「最大の敵は己にあり」自ら樹立した世界記録を塗り替えた選手たち／東京2020パラリンピック

女子Cクラス

李樟煜（中国・男子C1）

2016年 リオデジャネイロパラリンピックでは、大会前から自身の持つ障害により苦しんだ李樟煜（リ・チャンユー）。トレーニング中に痛みやめまいを頻繁に繰り返したものの、出場した2種目において世界記録を更新し、金メダルを獲得した。

大会後に痛みが再発したことで引退を考えたものの、2018年にはトラックとロードの世界選手権で銅メダルを獲得する活躍を見せ、さらに2020年の世界選手権・1000mTTでは自身の世界記録を更新してみせた。

そして翌年開催された東京2020パラリンピック・1000mTTでは、自身の記録を3秒ほど上回る「1:08.347」を決勝で叩き出し、またしても新世界記録を樹立した。

C1 1000mタイムトライアル

アレクサンドル・ルオテ（フランス・男子C2）

2000年生まれの若手選手、アレクサンドル・ルオテ。自身初出場となった本大会 1000mTTでは、パラリンピック記録・世界記録が次々と更新される熱い戦いが繰り広げられた。

2020年の世界選手権でアレクサンドルが樹立した世界記録「1:11.373」を、決勝にてゴードン・アランに塗り替えられるも、さらに「1:09.211」で抜き返し、世界記録保持者の座を再び勝ち取った。

大会開催時、20歳だったアレクサンドル。早くも2024年開催のパリパラリンピックへの出場を目指し、日々トレーニングに励んでいでるという彼のさらなる活躍に期待がかかる。

C2 1000mタイムトライアル

参照：france bleu

ジョディ・カンディ（イギリス・男子C4）

先天性の障害により3歳の頃に左脚を切断したジョディ・カンディは、1996年のアトランタパラリンピックから計7回の出場数を誇り、全大会でメダルを獲得しているレジェンド。

最初の3大会では水泳種目に出場。2006年に自転車競技選手としてのキャリアをスタートすると、その年の世界選手権でいきなり優勝を遂げる。その後、世界選手権で22のメダル、パラリンピックで5つのメダルを獲得してきた。

メダル獲得とともに多くの世界記録を樹立してきたカンディは、東京2020パラリンピック C41000mタイムトライアルにおいて「1:02.529」を記録し、自身のパラリンピック記録を更新。しかし、2014年に樹立した世界記録の更新には1歩届かなかった。

C4 1000mタイムトライアル

参照：British Cycling

ヨゼフ・メテルカ（スロバキア・男子C4）

2009年、交通事故で左足を失ったヨゼフ・メテルカ。それまでスキー、自転車、マウンテンバイクなどをしていた彼は、事故以降パラスポーツ トラック競技の道へ。12回もの世界選手権制覇、金メダル2個獲得（リオ）を成し遂げ、スロバキア パラサイクリング界のスーパースターとなった。

東京2020パラリンピックでは、トラックC4 4000mパシュートで金メダル、C4-5 1000mタイムトライアルで銅メダルを獲得した。

ヨゼフは、2016年 リオデジャネイロパラリンピック・C4 4000mパシュートにおいて「4:29.112」のタイムを叩き出し、パラリンピック記録を更新。同年の世界選手権では「4:26.924」を記録し、世界記録も更新した。

この2つの記録は4年間破られることがなかったが、ヨゼフが東京2020パラリンピックで記録したのは「4:22.722」、実に4年ぶりの更新となった。

C4 4000m個人パシュート

参照：Paralympics.sk , ヨゼフ・メテルカ公式HP , パラリンピック公式

アルフォンソ・カベリョ リャマス（スペイン・男子C5）

左腕が義手の選手。初出場の2012年 ロンドンパラリンピック・1000mTTでは「1:05.947」を記録し、世界記録更新・金メダル獲得を果たした。

2014年の世界選手権では、自身が打ち立てた記録を4秒以上も上回る「1:01.683」で世界新記録を樹立。続く2016年 リオデジャネイロパラリンピックでは、パラリンピック記録を更新するも世界記録更新には至らなかった。

リオデジャネイロパラリンピックから5年。トレーニングを積み重ね、出場した東京2020パラリンピック C5 1000mTT決勝で「1:01.557」を記録し、自身の持つ世界記録を塗り替え、金メダル獲得を果たした。

C5 1000mタイムトライアル

参照：アルフォンソ・カベリョ公式HP

混合 C1-5 750mチームスプリント

前世界記録保持者は2020年の世界選手権で「48.096」を記録した中国チームだったが、東京2020パラリンピックにおいてイギリスチームがその記録を塗り替えた。

中国チームは予選において、自身らが持つ記録を0.04秒上回る走りを見せるも、決勝に勝ち上がったイギリスチーム（カディーナ・コックス、ジャコ バン・ギャス、ジョディ・カンディ）がさらに速い「47.579」を記録し、世界新記録・パラリンピック記録保持者が交代となった。