自転車トラック競技ナショナルチームに所属し、パリオリンピック出場を目指す佐藤水菜。2023年こそ世界選手権でのメダルを逃してしまったが、その前(2021・2022)は2年連続でケイリン銀メダルを獲得している、世界のトップ選手だ。

そんな佐藤の本職は「ガールズケイリン選手」。しかしナショナルチームの活動により、国内の競輪に出場できる回数はそう多くない。

2022年は勝率92.5%

2022年、佐藤が日本の競輪に出走した回数は27回。そのうち24のレースで1着を取っており、勝率は92.5%。要は「出たらほとんど勝ってる」ということ。驚異的な数字である。

こんな化け物みたいな人もいるんだなあ……と思ったが、ガールズケイリンの歴史を遡ると、この佐藤を上回る勝率を誇る選手が、1人いた。

2年連続で年間勝率93%超

その選手の名は小林優香。トラックナショナルチームの元メンバーで、東京2020オリンピックに出場した選手だ。

小林が記録した年間勝率は2014年の95.6%。驚異的なのはこれが「デビューした年」であること、そして「46レース」という佐藤より遥かに多いレース数をこなした上で、この勝率を築いたということだ。

加えて小林は、翌年の2015年にも勝率93%を記録。この年は72レースに出走しており、そのレース数にも関わらず多くを取りこぼさず勝利を掴んできたことがわかる。

小林優香の2014・2015年勝利数

1着回数 レース数 勝率
2014年 44 46 95.6%
2015年 67 72 93.0%

JKA発行「競輪年間記録集(2022)」より

小林は自転車未経験から競輪選手の道に飛び込んだ。競輪選手になることを思い立ったのは競輪学校(現:日本競輪選手養成所)の応募締め切り3日前だったというから驚きだ。

バレーボールで培ってきた基礎体力のあった小林はすぐに応募し、見事一発合格。2014年にプロデビューすると、2015年には史上最強と称されてガールズグランプリを制覇し、瞬く間にトップ選手へと駆け上がった。上記の勝率を築いたのはこの時期である。

この後2017年から小林はナショナルチームに加入し、オリンピックを目指す生活に身を投じることとなる。

挫折を経験した人は強い【BACK to the STAGE】~小林優香~

なお2023年の佐藤水菜は年間勝率88.8%(3着以内に入った確率は100%!)。また2020年の児玉碧衣も、(2022年の佐藤と同じ)勝率92.5%を出していたことを付記しておく。

10周年を経た進化

特定の選手の勝率の高さはガールズケイリンという競技の未熟さとも捉えられるかもしれない。しかし10周年を迎え、新たな施策が次々に打たれているガールズケイリン。今後の発展も含め、ぜひ楽しみにご感染いただきたい。

「女子だけでも30億売れた!」2022年『ALL GIRL’S 10th Anniversary』から2023年『オールガールズクラシック(G1)』への成長