トラック世界選手権2018男子1kmタイムトライアル決勝、予選で59秒台が3人。特に予選トップタイムのジェフリー・ホーフラント、予選3位のテオ・ボスらの勝利を観客は勝利に期待を寄せていた。予選上位3人は59秒台で通過しており、これまでにないハイレベルな争いが予想される。

深谷知広が出場、男子1kmタイムトライアル予選は3名が59秒台のハイレベルな戦いに/トラック世界選手権2018

最後から3番目のテオ・ボス(オランダ)がスタート。この種目のためにトレーニングを積んできたボスはオランダチームで最も人気があり、知名度も高い。開催国の英雄、ボスの出走で観客の盛り上がりは最高潮に達する。タイムは59秒955。会場からは盛大な拍手が送られた。

続いての出走はマシュー・グレッツァー(オーストラリア)。この世界選手権でスプリントチャンピオンに輝いた大型スプリンターがスタートを切る。1周、2周、3周とボスのタイムを上回ることができない。場内が固唾を呑んで見守る中、グレッツァーがフィニッシュラインへ飛び込む。タイムは59秒745。なんと最後の1周でボスを逆転し、暫定トップへ躍り出る。しかし場内からはボスの優勝が消え、落胆の声も聞こえた。

Matthew Glaetzer (AUS)

最終走者は予選トップのジェフリー・ホーフラント。1周目。グレッツァーより約2秒速く走り会場が再び沸く。2周目、ここでもタイム差は変わらず約2秒。逆転劇が見えてくる。3周目で少しペースが落ちたように見えたが、その差は約2秒。そしてフィニッシュへ。だが明らかにスピードが遅くなっている…が、なんとフィニッシュタイムは59秒459!グレッツァーに約0.3秒の差をつけて優勝が決まった。

会場は総立ちで、ホーフラントの優勝を讃えた。

ホーフラントは全力を出し切り、自転車を降りると足取りもおぼつかず、チームスタッフに抱えられてバンクを降り、そのまま倒れこんでしまう。直後に予定されていた表彰式も、ホーフラントの回復を待ち遅れて行われ、戦いの凄まじさを物語る。

1kmタイムトライアルの表彰台は予選結果と変わらず、優勝はホーフラント、2位にグレッツァー、3位にボスという結果となった。

「応援が本当に背中を押されているようで嬉しかった」ジェフリー・ホーフラント

最初にフル加速、そのあと粘った形でしたが、これは作戦通りですか?

あれが僕のスタイルです。最初の500mは凄く速く走れるので、あとはフィニッシュラインまで死ぬ気で行くのみです。足が動かなくなりますね(笑)

凄く集中していましたよね?

そうですね。大きなプレッシャーが掛かっていましたが、予選で1位になれたので「勝てる、優勝できる!」と自分に語りかけていました。最後はやるべきことをやり、優勝する事ができました。

大観衆がホーフラント選手を応援していましたが、応援は力になりましたか?

もちろんです。みんなが応援してくれていることは判っていました。だから頑張れたし、本当に背中を押されているようで嬉しかったです。

1kmTT決勝リザルト

順位 チーム 選手名 TIME
1 オランダ HOOGLAND Jeffrey 59.459
2 オーストラリア GLAETZER Matthew 59.745
3 オランダ BOS Theo 59.955
4 フランス LAFARGUE Quentin 1:00.407
5 ドイツ ENGLER Eric 1:00.462
6 フランス D’ALMEIDA Michael 1:00.518
7 コロンビア PUERTAS ZAPATA Fabian Hernando 1:00.800
8 オランダ LIGTLEE Sam 1:01.421
9 イギリス SKINNER Callum
10 フランス PERVIS Francois
21 日本 深谷智広

大会公式リザルト

Text: Mizuki Ida
Photo : Shutaro Mochizuki