失望から這い上がり達成した「9秒切り」
Q:世界最速、そして人類初の「9秒」を切った時、どんな気分でしたか?
ここ数年間、9秒を切ることを目標としていました。ラブレイセンが東京五輪で9秒2を記録して、9秒切りに最も近い存在ではあったのですが、もうその記録も6年前ですよね。それから僕も強くなって、9秒切りが現実の物になっていきました。それで絶対に自分が9秒切りの最初の選手になりたかったんです。
世界記録は常に破られていきますが、9秒を初めて切った選手として、節目の記録になります。だからこそ力を入れたんです。世界記録に挑戦というよりは「9秒切り」にチャレンジした形です。
この記録を達成するために、たくさんの時間を費やしました。記録が出た時は本当に嬉しかったです。狙った結果を出すことは、とても難しいと思いますが、それを達成した時ってとても特別な気分になれるんです。
レースだと、4年間オリンピックの準備をしてきて、誰かとクラッシュして全て終わってしまう、そんなことも起きえます。でもタイムトライアルって自分だけなんです。自分のバイク、タイマー、そしてトラック。レースに比べると自分の得たいものを得ることが容易にできる種目です。目標に向かってトレーニングして、集中して、実行する。外的要因で失敗することはあり得ないんです。
トルコ・コンヤでの2024ワールドカップでは非公式に9秒04を出したことがあります。あの日の、あの朝、起きてからの目標はたった1つで「9秒を切る」。それだけでした。でもあの日に目標が達成できなかったことは良かったと思います。非公式でも世界記録の更新を達成したのですが、目標に届かなかったので失望感しか感じませんでした。
でもその経験があったからこそ「世界最速プロジェクト」ができたわけで、今の記録「8秒8」があります。このために集中したこと、プロジェクトを実施できたこと、全てが素晴らしい記録をさらに彩る要素になりました。
コンヤでのタイムは高地で計測した記録ですが、その後に『2026ヨーロッパ選手権トラック』もコンヤで開催されました。でもいまだに僕の記録は破られていません。8秒台もまだ自分のみの記録です。だから、あのプロジェクトには価値があった、そう言えると思います。
「どうせヨーロッパ選手権で走るんだから待っておけば良かったじゃん」などと言う人々もいますが、やり切ったことは良かったです。準備して、実行して、その道中で興奮して、達成して、祝う。アドレナリンがバチバチに出ますよ。まあ記録を出したあとは彼女をハグしただけで吐きそうになりましたが(笑)
ヨーロッパ選手権のケイリン決勝、ラブレイセンが3周を先行をしたレース(最後にリチャードソンが捲くって勝利)があったのですが、終わってからトラック上に少し…。走路ではなく、ブルーバンドの方ですが…、バイクから降りる前に……、すみません。
でも自分にかからないようにするテクニックは身に着けました(笑)
そのあと完全に倒れこんで「あれを誰かが処理しないと…」と思っていましたが、動けもせず、声も出せませんでした。身体が「全部吐き出せ」というモードになるんです。なんというか、より興奮すると気持ち悪さが増すみたいな…。
Q:これ、記事にして大丈夫でしょうか?(笑)
問題ないです。