車好き競輪選手の愛車を紹介する「KEIRIN DRIVE CLUB」の第一弾。
大学生時代には日本代表選手に肩を並べ表彰台へ乗り、競輪選手養成所は早期卒業、競輪選手としてのデビュー後は30連勝。期待の大きさに応える結果を出し続けてきた中野慎詞。
若干24歳、彼の愛車は日産のR35型GT-Rと、トヨタ300系ランドクルーザーだ。
ハコスカ、ケンメリ……伝説的なモデルとして名を残す、日本が世界へ誇る“GT-R”。第3世代となるR35型は2007年にデビュー後、14年の時を経ても弛まぬ進化を続け、2023年モデルは争奪戦が繰り広げられ、高倍率の抽選での販売となった。
この「日本が世界へ誇る傑作」はクルマ好きにとって憧れであり、中野慎詞も心奪われた1人。まずはGT-Rとの出会いから尋ねた。
俺は稼いでGT-Rを買う!
「中学生の頃、地元岩手にある日産のお店にGT-Rが飾られているのを見たんです。
当時は何という名前の車かすら知らず、調べてみて初めてGT-Rというものを知りました。気になって調べていくうちに、どんどんカッコ良いな〜!と思うようになり、手に入れたいと思うようになりました」
2007年の発売当初、R35型GT-Rの価格は777万円。14年の進化を遂げる間に車両価格も上昇を続け、最新の2023年型は1,375万円から、と高級スポーツカー……もはやスーパーカーの領域へと達した。それゆえオーナーとなるには、経済的にも相応の条件が求められる。
「僕は小学3年生の頃から競輪選手になりたいと考えていて、『俺は競輪で稼いでGT-Rを買う!』と強く思っていました。
大学生の時に地元のディーラーへGT-Rを見に行ったのですが、その時お店の人に“君みたいな人が買える車じゃない”と言われてしまったんです。冷やかしも多いからでしょうが、それが悔しくて。見返してやるために、絶対にここでGT-Rを買ってやるぞ!と思いました」
免許取り立ての学生が冷やかしに見に来たと思われたのだろう。負けん気が強い中野は“絶対に競輪のトップ選手になってやる”と奮い立つ。