木製とコンクリート製
異なる点「その2」が、バンクの材質が木製であるかコンクリート製であるかということ。
1周250m以下のベロドロームは木製。1周333m以上の競輪場の場合はコンクリート製のバンクになっている。これは上でご紹介した、カントと周長の違いに関係している。
高速で走行する選手の安全を守るために、路面は限りなく「平ら」であることが要求される。一般道などでは「垂直に圧力を掛ける」ことで平坦な路面が完成するが、ベロドロームのカントが急なカーブ部分では、垂直に圧力をかけて工事することが難しい。
このような施工上の理由もあり、ベロドロームはシベリア松などの変形可能な木材で走路が作られている。日本においては競輪場という形でコンクリート製の競技場がたくさんあったが、海外では木製のベロドロームが大多数のため、木製の走路に慣れるためにも日本国内に木製250mバンクが作られた(参考:朝日新聞)。
なおコンクリート製の競輪場の工事も、専用の重機や高い技術が必要とされる。どちらも一流の職人が手掛ける難しい工事なのだ。
参考:Velodrome.shop, 日本道路株式会社 , 株式会社NIPPO, 施工の神様
屋内と屋外
トラック競技を行うベロドロームは、多くの場合屋内競技場となっている。「より速く」というスポーツの観点から、風などの空気抵抗を削減する効果がある。
一方、競輪の競技場となる競輪場には屋内外の指定が特にない。ほとんどが屋外の競輪場だが、前橋競輪場や小倉競輪場などの屋内競輪場も存在する。
※UCIの規定には屋内外の指定はないが、公正な記録の測定などの目的で主要国際大会では屋内競技場が使用される。
参照:UCI規定 TRACK CYCLING CHAPTER 3(P. 115, 技術的仕様と自転車競技の公認)