弥彦競輪場で開催された『第32回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(G1)』が、2023年10月22日に終了した。

このレースには自転車トラック競技日本ナショナルチームから窪木一茂、太田海也、寺崎浩平、小原佑太、山﨑賢人、中野慎詞が出場。選手たちの各日の着と、G1初出場となった窪木、G1初勝利を飾った中野のコメントをお伝えする。

太田海也

日付 初日(19日) 2日目(20日) 3日目(21日) 最終日(22日)
レース区分 8R 一次予選 10R 二次予選A 8R 特選 8R 優秀
レース結果 1着 6着 4着 5着

寺崎浩平

日付 初日(19日) 2日目(20日) 3日目(21日) 最終日(22日)
レース区分 1R 一次予選 9R 二次予選A 12R 準決勝 11R 特別優秀
レース結果 2着 2着 4着 9着

小原佑太

日付 初日(19日) 2日目(20日) 3日目(21日) 最終日(22日)
レース区分 7R 一次予選 6R 二次予選B 6R 選抜 2R 一般
レース結果 3着 8着 8着 8着

山﨑賢人

日付 初日(19日) 2日目(20日) 3日目(21日) 最終日(22日)
レース区分 5R 一次予選 8R 二次予選B 5R 選抜 6R 特選
レース結果 4着 9着 8着 8着

最終日、G1で初めての1着 中野慎詞

8月に行われたオールスター競輪に続き、2回目のG1出場となった本開催。最終日となる22日、G1初の1着となった。

日付 初日(19日) 2日目(20日) 3日目(21日) 最終日(22日)
レース区分 11R 特別選抜予選 9R 二次予選A 9R 特選 5R 選抜
レース結果 4着 5着 8着 1着

Q:G1初勝利おめでとうございます。

ありがとうございます。1着が獲れたことは嬉しいんですけど、初日から失敗続きで、悔しいっていうか、悔しいを通り越してがっかりしている部分もありました。

でもそれをレースに引きずるのは良くないなと思い、山崎(芳仁)さん、渡辺正光さんがついてくださる中、気合を入れてイチから1着を目指す、同じミスをしないようにとしっかり集中してレースに臨むことができました。

Q:「がっかり」の部分に関して詳しく教えてください。

初日もですが、2日目の誰も動いていないのに残り1周前から本気で行って最後タレて5着に沈み、次に進むことができなかったこと。

それから昨日(3日目)は周りから「中野は先行する」と思われている中で軽く引いてしまった結果、前がガツンと駆けてしまって自分が行くところがなく、中団も車間が開けられてしまって不発に終わってしまったこと。新田(祐大)さん、そして他地区の桑原(大志)さんもついてくださっている中でそういう失敗をしてしまって。

オールスターから失敗ばかりです。初日のインタビューでも「思いっきり走って経験を」とは話していたんですが、自分の思った以上の失敗をしてしまってがっかりしてしまった、というのが今の気持ちでした。

Q:今日はその分、引かずに2周目から突っ張って逃げ切りでした。

二分戦でしたし、もし自分が引いてしまうとまた昨日と同じになってしまうと思いました。同じミスをしないよう、山崎さんや渡辺さんに教えてもらいつつしっかり自分の意見も言って、作戦を組み立てました。あとはそれを実行するだけ、の気持ちで走りました。

Q:「勉強して、進化していく」の言葉通りですね。

小さな一歩かもしれませんが、まずそれができたことが、今日ひとつ良かったことだなと思います。

Q:今後のレース予定を教えてください。

明後日から伊豆に戻って練習するんですが、11月16日〜18日にかけてジャパントラックカップがあります。中1日で競輪祭の前検日なんですが、そこは自分が選んだ道なので、言い訳にせずしっかりレースを見て勉強し、競輪祭に備えたいと思います。

これがなきゃ世界選手権に出られない?!実は超重要『ジャパントラックカップ』とは?/2023年11月・伊豆ベロドローム

レース後の共同インタビューでは、連携を組んだ山崎芳仁となぜか横並びになる場面も。

「頼もしい機動型が出てきましたね」の質問に、山崎は「北日本も自力の若いのがいないので、大切にしていきたいなと思います」と答えた。

窪木一茂「競輪で負けたくないという気持ちは」

2022世界選手権におけるスクラッチ銀メダル獲得によって、このレースへの出場権を手にした窪木一茂。ナショナルチーム中長距離選手の窪木にとって、これは初のG1出場となった。

日付 初日(19日) 2日目(20日) 3日目(21日) 最終日(22日)
レース区分 6R 一次予選 3R 特一般 1R 一般 3R 一般
レース結果 8着 5着 8着 9着

Q:初のG1を終え、感想を聞かせてください。

4日間何もできず終わってしまいました。自分の脚の調子が悪いということではなく、戦法的な問題です。

初日が一番良いと思ったんですが、ラスト1周からの攻防が思い描けていませんでした。小倉(竜二)さんに横やられてから内に行っちゃって出し尽くせず。同じ脚質の選手相手に出切れず、やりたいレースをやらせてもらえず。

今日(4日目)はダッシュを主体とする相手に(ダッシュ勝負では)敵わないんですが、道中そういうシチュエーションに持っていかれて、何もできなかったです。思っていたよりもレベルが高かったです。

Q:これまで経験したことのないレースだった?

そうですね。スピードも、展開も。9車立てということでシンプルではなく、初めての展開でしたが、もっと地脚を活かした何かをしたいと思っていました。初日が一番「いける!」と思ったんですが、やっぱり難しかったですね。

Q:これから、ですね。

はい、また来年(2024)もこのレースには出られる予定ですから*。もちろん競輪の練習をしてきたわけではないですが、その中でも何かを見出したいと思っていました。この舞台のレベルの高さを知ることができましたし、もっと練習しないと勝負できないですね。

※窪木は2023世界選手権でもスクラッチで銀メダルを獲得(2年連続獲得)しているため、来年の寬仁親王牌の出場権も獲得している

このレベルの人たちは、やっぱりみんなしっかりやっています。体つきを見ても、摂取するものを見ても。今回は福島県の先輩が決勝に3人上がりましたが、それを近くで見ているからこそ「命かけてる、生活かけてる」を強く感じられました。

「競輪で負けたくない」という気持ちは、競技にも通ずるものだと思います。世界選手権のマディソンでも出鼻を挫かれて悔しかったですが、今回のG1も同様に叩きのめされました。この気持ちを大事にこの冬取り組んで、来年のパリに繋げたいです。

マヨルカにいる橋本英也に

インタビューの最後に、ちょうどこの前日(土曜の夜中)に実施されたチャンピオンズリーグの結果(ナショナルチーム中長距離&競輪選手の橋本英也が暫定1位)をお伝えしてみた。窪木は2年前のチャンピオンズリーグに出場しており、同大会の先輩となる。

Q:話が変わりますが、昨日の夜行われたチャンピオンズリーグの第1ラウンドで、橋本英也選手が男子エンデュランス暫定1位になりました!

まじですか、すごい!日本代表として行ってくれてるので、優勝目指して頑張って欲しいですね。優勝目指せる位置にいると思うので。吉報ですね、やる気もらえました!

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