2019年9月より日本中長距離のヘッドコーチに就任したクレイグ・グリフィン。日本ナショナルチームを率いてのワールドカップ初陣で、名将は今回の大会で何を狙うか。そして、現状の日本チームの戦力をどう考えているのか?大会開催前に素直に聞いてみたところ、現実的な分析と共に目標を明確に語ってくれた。

Q:日本の中長距離を率いてのワールドカップ初戦ですが、選手たちにはどの様な期待を持っていますか?

今回は少人数での参加となりますが、戦えるチームで来ています。

梶原オムニアムで好成績を狙える立場にいますので、彼女には表彰台に乗ってもらいたいし、その姿を見たいと思っています。グラスゴーに来たのは梶原にレベルの高い中でのレースを少しでも多く経験させることが目的です。またレースの中で戦術的にも技術的にも進歩をさせるためにここに来ました。彼女が表彰台に上がる可能性はかなり高いと私は思っています。

梶原悠未 TISSOT UCI TRACK CYCLING WORLD CUP II, Glasgow, Great Britain

女子のマディソンについてはオムニアムよりも現実を見る必要があります。今回は8位以内に入り、少しでも高いポイントを獲得できればと思っています。

男子のオムニアムに関しては12位以内に入れれば良い結果だと言えるでしょう。今村はまだ若いですし、今回ここで経験を積んでもらえればと思っています。

第5戦に選ばれる選手がオリンピック候補

クレイグ・グリフィン TISSOT UCI TRACK CYCLING WORLD CUP II, Glasgow, Great Britain

Q:男子のオムニアムには今村選手を含めて3人の候補がいますが、エース候補などコーチの中で決まっているのでしょうか?

まず今大会を含めて3大会で3人の選手を出場させようと考えています。3人が走った後、第5戦に出場する選手が世界選手権及びオリンピックに出場するような選手になり得る可能性があります。ですから現状ではエース候補が誰と決める段階には至っていません。

Q:男子も女子同様にメダルの可能性は高いと、筆者は勝手に期待をしているのですが、その点についてはどうでしょうか?

男子のオムニアムはとてもタフな種目です。チームには優れた選手たちがいますが、時には運も必要になります。私のゴールとしては勝つ確率をフィジカル面と戦術面で少しでも上げることです。ワールドカップでの戦いを行った上で、世界選手権をトップ5辺りで終えたいと思っています。そうすれば、オリンピックまでに何を行えば良いのか、差はどの程度なのかが分かります。

Point Race / Men Omnium / ASIAN TRACK CHAMPIONSHIPS 2020

Q:就任からおよそ1年未満でオリンピックを迎えるわけですが、やはり難しい部分はありますよね?

まあ時間はありませんよね。やることはたくさんありますし、各国から遅れを取っている状況でもあります。ただし選手たちの能力に疑いはありませんので、これからの準備と練習で巻き返せるのではないかと思ってもいます。

私は現実主義者でもあり、同時に何かしらが出来るとも思っている楽観主義者でもあります。ただ最終的に良い結果を残すためには全てが上手くいかなければなりません。選手たちの健康、モチベーションを保ちつつ、練習をしっかりして怪我がなければ、数種目では戦うことは出来ると思っています。

チームパシュートの現実性