日本競輪選手養成所にて、2019年5月に改正された新制度「早期卒業制度」。この初代となる117回生の寺崎浩平菊池岳仁は2019年12月に卒業・翌年1月にデビューし、寺崎はデビューから18回、菊池は13回の連勝を達成するなど、デビュー早々鮮烈な印象をファンに焼き付けた。

そんな2人を輩出した「早期卒業制度」。改めてこれがどのような制度なのかをおさらいしよう。

養成所で過ごす1年

所定の試験に合格した者は、約1年間を全寮制の競輪選手養成所で過ごす。入所した者は「選手候補生」と呼ばれる。

1回の入所で「第119回生・第120回生」のように2回生分が入所となるが、これは奇数を男子、偶数を女子の期別として振り分けているためだ(例:119回生が男子、120回生が女子)。

早期卒業制度には、この1年間のうち3回行われる「卒業認定考査(記録会)」が大きく関わってくる。

4月 事前研修
5月 入所式
第1回卒業認定考査
8月 夏季帰省
9月 第2回卒業認定考査
12月 早期卒業
冬季帰省
2月 第3回卒業認定考査
3月 卒業記念レース
卒業式

記録会・帽色とは?

卒業認定考査は記録会とも呼ばれる。

日本競輪選手養成所では、記録会の成績によって、訓練時に着用するヘルメットキャップの色(帽色)が決められ、色に応じた報奨金が支払われる(例:ゴールデンキャップ獲得1回につき20万円)。

入所直後の5月と、中間期である9月に行われる記録会でゴールデンキャップ(スピード・持久力共に優れた候補生に与えられる)を獲得した場合、「早期卒業」の候補者として選出されることとなる。

日本競輪選手養成所案内(PDF)

ヘルメットキャップの白・黒・赤・青は記録会ごとの能力区分によって養成所から「貸与」されるが、金のゴールデンキャップだけは本人に「授与」される。

ヘルメットキャップの色分けの基準は以下の通り。

能力区分基準タイム(男子)

200m 400m 1000m 3000m 備考
S 11″20以内 23″00以内 1’08″00以内 3’49″50以内 スピード、持久力共に優れている者
A 11″50以内 23″70以内 1’10″50以内 3’58″50以内
B 11″50以内 23″70以内 スピードはあるが持久力に劣る者
C 1’10″50以内 3’58″50以内 持久力はあるがスピードに劣る者
D 上記以外の者 スピード、持久力共に劣る者

能力区分基準タイム(女子)

200m 400m 500m 2000m 備考
S 12″30以内 25″50以内 38″30以内 2’41″50以内 スピード、持久力共に優れている者
A 12″80以内 26″20以内 39″40以内 2’49″00以内
B 12″80以内 26″20以内 スピードはあるが持久力に劣る者
C 39″40以内 2’49″00以内 持久力はあるがスピードに劣る者
D 上記以外の者 スピード、持久力共に劣る者

またこれらの記録会の結果は報道もされるため、卒業後の期待値に影響を与える。

ゴールデンキャップ獲得者は史上最多の5人!?/日本競輪選手養成所 第117回・第118回生 第2回記録会

ゴールデンキャップだけで早期卒業はできない