2021年9月5日に閉幕した『東京2020パラリンピック』。13日間の全日程のうち、自転車種目は8日間開催された。
選手たちは障害の種類や程度、使用する自転車によってクラス分けされ、17のトラック種目と34のロード種目、計51種目が行われた。本記事では、その東京パラリンピックで新たに樹立された、世界記録とパラリンピック記録を一挙にご紹介していく。
世界記録・ パラリンピック記録とは?
混同しやすい世界記録とパラリンピック記録を簡単にご説明。世界記録とは、「UCI(世界自転車競技連合)が認める大会の全記録」が対象。全世界で、UCIの定める基準に沿った大会かつ、UCIが認めた大会で記録された最速のタイムだ。
一方パラリンピック記録は、「パラリンピックにおける記録のみ」が対象。ただしパラリンピックはUCIの認める大会であるため、樹立されたパラリンピック記録が既存の世界記録を上回るタイムであれば、それはパラリンピック記録かつ世界記録となる。
しばしば「どちらの記録更新がより難しいのか」の議論がなされるが、それは考え方によって異なるだろう。
タイムのみにこだわれば、例外なく世界最速である「世界記録の方が難しい」と言える。しかし毎シーズン、複数の大会が対象となる世界記録に対し、パラリンピックは4年に1度。決まった大会で好成績を残して出場枠を獲得し、さらにパラリンピック本番でもベストな走りができなければ樹立できないものだ。どちらも凄いことに疑いの余地はない。
※オリンピック記録も同様
参照:UCI規則トラック Capter V「世界記録」(P.96)
トラック種目で25の新記録誕生
「東京パラリンピック 自転車」ではトラック種目にてパラリンピック記録及び世界記録が更新された。しかし開催された17のトラック種目より多い、「25」のパラリンピック記録が更新され、そのうち「22」のパラリンピック記録が新たな世界記録となるほどの「新記録祭り」となった。
パラリンピック記録および世界記録の数が全種目数を上回っているのは、クラスを統合した種目があるため。例えば「C1-3 タイムトライアル 」ではC1からC3クラスの選手がまとめてレースを行うが、記録認定は各クラスごとで行っている。「C1-3 タイムトライアル 」から誕生する「金メダリスト」は1人だが、世界新記録保持者は最大3人誕生する可能性があるのだ。
東京パラリンピックで世界新記録を2つ以上樹立した選手
選手名 | 国・チーム | クラス | 世界記録を更新した種目 | メダル獲得種目 |
ジャコ・バン ギャス | イギリス | C3 | 男子 C3個人パシュート 男子 C3タイムトライアル 混合 C1-5チームリレー |
C3個人パシュート(金) C1-3タイムトライアル(銅) 混合 C1-5チームリレー(金) |
ジョディ・カンディ | イギリス | C4 | 男子 C4タイムトライアル 混合 C1-5チームリレー |
C4-5タイムトライアル(銀) 混合 C1-5チームリレー(金) |
アレクサンドル・ルオテ | フランス | C2 | 男子 C2個人パシュート 男子 C2タイムトライアル |
C2個人パシュート(金) C1-3タイムトライアル(銀) |
銭王偉 | 中国 | C2 | 女子 C2個人パシュート 女子 C2タイムトライアル |
C1-3タイムトライアル(銅) |
カディーナ・コックス | イギリス | C4 | 女子 C4タイムトライアル 混合 C1-5チームリレー |
C4-5タイムトライアル(金) 混合 C1-5チームリレー(金) |