選手に自信を与えた第1戦

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活躍した選手たち

Q:活躍した方々について聞きたいと思います。まず梶原悠未選手のパフォーマンスについてはどうでしたか?

とても良かったです。

ここ数ヶ月はWCC(※ワールドサイクリングセンターの略)でロードに集中して走っていましたので、トラック競技のトレーニングは行っていないという状況でした。スピードやパワーはロードを行うことで少し落ちたかもしれませんが、逆に持久力は上がりました。

注目して欲しい結果は現世界チャンピオンのロッテ・コペツキーを倒したベルギーのポイントレースです。チャンピオンのホームトラックで勝つことが出来ました。これはとても大きなことです。

ロッテ・コペツキー KOPECKY Lotte, BEL, Women's Omnium, 2022 Track Nations Cup, Glasgow, Great Britain

ロッテ・コペツキー

ネーションズカップのオムニアムでは1種目目で上手くいかなかったにも関わらず、逆転して優勝することも出来ました。

良かった点は、最初の失敗のリカバリーができたことです。最後のポイントレースはいつもの課題なのですが、とても良い走りをして、そして優勝しました。

私は梶原が4種目を通じてコンスタントに力を発揮することが出来ると信じていますが、これまでは最後のポイントレースで順位を守るような走りになってしまっていました。今回は最後に逆転できたということが大きな収穫だと思っています。

梶原悠未 KAJIHARA Yumi, JPN, マイケ・ファンデルドゥイン van der DUIN Maike, NED, ロッテ・コペツキー KOPECKY Lotte, BEL, Women's Omnium, 2022 Track Nations Cup, Glasgow, Great Britain

Q:今村駿介選手はどうでしたか?

彼は元々素晴らしい選手だったのですが、今回のレースで良い経験と実績を加わりましたね。

今まで大きなレースを走る機会が少なかったのですが、橋本英也のリザーブとして東京オリンピックへの準備もしていましたし、東京で戦える能力も持っていました。今村は新型コロナの影響によって能力を披露する機会が無かっただけです。

今村駿介 IMAMURA Shunsuke, Men's Individual Pursuit, 2022 Track Nations Cup, Glasgow, Great Britain

今村駿介

ベルギー、ネーションズカップ第1戦とロードレースで名を馳せた選手たち、元世界チャンピオン、元オリンピックチャンピオンなど強豪が揃っていました。第1戦は男子中長距離にとって、どの国にとっても全3戦中、最も過酷な戦いになったと思います。ですから第1戦で得た結果は本物です。

身体的な強さが証明できた

Q:マディソンはどうでしたか?

今まで世界のトップレベルでマディソン表彰台を争うことはありませんでした。それもあり、これまでよりも上を狙えるとは思っていたものの、予想した以上の結果となりました。

トマ・ブダ BOUDAT Thomas, ベンジャミン・トマ THOMAS Benjamin, FRA - France, 窪木一茂 KUBOKI Kazushige, 今村駿介 IMAMURA Shunsuke, JPN - Japan, ミケーレ・スカレテッティーニ SCARTEZZINI Michele, シモーネ・コンソーニ CONSONNI Simone, ITA - Italy, Men's Madison, 2022 Track Nations Cup, Glasgow, Great Britain

選手たちのフィジカルと技術を向上させてきました。毎週マディソンの練習をして、多大な時間と労力を投資してきましたし、その努力が実った瞬間を見ることが出来た本当に嬉しかったです。結果には驚きましたが、一方で力強い走りを見せてくれたことには驚いていません。

Q:メダルが獲れたということはマディソンを走る上での十分なテクニックがあるということでしょうか?

どんなに上手だったとしても“十分”はありません。

基礎は身に付きましたし、身体的な要素が今回は前面に出ました。テクニカルな面をもっと磨き、もっと効率よく走り、交代のタイミングをしっかりコントロールすることで更に良くなれます。そうすればコンスタントに結果を出せるかと思います。

私にとって選手たちの身体的な強さが証明できたこと、レースの回数をこなしていけばテクニック面でまだまだ向上出来るだろうと思えたことは大きな収穫でした。これは男子にも女子にも言えることです。

Q:男子のチームパシュートはどうでしょう?

今年については、世界選手権でどれだけのタイムが出せるかです。世界選手権に出るためにはネーションズカップに1回でも出場すれば良かったので、ネーションズカップ第1戦はタイムを狙うというよりは出場すること自体が目的でした。

ただ、そのような目的の中で3分54秒を出せたことは良かったです。練習をほとんど行っていない中でのレースだったので、準備が無かったことを考えると出したタイムは予想していた以上でした。

加えて、1回戦の最後の1kmは全体で2番目に速いタイムでした。そのタイムを見て選手たちに伝えたことは、1つ目に「もっと速くすることは可能だということ」、そして2つ目に「フィジカルが良い状態であること」です。

橋本英也 Eiya Hashimoto, 窪木一茂 Kazusige Kuboki, 今村駿介 Shunsuke Imamura, 兒島直樹 Naoki Kojima, Men's Team Pursuit, 2022 Track Nations Cup, Glasgow, Great Britain

個人種目が始まる前に他の国の選手たちよりも良い状態にあること、そして自信を持って積極的なレースをして欲しいと言いました。チームパシュートの結果がその後に続く個人種目に自信を与えてくれた形です。

第2戦のターゲットは?

Q:第2戦、中長距離のターゲットとする種目は?

オムニアムとマディソンです。まだUCIポイントも必要ですし、男女ともにマディソンで世界選手権に出場するための十分なポイントがありません。

そのポイントを得るために良い結果を出すことが必要になります。オムニアムでは梶原が既に第1戦で優勝していますが、同じような結果を出すことが目標です。男子は第1戦の今村の6位という成績を上回り、更なるUCIポイント獲得を狙います。

内野艶和 UCHINO Tsuyaka, Women's Madison, 2022 Track Nations Cup, Glasgow, Great Britain

Q:第2戦では梶原選手と内野艶和選手でマディソンを走ることになりますね。

梶原と内野のペアでマディソンを走ったことはまだありません。しかし2人はマディソンで一緒に走れる技術を持っていますし、一緒に走ることでどれだけの結果が生まれるのか……そこはは走ってみないと分かりませんが、楽しみです。

Q:様々な選手が結果を出すことで、最終的に大事な選考に頭を悩ませることになりそうですね。

もしそうなれば本当に嬉しいことです。選考が難しくなればなるほどチームの中には才能が溢れているということです。

そして現状でも良い選手たちが居ますが、アカデミーにも将来性のある選手たちがいます。今は良いパフォーマンスも発揮出来ていますし、誰もがやる気に溢れています。そしてレースの結果によってチームに自信が加わってきました。チームとしてとても良い状態ですし、他の国から注目をされる存在にもなってきています。

クレイグ・グリフィン, Men's Team Pursuit, 2022 Track Nations Cup, Glasgow, Great Britain

日本時間入り UCIネーションズカップ第2戦スケジュール