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帰国してからの日々

新城幸也

7月に入ってから日本に帰国して、チームとしてのトレーニングに参加しています。オリンピックバブルの帰国方法で、海外の選手と同じ手はずで入国しました。ホテルの3日間隔離は免除でしたが、毎日PCR検査を受け、居場所を報告する義務があります。トレーニングはできますが、買い物や飲食店の利用はできませんので、食事はずっと宿の食堂のみです。

とはいえ、このような環境は海外レースの時と変わりません。ストレスを感じることはほぼないですね。

Q:本番コースの試走は行いましたか?

はい。ただし富士山の高いところは有料道路で走れないので、そこを除いた箇所です。コースを通して走ったわけではなく、ポイントごとに区切ってとなりますが、それでも全体を5回は走りました。コースはしっかり頭に入っています。

Q:「沿道での応援も控えるように」となっています。

人命に関わることですから、こればかりは仕方がないです。僕自身は、ヨーロッパでも観客のないレースを経験していますので・・・僕よりは、ロードレースを愛する方が心を痛めていると思います。すべての競技がそうだと思います。

正直、勝負から遠いところにいる

Q:どのような練習を行なっていますか?

正直、データで見れば僕は勝負から遠いところにいます。自分でも知っています。いくら獲得標高や暑さに対する準備をしても、今ツール・ド・フランスを走っているメンバーと比べたとき、自分がどんな順位にいるかはよくわかっています。

でも、ロードレースはデータだけで見るものではなくて、メンバーによって何が起こるかわからないし、天候によって展開も変わってくる。なので「成績を出すためのあらゆる準備」をしています。もちろん今回のコースは気温や獲得標高がキーとなりますが、それだけじゃなく、広範囲を見て準備をしています。

重視しているポイントとしては「登り」です。それがないと勝負権がなくなってしまうので、最終調整の中で重視して行なっています。

Q:現在のコンディションはどうですか?

正直よくわかりません(笑)いつものレースのように準備しています。ただいつもと違うのは、日本で落ち着いて準備ができていること。やっぱり移動してからレースの準備をするより、落ち着いて準備ができるこの状況はアドバンテージとなります。

Q:順位的な目標は?

僕はたぶん、30位以内に入ることは正直難しいです。でも日本で行われるオリンピックということで、モチベーションはこれまで以上に高い。そのために準備をしてきました。ひとつでも良い結果を残したいと思っています。

データで測れない力を出せれば、と思います。

制するのは誰?

ジャパンカップロード2019 新城幸也

Q:オリンピックのレースは、普段のレースと雰囲気が違うものなのでしょうか。

違いますね。オリンピックは国ごとで、最大人数も5人です。いつもと違う展開になることもあります。でもそれが嫌いということはなくて、似たような状況となる世界選手権でも成績を残しています。走り方は心得ていると思いますし、力を出し惜しみせず、悔いを残さずやるだけ。その点では、いつもと同じです。

今回は増田選手と2人チームですが、現状どんな作戦で行くかは決めていません。状況に応じて、お互いにミスのないように走る事になるかと思います。

Q:一番望んでいる展開はどんな展開でしょうか?

望めがキリがないので難しいですが・・・逆に、一番望んでいない展開なら簡単に答えられます。

「スローペースで三国峠まで集団でいくこと」が、一番望んでいない展開。レースが動いて欲しいですが、だからと言って道志みちから動くのは僕にとってもきつい・・・でも、どちらかというとそのほうが良いのかな。

ロードレースコースマップ

動いたレースの方が理想です。きつい登りである三国峠までレースが動かないのは、嫌な展開ですね。

Q:展開を作るのはどの国になると思いますか?

走ってみないとなんとも言えませんね。ただ、オリンピックの最大人数は1カ国あたり5人。3人を勝負どころに残したいなら、2人しか行くことができない。・・・となると、1カ国でずっとコントロールするのは難しいでしょう。2、3カ国でまとまらないと、レースを落ち着かせることができないと思います。

Q:改めて、1年延期という稀有なオリンピックとなりました。

延期と聞いた時は嬉しかったです。「中止にだけはならないで欲しい」と思っていましたから。18歳からヨーロッパでレースをしていて、日本で国際レースを走ったことがありません。東京オリンピックは、僕が現役で走っている間に、日本で走れる最高の舞台です。

開催されることには感謝しかありません。フィニッシュ地となる富士スピードウェイは、数少ない有観客の会場です。各自感染対策をしっかりした上で、世界トップの走りを見て欲しいです。

日本のみなさんがこのようなレースを見る機会はかなり限られますよね。どうやって登るのか、この人数が走るとどれだけの風が吹くのか・・・普段感じられないことを感じる機会となれば、と思います。

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