の世界選手権での活躍も大いに期待させる結果となった。
国名 | 選手名 | タイム | ||
優勝 | オランダ | ジェフリー・ホーフラント ロイ・バンデンバーグ ハリー・ラブレイセン |
HOOGLAND Jeffrey VAN DEN BERG Roy LAVREYSEN Harrie |
34.639 |
2位 | フランス | セバスチャン・ビジエ ティミー・ジリオン ライアン・エラル メルビン・ランデルニュー |
VIGIER Sébastien GILLION Timmy HELAL Rayan LANDERNEAU Melvin |
35.516 |
3位 | イギリス | アリスター・フィールディング ジャック・カーリン ハーミッシュ・タンブル |
FIELDING Alistair CARLIN Jack TURNBULL Hamish |
35.173 |
ケイリン
選手名 | 国名 | ||
優勝 | セバスチャン・ビジエ | VIGIER Sébastien | フランス |
2位 | マキシミリアン・ドルンバッハ | DÖRNBACH Maximilian | ドイツ |
3位 | メルビン・ランデルニュー | LANDERNEAU Melvin | フランス |
ケイリンでは、セバスチャン・ビジエがスプリントに続き2枚目の金メダルを獲得。後続から1人単独で差をつけての優勝となった。
2・3位にはマキシミリアン・ドルンバッハと、メルビン・ランデルニューが僅差で並びメダルを獲得。
スプリントと同じく、フランスから2選手が表彰台に並んだ。
1kmタイムトライアル
選手名 | 国名 | タイム | ||
優勝 | メルビン・ランデルニュー | LANDERNEAU Melvin | フランス | 59.975 |
2位 | マッテオ・ビアンキ | BIANCHI Matteo | イタリア | 1:00.089 |
3位 | マキシミリアン・ドルンバッハ | DÖRNBACH Maximilian | ドイツ | 1:00.225 |
1kmTTを制したのは、ケイリンで銅メダルを獲得していたメルビン・ランデルニュー。唯一59秒台を記録し優勝を決めた。
メルビン・ランデルニューとともにケイリンの表彰台を争ったマキシミリアン・ドルンバッハを僅かに上回り、1kmTTの銀メダルを獲得したのはマッテオ・ビアンキ。
男子短距離の個人種目でメダルを獲得した選手のなかでは唯一、U23のカテゴリーに属する期待の若手選手だ。
女子短距離
女子短距離ではドイツが全4種目を総なめ。
優勝選手に関しては『2021世界選手権トラック』とほぼ同じ結果となり、アルカンシェルを纏った選手がその強さをさらに証明してみせた。
しかし全4種目が、現世界チャンピオンたちによる圧勝という訳ではなく、写真判定に委ねられるほどの接戦も繰り広げられた。
スプリント
選手名 | 国名 | ||
優勝 | エマ・ヒンツェ | HINZE Emma | ドイツ |
2位 | マチルド・グロ | GROS Mathilde | フランス |
3位 | ロリーヌ・ファンリーセン | VAN RIESSEN Laurine | オランダ |
スプリントの決勝に進んだのは、若手ながら女子短距離を牽引するエマ・ヒンツェとマチルド・グロの2人。
200mFTTが実施された予選でもTOP2に並んでいた2人。そのタイム差は0.05秒差。
ともに勝ち進んだ決勝でも互いに1本ずつ1着を取り合い、もつれ込んだ3本目も写真判定の接戦。最後の1周で外側から追い上げたエマ・ヒンツェが、ほんのわずかの差で先にフィニッシュラインを通過し優勝を果たした。
3位決定戦では同じくドイツの若手スター選手であるリー ソフィー・フリードリッヒに、日本の競輪も走ったこのあるオランダのベテラン選手、ロリーヌ・ファンリーセンが勝利し銅メダルを獲得した。
チームスプリント
国名 | 選手名 | タイム | ||
優勝 | ドイツ | エマ・ヒンツェ ポーリン・グラボッシュ リー ソフィー・フリードリッヒ |
HINZE Emma GRABOSCH Pauline Sophie FRIEDRICH Lea Sophie |
38.061 |
2位 | オランダ | キーラ・ランベリン ヘッティ・ファンデヴォウ シェーン・ブラスペニンクス ステフィー・ファンデルピート |
LAMBERINK Kyra VAN DE WOUW Hetty BRASPENNINCX Shanne VAN DER PEET Steffie |
38.304 |
3位 | ポーランド | マルレーナ・カルワッカ ニコラ・シビアック ウルスラ・ロス |
KARWACKA Marlena SIBIAK Nikola LOS Urszula |
39.164 |
2021年の「ヨーロッパ選手権優勝メンバー(オランダ)」対「世界選手権優勝メンバー(ドイツ)」という戦いになった女子チームスプリント決勝。
結果はアルカンシェルを纏ったドイツチームが0.3秒ほど上回り優勝。ヨーロッパ選手権者ジャージを勝ち取った。
ケイリン
ケイリンを制したのはリー ソフィー・フリードリッヒ。
2021年ではヨーロッパ選手権と世界選手権の両大会でケイリンを制していたリー ソフィー・フリードリッヒだが、2022年のネーションズカップでは個人種目でメダルを獲得することはできていなかった。
前日に実施されたスプリントでもメダルを逃していたこともあり、レース後のインタビューでは、選手人生の中で最も厳しいレースと決勝を振り返り、連覇を達成した自身を誇りに思うと語った。世界選手権でも連覇なるか要注目だ。
そして銀メダルを獲得したのは、ポーランドのウルスラ・ロス。あとわずかに金メダルには届かなかったものの、ポーランドで唯一銀メダル以上を獲得した選手となった。
選手名 | 国名 | ||
優勝 | リー ソフィー・フリードリッヒ | FRIEDRICH Lea Sophie | ドイツ |
2位 | ウルスラ・ロス | LOS Urszula | ポーランド |
3位 | オレナ・スタリコワ | STARIKOVA Olena | ウクライナ |
500mタイムトライアル
500mTTを制したのは、個人・チームスプリントでも優勝したエマ・ヒンツェ。
同種目の現世界チャンピオンであるリー ソフィー・フリードリッヒは出場していないが、エマ・ヒンツェは唯一32秒台の好タイムを叩き出しヨーロッパ選手権者ジャージを獲得。
さらにこのタイムは、ほぼ海抜0mの会場で計測された記録では史上最速。「Sea Level World Record」と呼ばれるものだ。気圧の関係で空気抵抗を受けにくいとされる高地(約1800m)で計測された、世界記録の「32.268」まであとわずかに迫るタイムだった。
そして2位に輝いたのは、ウクライナのオレナ・スタリコワ。2022年のネーションズカップで複数枚のメダルを獲得したミリアム・ヴェチェのタイムを0.03秒ほど上回り、銀メダルを獲得した。
選手名 | 国名 | タイム | ||
優勝 | エマ・ヒンツェ | HINZE Emma | ドイツ | 32.668 |
2位 | オレナ・スタリコワ | STARIKOVA Olena | ウクライナ | 33.403 |
3位 | ミリアム・ヴェチェ | VECE Miriam | イタリア | 33.434 |