あの時の判断

「最後に(バレンテを)追いかけるという意識は薄かったです。ただ、(バレンテを捕まえて)集団スプリントになっていたら、エドモンソン選手などが10ポイント獲っていて逆転されていたかもしれないので・・・・・」

そして話しのポイントは筆者の眼が行かなかった部分へと移っていく。

「でもそれ以前にオランダとイタリアの選手(1位と2位)が抜け出して、私とデンマークの選手が追いついた場面があったんです。その時にオランダの選手が手を回して“行こう行こう”と仕草を見せていました。
そこで(体力は)キツかったのですが、自分が行くという意志を見せて逃げを決めることが出来ていたら、上位3人の戦いに持ち込むことが出来たはずです。
ですから最終局面の失敗もありますが、それ以前にもっと自分から逃げる、仕掛けるという意識も必要だったと思います。
優勝したウィルト選手(オランダ)はそういった部分で頭の切り替えや、ここはどう動けば良いという判断が瞬時に出来ていました。自分にはそういった判断力がもっと高いレベルで必要だったと改めて感じています。最後のポイントレースは私も先手を打っていきたかったのですが、イタリア・オランダの上位2人が上手く点を重ねる中で私は点を取れませんでした。
だから技術もスピードもまだまだ及ばずでした。もっとスピード、パワー、そして逃げれる脚力もつけて、どんなレース展開でもカードをどんどん切れるような選手になることが出来れば、オリンピックでメダルを獲れる選手になれると思います。自分でも映像を振り返って、課題を克服して行きます。」

短距離種目と違いオムニアムは4種目で行われるが故に、チャンスを挽回する機会も多ければ、あの時こうしておけば良かったと思う場面も多いはず。梶原の結果は第1種目からの積み重ねで得たものだということを忘れてはいけない。

我々は最後のポイントレースにどうしても注目してしまうが、1つ1つの種目の積み重ねが大事だとういうことも気づかせてくれる。

「(第2種目の)テンポレースは思った通りの動きが出来ましたが、他(第1種目と第3種目)ではもっと前に出て戦わなければいけません。直すところはたくさんあります。」

絶対女王の不在