伊東市が名乗りを上げた理由
Q:これまでも関係各所の協力を受けた「国際自転車トラック競技支援競輪」はありましたが、今回は伊東市でHPCJC支援競輪を実施すると伺っています。
そうですね。近隣地域である伊豆に日本自転車競技連盟(JCF)の下部組織、ハイパフォーマンスセンター(HPCJC)があることが大きな理由です。東京2020オリンピックでも女子オムニアムでは梶原悠未選手が銀メダルを獲得したり、男子ケイリンでは脇本雄太選手が7位となったりと、リオデジャネイロオリンピックよりかなりの進歩がありました。競輪選手養成所や伊豆ベロドロームにも、地域的に親しみがあります。
ジャパンカップは今回で開催52回目になるのですが、カップ戦の良いテコ入れになれば、との思いもあります。競輪界は今収益も伸びていますので、少しでも選手の強化・サポートをしていきたい。世界で戦うアスリートを応援していきたい、と考えています。
また、この支援を通じてアマチュア選手が競輪選手になるきっかけになってほしいとも思っています。橋本英也選手や窪木一茂選手のような例の下支えになることも含め、JKAと連携をとりながら、この開催を企画しました。
Q:「ジャパンカップ」自体はどのようなテーマの開催なのでしょうか?
「ジャパンカップ」は競輪の収益が厳しい時代に立ち上がったものです。記念競輪(G3)だけだとなかなか収益が上がらないこともあり、カップ戦……少し格上のF1である「スーパーF1」を作ることで、Fグレードでも収益を得ることを目的としました。
ざっくばらんにいうと「2年に1度開催の、必ず儲かるF1をやろう」という企画ですね。運営する以上、収益を上げて自治体に還元する使命があります。
最初は「南関カップ」として南関東中心でしたが、次第に全国の主要な場に広がり、名前を「ジャパンカップ」に改めました。
「少しでもみんなで助け合い、競輪事業の収支を良くしよう」と、施行者の企画で立ち上がったものです。これに追随したカップ戦も存在しますね。
我々施行者は「競輪が社会の役に立っているんだ」ということを前提に、収益を追求する必要があったのです。
Q:今回はそれにHPCJCコラボを加えることで、刺激を与える意味があるのですね。
そうですね。ジャパンカップ自体は長くやっておりますが、「×HPCJC」のサブタイトルは今回が初です。
ジャパンカップ場は全国に12場ありますので、賛同していただける競輪場に同じような動きをしていただければ、嬉しいことだと思います。
オリンピックが終わり、HPCJCの成果は評価しています。アマチュアから頑張ってプロになったり、世界に向けて頑張ってる選手を応援していきたい気持ちですね。
仮に赤字だったとしても……
Q:オリンピックの結果は高く評価しているんですね。
そうですね。脇本選手もアンラッキーで負けてしまいましたが、力量的には十分だったと思います。梶原選手も、競輪選手ではありませんが、銀メダルを獲得。先日の世界選手権でも佐藤水菜選手が銀メダルを獲得しました。一定の成果が出ていると評価していますし、少しでも継続できるように応援していきたいと思っています。
Q:では、もしオリンピックが惨敗だったら、このようなコラボもなかった……?
その辺は微妙ですけど(笑)。やっぱり成果は大事ですから、オリンピックの結果が一因ではありますね。
Q:今回、売り上げのパーセンテージを支援に充てるのではなくて、売り上げに関係なく一定の金額を支援に充てると伺っています。
はい、収益から一定額を支援に充てます。売り上げはやってみなきゃわからないですし、F1は売り上げが上がらない場合もあります。ただカップ戦ですと売り上げが上がる可能性が高くはありますので、チャレンジさせていただきました。仮に赤字だったとしても支援する心意気でやっています。
Q:リスクも負いつつ、それでも応援したいということですね。
その通りです。