今年も9人の精鋭たちが12月30日に集結する。

競輪界最大のレース『KEIRINグランプリ』。毎年年末に実施されるこのレースには、1年をかけて選出された、競輪選手約2200人のトップ9人のみが出走する。

More CADENCEでは『KEIRINグランプリ2021』出場選手たちへのインタビューを実施。本記事では2021年グランプリメンバー最年長、佐藤慎太郎についてお伝えする。

過去にあった怪我からの復帰話し無しでは語れない選手なだけに、不死鳥のように甦った男の怪我についてから、インタビューはスタートした。

「くるぶしが取れた」2008年の怪我

Q:2008年の全日本プロ記念競輪の、1回転して落車した映像を拝見しました。

奈良の開催ですね。後から落ち着いて考えると、避ける時って基本内側に避けるんです。コーナーだったらそうしていたんですが、直線だったので、どっちに行くか迷ってしまい……どんどん外に追いやられて、金網に当たってそれに引っかかり、宙を舞いました。避けきれなかったですね。

背中と肋骨を折って、息ができなかったです。一緒に転んだ伏見(俊昭)さんが「慎太郎、大丈夫か、大丈夫か」と言ってたのは聞こえたんですが……返答できないんですよ、息ができなかったから。

医務室に運ばれてからやっと呼吸ができるようになったんですが、足首の感覚が無くて「ヤバいな」と思いました。

Q:感覚が無い……というと、痛みも感じなかったですか?

そうです。医務室で「うわヤバいなこれ、ひどいな」とか言ってる声が聞こえていました。それで「え、そんなひどいの?」と。病院についてから見たら、くるぶしが取れていましたね。

Q:くるぶしが取れた、というと……

くるぶしのボコっとなってるやつが、剥がれた感じです。それが皮で繋がってる感じ……剥がれたところがクレーターみたいになってましたね。「うわやべえ、(選手人生)終わっちゃったんじゃないの」と思いました。

Q:その2008年の怪我から、KEIRINグランプリ2019で優勝するまで。振り返ってどうでしたか?

怪我をしている間にどんどん競輪界が動いていきました。レース形態も変化したし、ギアも大きくなった。取り残されてるような感じはすごくありましたね。復帰してからも思うように走れませんでしたし……「こうやって弱くなって、上位に上がれなくなるんだな、落ちていく時ってこんな感じなんだな」と思いました。

13年ぶりの復活、KEIRINグランプリ2019

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