中学から親元を離れてバレーボール

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「辛かった時」は最初と、去年

Final / Women Keirin / ASIAN TRACK CHAMPIONSHIPS 2020

Q:自転車競技で一番辛かったことは?

ブノワ(・べトゥ短距離ヘッドコーチ)が就任した当初は、辛かったです。

今までの自分がやってきた練習と180度違っていて、最初は戸惑いましたし「どういう風にしたらこの練習に、この人に食らいついていけるんだろう」と毎日考えていました。

Q:それが辛くなくなったのはいつからでしょう?

それから6ヶ月後にアメリカのティータウンでレースがあって、ケイリンで優勝した時です。「間違っていなかった、これで良かったんだ」と感じました。

Final / Women's Sprint / GRAND PRIX OF MOSCOW 2019

この写真は2019年の物なので、イメージです

Q:それ以外では?

去年(2020年)が1年を通して辛かったです。1年(オリンピックが)延期になって、「もう一度作り直していかなければ」と頭では理解していても、体が動かない。凄く反応が悪かったですし、自転車自体も辞めたい、代表も降りたいと何度もコーチと話しました。

Q:コーチにはなんと言われましたか?

「辞めたいと言っても本心ではそう思ってないよ」と言われました。私とコーチは、言葉では表せない特別な縁があるので、そういう言い方をしていました。

「どん底」の時間を経て

小林優香, 女子ケイリン, 2020全日本トラック

Q:そこからどうやって気持ちを持ち直したのでしょう。

「自転車を辞めたい」というどん底まで悩んだのですが、最後にたどり着いたのは「金メダルを獲りたい」という気持ちでした。

2020年、秋の全日本選手権は練習してない状態の中で、気持ちだけで臨んだ大会でした。結果は不甲斐ないものだったんですが、ケイリンは2位でメダルを獲ることができましたし、なにより負けて「悔しい」と思えた。「もう一度やろう」と思えたことが、一番の「這い上がるきっかけ」だったと思います。

今までの鬱憤とかを取っ払って考えるられるようになり、気持ち的にも楽になりました。シンプルに「金メダルを目指そう、東京オリンピックを最後にしよう」と定めることで、気持ちがスッキリしました。

Q:そう切り替えてから、どのように変わりましたか?

全日本選手権が終わってからは、しっかり練習に取り組むことができています。毎日を戦いだと思って練習に臨んで、先週より今週、と力がついていることを実感できています。練習にはとても身が入っています。

小林優香, 自転車トラック競技日本代表

Q:どん底に落ちていると感じた一番の理由、原因はなんだったのでしょうか?

今考えみれば、東京オリンピックが2020年に開催されたとしても金メダルは取れなかったと思います。

その時は2024年のパリまで続けると考えていたので、「もう1年やらないといけない、そしてパリまでは、あと3年しかない」と色々考えすぎていました。「自分の目標」を見失ってしまったのが原因だったと思います。

Q:その「どん底の時間」は今に影響していますか?

あの期間があったからこそ「ラスト1年、しっかり取り組もう」と切り替えもできましたし、何より「金メダルを獲ろう」と思えます。

練習は苦しいですけど、毎日が充実してて。先日のテストイベントではタイムという形で結果が現れました(※非公式ではあるがオリンピックレコードを更新した)。確実に成長しているので、次が楽しみです。

輝いて終わりたい

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