日本の競輪では117期唯一のS級1班で、グレードレースでも顔を見る機会の多い寺崎浩平。彼が持つもう1つの顔が「パリオリンピックを目指す自転車トラック競技選手」。

東京2020オリンピックが終わり、いよいよ寺崎らパリ世代が本格始動する。そして2021年10月20日からは、フランスのルーベにて『世界選手権トラック2021』がスタート。初めての海外レース、初めての海外に挑む心境を伺った。

初の海外が世界選手権

Q:世界選手権はフランスで開催されますが、フランスに行ったことはありますか?

海外自体が初めてです。時差ボケというものを体験したことがないので、そこがまず心配ですね。

Q:結婚したばかりですし、新婚旅行とかの話もありそうですが……

行くとしても日本国内かなと思います。海外旅行に興味がないわけじゃないんですが、日本の方が好きなので……

Q:今の言葉を聞く限り、通訳さんがいない時など、コーチと英語でコミュニケーションしなきゃいけない場面など厳しそうですが、そういう時はどうしてますか?

聞き取りはある程度できるんですが、話すのはちょっと難しいですね。単語とニュアンスで「ほわっ」と伝える感じです。

Q:じゃあ、帰国後に「俺の初めての海外日記」的なコラムをぜひ……

(笑)隔離もあって普通の遠征のようにはいかないと思いますが、楽しみたいです。

オリンピックで注目したクレバーな走り

Q:オリンピックはご覧になりましたか?

はい、全部見ました。ニコラス・ポール(トリニダード・トバゴ)が印象的でした。

200mFTT世界記録保持者でもあるニコラス・ポール

Q:意外な名前が出ましたね!

ダッシュがすごいのもありましたけど、戦術的にもクレバーだと感じました。彼のレースを見ること自体初めてだったので「こんな選手もいるんだ」と。

Q:彼は「絶対に勝つ」という雰囲気を出してましたね。脇本雄太選手はケイリンで彼に邪魔されて……という場面もありましたが。

そうですね。あれだけダッシュがあって、なおかつ先行もできる選手は強いなと思いました。

ハリー・ラブレイセン(オランダ)とかももちろんすごいんですが、ちょっと……格が違いすぎて……強すぎて参考にならなかったです。「何をしても勝てる」みたいな走りだったので。

ハリー・ラブレイセン

スプリントの決勝ではスプリント種目らしい動きをしていましたが、予選などは参考にできませんでした。

Q:ジェフリー・ホーフラント(オランダ)やラブレイセンと対戦したとして、どういう戦略を取るなどのイメージはできますか?

正直、スピードが違いすぎますので、イメージできません。今の力では、先行しても捲られて、後ろを回っても差せないと思います。まずはスピードをもっと鍛える必要があります。オランダ同士の決勝戦は異次元の戦いになっていました。

世界における立ち位置

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