開始から10周年を迎え、選手数も200人近くに達しようとしているガールズケイリン。2022年では賞金総額や平均取得額にて増加が見られ、「プロスポーツ競技のまんなかへ」という新コンセプトのもとますますの成長が期待されている。
今回は特に「女性アスリート」を考えていく上での1つの重要な論点である「妊娠・出産」に関係する競輪の制度をご紹介していく。
「あっせん保留期間」がある
競輪選手は、JKAからの「あっせん通知」を受け取り各開催へと出場していく。しかしいくつかの定められた事由が生じた場合のみ、その該当選手には一定の「あっせん保留期間」が認められている。
妊娠・出産もこの「あっせん保留期間」の対象となる「事由」に含まれている。
まず妊娠した選手については、JKAとその公認の医師の診断のもと、「公正安全な競走を行うに支障がないと認めるまでの期間」、あっせんの保留が認められている。
そして選手が出産した場合には、原則として「出産日から1年が経過した日の属する審査期までの期間」、あっせんの保留が認められる。
つまり妊娠から出産1年後まで、選手にはあっせんの保留が認められているのだ(原則)。
出産後も復帰している選手はいるの?
では実際に、競輪選手となってから「妊娠・出産・復帰」を経験している選手はいるのだろうか。
「〜人が経験している」という人数に関する公式なデータは発見できないものの、実際に複数人が競輪選手としてのキャリアの途中に妊娠・出産を経験し、出産後の復帰を果たしている。
新潟県102期の加瀬加奈子もその1人だ。
過去にはトラック競技日本ナショナルチームにも所属し、競輪学校時代の2012年には「世界選手権トラック」にも出場(オムニアム)。その年5月にガールズケイリン1期生としてデビューし、「ガールズ最優秀選手賞」や「ガールズ優秀選手賞」にも選ばれている。
そんな加瀬は2018年夏頃に第1子の妊娠を公表。翌月に控える「アルテミス賞レース」にもファン投票で選抜されていたが、その他の出場予定レースと同様に欠場し、あっせん保留期間へと入った。
翌2019年の2月「人生のグランプリを制しました!」と無事に出産したことを公表、その数日後は練習を再開した。同年4月に短期登録で来日したナターシャ・ハンセン(ニュージーランド)も記者会見で「加瀬選手、赤ちゃん本当におめでとう!」とコメントしている。加瀬は2019年7月のF2開催(奈良)にて復帰を果たした。
出産後約5ヶ月でカムバックを果たした加瀬だったが、1児の母として挑んだ復帰戦では見事決勝へ進出する走りを見せている。
参照:弥彦競輪Facebook, 加瀬加奈子の男道, JKA広報KEIRIN(2018年7月31日)