ブリヂストングループがパラアスリート技術支援をスタート

10月12日、東京・丸の内で株式会社ブリヂストン(以下、ブリヂストン)とグループ会社のブリヂストンサイクル株式会社(以下、ブリヂストンサイクル)、ブリヂストンスポーツ株式会社(以下、ブリヂストンスポーツ)が記者会見を開き、チームブリヂストンのパラアスリートを中心に、スポーツ義足用ゴムソールと車いす競技グローブ用ゴムなどのツール開発を行っていくと発表した。

会見には、膝上切断でトライアスロンを行っている唯一の日本人選手であり、リオデジャネイロオリンピックにも出場したパラトライアスロン秦由加子選手が出席。秦由加子選手はブリヂストンより今年から義足用ゴムソールの提供を受けており「感動する位のグリップ感、本当に安心して走れるってこんなに楽しい」と感動を語った。

パラトライアスロン 秦由加子選手

秦由加子選手プロフィール

1981年千葉県出身。3歳から10歳まで水泳を習う。13歳で骨筋腫を発症し、右足の大腿部切断を余儀なくされてからはスポーツから遠ざかっていたが、2008年に障がい者水泳チームで水泳を再開。2012年にトライアスロンに転向した。膝上切断でトライアスロンを行っている唯一の日本人選手。

2014年世界トライアスロンシリーズ横浜大会パラトライアスロンT2女子優勝。2015年世界トライアスロンシリーズ横浜大会パラトライアスロンPT2女子優勝。2016年リオデジャネイロオリンピック出場、PT2 6位。ITUパラトライアスロンワールドカップ(サラソタ) PTS2 優勝。

2020年まで、更に成長できる

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先日の海外レースは向かい風もあるタフなレースで、パワーが試されるレースだったのですが、ポジションが身体にしっくりきてると自信を持って力強く踏み込んでいけました。ランに関しても、30度を超える暑いレースで、路面も砂があったり凸凹があったり…水をかぶるので足元はビショビショに濡れているという中で、最後まで滑るとかなく、今までとは違うレースができたと思います。

バイクのポジションが身体に染み付くまで、まだ時間がかかると思いますが、という事はまだまだ伸びしろもあるという事でもあると思います。

膝を無くした事で(今シーズンから義足を海外で主流のストレートタイプに変更)ランニングフォームが全く変わりました。脚を真っ直ぐに振り出せなくなるんです。横から脚を振り回して走らなければいけないので、身体の軸もブレるし、脚の筋力で義足を持ち上げて前に振り出すなど、使う筋肉が全く変わりました。今シーズン、やっと1年かけて筋力もついてきて、ランにも安定感が出てきたかなと思っています。

秦由加子選手の使用するBRIDGESTONE ANCHOR RS9

これから東京2020に向けて、道具を色々と変更をし今年1年やって来てたので、来年以降はまだまだ、ここから伸びていくと自分でも思っています。2020年に向け、更にこの道具を使い成長していきたいと思っています。

ブリヂストンのサポートによる変化

私一人で競技をやるのではなく、沢山の人に応援していいただきながら競技が出来るという事は幸せなことだと思います。東京2020でも、チーム・ブリヂストンで喜びたいと思っているので、今後も頑張っていきます。

(ブリヂストンの方には)実際にレースへ応援しに来ていただいて「今日の道具どうだった?」とフィニッシュした時も待ってていただけるので、それが力になっての…(メダルを見せながら)“コレ”です。

以前に参戦したレースでショックだったのが、ランですごく調子が良かったんです。でもヨーロッパの石畳はツルツルで、しかも濡れてるとものすごく滑るんですね。身体は元気なのに、思うようなレースが出来ないという事が…すごい練習してきて、そこに臨んでいるだけに、それがすごく悔しかったんです。それが、今シーズンになってブリヂストンさんにソールを作っていただいて、初めてレースに出た時、感動する位のグリップ感と「本当に安心して走れるってこんなに楽しいんだな」と思うくらい…本当に無理して褒めてるわけではなくて(笑)すごく気持ちよく走る事ができました。

技術支援スタートの背景