4速ならではの見所

4速を走る選手にとって一番頭を悩ませるのが「いつ先頭責任を取りに行くか」。「取得本数の勝負ではない」ことと、「ホームとバックの2ヶ所でそれぞれ取る必要がある」ことがミソである。

スタンディングスタートが得意な選手は最初の1本目を取りにいくもよし。取りにいった選手に合わせてついて行き、ライン際で差すのもよし。地脚に自信があるならば、大逃げを打って他の選手の先頭責任取得機会を奪うもまたよしである。

実際に決まった様々な戦法・展開

タイミングの見極めが大事

終盤に逃げを打って先頭責任を完了し、そのままの勢いでゴールも取ってしまう「一発の仕掛けで全てを持っていくレースプラン」は、初心者の方が見てもわかりやすいものだろう。こちらの2017年のインターハイ決勝では、動画内5分10秒過ぎに飛び出した1番選手がこの戦法で優勝している。シンプルだからこそ判断力と地脚が求められる、強者にしか出来ない走りだ。

玄人感溢れるレース運び

先頭責任を完了したらあえて集団に戻り、先頭責任が足りていない選手に逃げを追わせる戦法もある。完了していない選手の終盤の動きに乗っていき、最後にゴールを仕留めるという実に巧妙なレース運びである。2018年のインターハイ決勝はこのパターンに上手く持ち込んだ2名のゴールスプリントにて雌雄を決した。

2018年インターハイ 4km速度競走決勝 動画 (外部サイト:東海総体2018 インターハイ応援サイト インハイ.tv(全国高体連公式) | スポーツブル (スポブル))

勝たなくてもいい

勝ち上がることさえ出来れば良い予選では、また違った展開が生まれることが多いのもこの種目の特徴。複数名の先頭責任完了済みの選手による協調体制の取れた逃げが決まることもしばしば。メイン集団に先頭責任の引っ掛けや完了をしている選手がいると、彼らは逃げを追う必要がなくなるため、更に逃げが決まりやすくなる。

2017年インターハイの準決勝1組目ではスタートから飛び出した3名の逃げが決まり、決勝に上がるための残り2枠は先頭責任0本の選手達の着順で争われた。集団内にいた選手は、「逃げを潰すためにリスクを取るよりも、ゴール勝負に掛けたい」という判断をしたのだろう。

とりわけルールが複雑なのが玉に瑕ではあるが、この種目への理解さえ進めば、他の種目とは段違いのスピードで繰り広げられる高度な頭脳戦に魅了されること間違いなし。たった5分のレースでいくつもの思惑が目まぐるしく交錯する様は観ている側もドキドキするほどだ。

日本独自の種目であるが故に、競技の国際化の煽りを受けてしまうのは致し方ないところだろう。国内で4km速度競走が見られるうちに是非一度ご覧になってみてはいかがだろうか。

【インターハイ】高体連自転車競技の概要【全国選抜】