ツール終了から早1週間。中には”ツールロス”になった方もいるのではなだろうか。今年は例年と比較しても山岳コースが厳しい設定となっており、予想外の走りを見せたジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)などフランス勢の活躍が目立った中、終盤に力を発揮したエガン・ベルナル(チームイネオス)が自身初、コロンビア人として史上初の個人総合優勝を果たした。

走り出したのは176人、そして完走できたのは155人。例年よりも盛り上がりを見せたツールの余韻が抜け切らない内に、3週間で3000km以上を走り切った選手たちの勇姿を今一度振り返ってみよう。

フランスが黄色に染まった夏

序盤はチーム・ユンボビスマが波に乗り第1・2とステージ2連勝。急勾配やアップダウンに強いアラフィリップが第3ステージ優勝と共にマイヨ・ジョーヌを獲得。そして大会前半からアップダウンと山岳ステージなど見応えのあるコースで、逃げ集団によるステージ優勝、山岳賞争いが激しく展開された。

マイヨ・ジョーヌ奪還に成功したジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
参考:LeTour

大会最初の山岳ステージとなった第6ステージでは弱冠24歳のイタリア人クライマー、ジュリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)がツール初のステージ優勝に加えて、誰もが憧れる黄色のマイヨ・ジョーヌに2日間袖を通した。

ツールドフランス

出典:LeTour

第8ステージでは再びアラフィリップがマイヨ・ジョーヌの奪還に成功。フランス国民の期待を胸に個人タイムトライアルで勝ち星を挙げ、激戦となった大会終盤、アルプスの山岳連戦までマイヨ・ジョーヌを守り、なんと21ステージ中14ステージもの間、黄色のジャージを着用した。

終盤の第19ステージでは、まさかの土砂崩れによってレースが中断されてしまう。これによりレース中盤でのタイムがフィニッシュタイムとなり、アラフィリップが着用していたマイヨ・ジョーヌは個人総合で2位だったベルナルへと渡る。その後アラフィリップによる逆転劇は起きず、最後の第21ステージまで無事に走り切ったベルナルがツール出場2回目にして、初の個人総合優勝を果たした。

ツールドフランス

個人総合首位のエガン・ベルナル(チーム・イネオス)参考:LeTour

そしてスプリンターたちの晴れ舞台となった最終ステージ。毎年恒例のパリ・シャンゼリゼのゴールスプリントを制したのはカレブ・ユアン(ロット・ソウダル)。ユアンは今大会最多となる3回のステージ優勝を果たし、”ポケット・ロケット”のニックネーム通り爆発的なスプリントを見せて、106回目のツール・ド・フランスの幕を閉じた。

個人総合優勝、ステージ優勝など華々しい戦いにスポットライトが当たる一方、完走できずに夢の舞台を去っていった実力者たちもいる。ツールの前哨戦として行われたクリテリウム・ドゥ・ドーフィネにて個人総合優勝を果たし、今大会でも活躍を期待されたヤコブ・フルサング(アスタナ・プロチーム)、2018年シーズンからロードレースに転向した元シクロクロス世界王者で、第2〜5ステージでは新人賞ジャージを獲得したワウト・バン・アールト(チーム・ユンボビスマ)、そして超級山岳でステージ1勝を挙げたティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ)。実力者たちのリタイアからツール・ド・フランスがいかに過酷なのかが伺える。

ティボー・ピノのリタイアしてすぐの様子↓

若くして頂点に立ったエガン・ベルナル