3月18日から松山競輪場で第2回ウィナーズカップが開催中だ。実は、今こうして記事を書いていられるのは、全て松山の方々のおかげなのである。

取材初日のハプニング

取材初日の3月17日、松山競輪場の前検取材を終え、競輪場最寄り駅の「JR市坪駅」から「JR松山駅」に戻った時のことだった。

電車から降りてふと気がついた。

「荷物が軽い…?」

何か、首元が物足りない。そうだ、サコッシュがない。取り出しやすいようにと財布を入れていたサコッシュがないのだ。

停車中の車両内を探すが、やはりない。

まさかの初日に財布を紛失。これを絶望と言わずしてなんと言おう。現金を始め、クレジットカード、免許証など全て入っているのだ…!

イメージ

クレジットカード類は日頃から別にすべきか、考えるいい機会にもなった

落としたのは無人駅

落としてきた場所には心当たりがあった。「JR市坪駅」。電車に乗る直前まで荷物を持っていた記憶は確かだった。

しかし問題は、このJR市坪駅は駅員が常駐しない「無人駅」なことだった。しかも、この市坪駅を走るJR予讃線は1時間に平均1本しか走っていない。戻るに戻れない。どうする!?

JR予讃線 時刻表(一部)

JR予讃線 時刻表(一部)

とりあえず駅員さんに相談

予讃線は整理券で乗車した場合は、降車駅で運賃を支払う。整理券で乗車したので、駅で支払いをしなくては出られない…今の自分は全財産ロスト中。あるのはスマホ・ICカード・カメラ・PC、その他、そして絶望した顔のいい大人が一人!いざとなったらカメラを売ろう!会社の備品?知ったことか!!

駅の窓口で洗いざらいぶちまけたところ、好意で駅を通していただき、駅近くの交番に行くことをオススメされた(後日きちんと通った分の支払いをしたのでご安心ください)。

次は交番に相談

おまわりさん助けてください!と勢いよく入ったところ、なんと巡回中につき、警察署に電話してねという内容のメモが。もうなんでもいいから誰か助けてください、と警察署に電話。

ここでも電話口で洗いざらいぶちまけたが、「事件性がない場合は、駅に見回りにはいけない」と言われてしまう。私にとっては大事件が起こってますよ!

さらには「タクシーで市坪駅に行ってみる方が早いと思います」って、だから全財産ロストしてるんだっつーの!

救世主現る

なんとかするしかない…最後にすがったのは松山駅前のタクシーの運転手さんだった。

「市坪駅で財布を落として、お金を払えるかわかりません!!それでも市坪駅に連れて行ってくれませんか…?」その時の私は顔面蒼白かつ捨てられた子犬のような顔をしていたと思われる。

犬イメージ

こんなイメージで訴えていたと思われる

正直に告げると、「いいよ、乗りなさい!」

まさかの快諾!まさに救世主!100%のご好意で、市坪駅に行けることになった。

奇跡の連続

市坪駅に到着すると、運転手さんは「また松山戻るでしょ。待ってるから探してきていいよ」と待機していてくれた。どこまでいい人なのだ。涙が出そうになる。

そして、駅を探していると、一人の男性に声をかけられた。

「もしかして、落し物?」

「!そうです!小さめのショルダーバックです!」

「拾って、今の電車の車掌さんに預けたよ、松山行きの」

なんと男性は、駅にあった落し物を拾い、電車の車掌さんに預けてくれたというのだ。しかし電車は発車済み!奇跡のすれ違い!

市坪駅を出て松山駅へ向かう予讃線

市坪駅を出て松山駅へ向かう予讃線

電車を追いかけ今度は松山駅へ

拾ってくれた男性にお礼を告げ、今度はタクシーで一路松山駅へ。タクシー内で松山駅に電話をしたところ、駅で手続きすれば受け取れるとのこと。ヤッホーーーーーーーー!!!

その時の喜びたるや計り知れない

駅に到着し、無事に紛失したサコッシュを受け取ることができた。一応中身を検分するが、落とす前と何ひとつ変わっていない。タクシー料金も無事に支払うことができた。

紛失発覚から見つかるまで、約40分間の出来事であった。

取材初日からこのような自分の不注意による絶望的ハプニングにあったが、松山の人の暖かさによって救っていただいた。

松山のみなさん、助けていただき、本当にありがとうございました。

ちなみに、感謝になるといいなと思い、取材中は毎日愛媛名物ポンジュースを飲んでいる。