全国各地の競輪場で毎年数回行われている「トラックサイクリングキャンプ」。2023年10月14日〜15日の2日間、12歳から30歳までの女性を対象とした「トラックサイクリングキャンプ in 京都向日町競輪」が開催された。

本イベント2日目に潜入した編集部が、トラックサイクリングキャンプの模様をレポートしていく。

年内3度目の女性限定キャンプ

2023年には3月に伊豆ベロドロームおよび日本競輪選手養成所で、7月に平塚競輪場で女性限定の『トラックサイクリングキャンプ』が開催されており、京都向日町競輪場で開催された今回のキャンプは年内3回目の実施となる。
男子限定のキャンプがは9月に立川で開催されている

今回も初心者から自転車競技部で活動する選手、中学1年生から20代後半の社会人まで幅広い層の参加者たちが集まった。

複数回参加でレベルアップ目指す

2023年3度目となった女子限定のトラックサイクリングキャンプ。

「経験者グループ」と「初心者グループ」の2グループに分れて実施された本キャンプ。「経験者グループ」の名簿には、既に複数回キャンプへ参加経験のある応募者が多くいた。

そしてその多くがトラックサイクリングキャンプを通して、ピストバイクや自転車競技に興味を持ち始めた参加者だ。

回数を重ねて参加している訳を聞くと、

「新しいことを学びたい」
「より専門的なスキルを身につけたい」
「タイムを伸ばしたい」

など、トラックサイクリングキャンプを通してレベルアップを目指す声が多かった。

そうした参加者の期待に応えるかのように、それぞれの課題に臨機応変な練習が急遽組み込まれる光景を見ることができた。

本キャンプ終了後、経験者グループの指導を担当した沼部早紀子コーチに話を伺った。

JPCF 沼部早紀子コーチ(日本パラサイクリング連盟)

沼部早紀子氏は『全日本選手権トラック』での優勝経験もある元トラック競技選手であり、2023年現在はパラサイクリングのヘッドコーチを務める傍ら、トラックサイクリングキャンプでも度々講師を務めている。

参加者それぞれにピンポイントアドバイス

Q:2日間の率直な感想を教えてください。

1日目から2日目への成長の度合いがとても大きいように感じました。経験者と初心者問わず、全員に言えることです。

Q:2日目のトレーニングでは、行っていた練習を一度中断して、参加者の前で沼部コーチが実践しながら指導をしていた様子が印象的でした。

経験者グループでのスタンディングスタート練習の時ですね。停止している状態から一気に発進するスタンディングスタートでは、いかに自転車に最大限パワーを伝達できるかが重要です。

その伝達に苦戦していたので一旦参加者に集合してもらい、コツや意識するポイントをレクチャーしました。

トレーニングを始める前に一度説明はしますが、まだ経験の浅い参加者も多かったのでパワーがペダルや自転車に上手く伝わっていない印象がありました。なので急遽、重点的にレクチャーする時間を設けました。

Q:数回に渡りトラックサイクリングキャンプに参加している方もいて、その主な理由が「より専門的な知識やスキルを伸ばすこと」でした。

もちろん習得できるまで同じ練習を繰り返すこともありますが、上達具合やそれぞれの課題によって練習メニューを臨機応変に変えることもあります。

CSC 野田尚宏コーチ(日本サイクルスポーツセンター)

参加者個人個人へ必要なスキルや、それを伸ばすための練習をなるべくピンポイントにアドバイスできるよう意識しています。

なので初めて参加してくださる方ももちろんですが、複数回に渡っての参加もおすすめです。

1つ1つの積み重ねが成長に繋がる

Q:以前沼部コーチが参加された2023年の伊豆開催に来ていた参加者もいました。前回のキャンプと比較して上達具合に変化はありましたか?

はい、とても上達している参加者たちがいました!

以前のキャンプでピストバイクに初めて乗る様子を見ていたので、ゼロからの成長具合を見ることができました。

本人にも「めちゃめちゃ上手くなってるじゃん!」と言いました(笑)

スピードも体の使い方も、以前見た時よりとても成長していました。そうした成長が見られるのも、トラックサイクリングキャンプで指導を行う上での1つの醍醐味だと思いました。

「1つ1つの積み重ねが参加者を成長させるんだな」と改めて実感しました。

他競技での経験を活かしやすいスポーツ

Q:沼部コーチ自身、色々なスポーツを経験した後に自転車競技選手になられました。他のスポーツ経験は自転車競技に活きると思いますか?

自転車競技は基礎的な運動能力がとても重要になってくるスポーツです。どんなスポーツの経験でも比較的活かしやすいスポーツだと思います。

今回のキャンプでも、それぞれ色々なスポーツを経験してきた参加者たちが集まりました。2日間の上達度を見た時に、やはりどのスポーツの経験でも活かせるものがあると改めて感じました。

むしろ色々なスポーツの経験をしている方が有利に働く場合もあります。体の使い方、バランス、力の入れ方などを既に習得していたり、新しいスキルの飲み込みが早かったりします。

なので自転車競技をやったことがなくても、何かしらのスポーツ経験がある方はトラックサイクリングキャンプにぜひ挑戦してみてほしいです。

スポーツ経験があればチャンスがある

Q:一方沼部コーチは大学で自転車競技を始めた後、社会人を1年間経験し、また競技者として復帰しました。同じくブランクのある方でも過去にスポーツ経験があれば自転車競技選手を目指せますか?

はい。年齢関係なく挑戦するチャンスはあると思います。

私は19歳から自転車競技を始めましたが、もちろん中学など早い段階から自転車競技に触れられる機会があるのは素晴らしいです。

ですが競技を始めるのが遅くても、しっかり段階を踏んだトレーニングを積み重ねれば誰でも強くなることは可能です。あとはその積み重ねを継続していくことが重要です。

先程もお話ししたように、自転車競技は特有のスキルというより基礎的な運動能力が重要となるスポーツです。なので始める年齢にかかわらず、習得はしやすいスポーツだと思います。

中村妃智さんや野田尚宏コーチもおっしゃっていたように、小さくても積み重ねを継続していくことが重要です。

中村妃智元選手のトークショーの模様は11月13日(月)公開予定!

複数参加者に聞く「キャンプのおすすめポイント」

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