TISSOT UCIネーションズカップ』第2戦・香港にて、大暴れしてきた日本代表チーム。コロンビアで実施予定だった『ネーションズカップ』第3戦も延期になり、アジア選手権もオリンピック後に延期・・・と、再び国際大会から離れる期間となる。

香港大会を終えた手応え、レースの振り返り、そしてこれからのこと・・・梅川風子選手に話を伺った。

※インタビューは5月末に実施しました。

日本でのレースはほぼ実戦だった

梅川風子, 女子スプリント, READY STEADY TOKYO 自転車競技トラック

Q:5月中旬に香港で行われた大会から帰国し、ただいま隔離期間中。どのように過ごしていますか?

器具を揃えてもらっており、特に苦もなく、充実したトレーニングをしながら過ごしています。トレーニング以外には・・・特に何もしてないですね。

Q:「何もしてない」が苦じゃないタイプ?

そうですね(笑)自分の時間が好きですし、移動がない分ゆっくりできているので、それはとても良いです。

Q:では、大会全体の感想を一言で教えてください。

「しんどかった」ですね。スプリントの対戦で、一本一本の合間の時間がとても短かったんです。それが「しんどかった」の一番の理由です。

Q:1本走ってすぐまた出る、ということですね。合間の時間はどれくらいだったんでしょうか?

1本目と2本目の間は割と普通で、20分くらい開いてたんです。でも3本目にもつれた時は5分くらいで始まったりして・・・

後々聞いたら、こんなことは他のレースではほぼないとのことでした。参加人数が少ないが故のドタバタ感というか、「ちょっとやばいぞ」というのがありましたね。

梅川風子, Women's Sprint, TISSOT UCI TRACK CYCLING NATIONS CUP - HONG KONG

Q:梅川選手にとって初の国際レースだったわけですが、想定と違う部分や、学びはありましたか?

想定と違うことはほぼ起こらなかったです。自分の想像してた通りにことが運んでいたと思います。「日本でかなり実戦に近い練習ができていたんだな」と感じました。だからこそ、初めての国際レースでもあまり驚かなかったのだと思います。

オリンピックシュミレーションだったり、非公開で行われたレースなどが、かなり実戦に近かったのだと実感しました。

Q:「実戦に近い」というのは、どのような部分が?

実際の大会と同じような環境で行ってくれていました。大会関係者を集めることから、アナウンス、時間割、プログラムの組み方・・・もちろんスプリントの時間間隔もですね。

先ほど「短い時間でやったのでしんどかった」とお話ししましたけど、日本で、そのような時間組でやったことが過去にあったんです。なのでドタバタはしましたが、驚きはありませんでした。

今回初戦でしたけど、「日本で良い経験ができていたんだな」というのが一番の感想です。

体力面が課題、スプリント

梅川風子, Women's Sprint, TISSOT UCI TRACK CYCLING NATIONS CUP - HONG KONG

Q:大会ではスプリントとケイリンに出場されました。スプリントを振り返っていただけますか?

スプリントは予選の200mFTTから始まります。もちろんタイムも狙っていました。でも「納得できないタイムから始まった」というのが最初の感想ですね。

女子スプリント予選結果

1 リー・ワイジー(李慧詩) 香港 10.644
2 小林優香 日本 10.819
3 太田りゆ ブリヂストン 10.866
4 梅川風子 楽天Kドリームス 10.949
5 ミリアム・べチェ イタリア 10.971
6 佐藤水菜 楽天Kドリームス 10.989
7 マダリン・ゴドビー アメリカ 11.009

今回は自分で考えて走るというより「コーチのアドバイスをしっかり実戦する」という意識でした。半分くらいはそれをクリアできたのですが、もう半分は体力面で自分に負けてしまったと思います。

Q:体力面というのは、先ほども話のあった1本1本の間が短時間だったことが原因でしょうか?

それもありますし、何本も走ると最後の方は体がついていかなくて。チャンスがあるのに逃してしまったり、長い距離を走れなかったりしました。雑になってしまうんですね。最初の方は体力もあるので繊細なレースができるんですが、後半ではそれが難しくなってしまいます。

スプリントでは体力面の強化が必要だと感じました。

Q:大会中にコーチからもらうアドバイスって、普段の練習と違うものだったりしますか?

まったく違いますね。レース直前にぱぱっと相手選手の情報を教えてもらったりするのですが、普段の練習中にはできないアドバイスだと思います。

というのも、対戦相手と本気でぶつかる、その直前じゃないとできないアドバイスだと思うんです。相手の特徴や癖を事前に教えてもらうと、そう思い込みすぎてしまう。直前だからこそ「思い込む」まで行かず、かつ意識できるのかな、と。

コーチたちはもっとたくさん分析して、情報を持っているのだと思います。でもそれを伝えるタイミング、量を調整して、選手の混乱を防いでいるんでしょうね。

Q:もらうアドバイスは、対戦相手のデータが多いのでしょうか?

そうですね。特に私が知らないから、というのもあると思います。「基本的には柔軟に対応するけれど、こういう展開になったらこう動いたら勝機がありそう」のようなアドバイスです。

“今大会最強”との対戦

Q:今回対戦した外国人選手で、印象的だった選手は?

やっぱりリー・ワイジー(李慧詩:香港)選手です。今回のネーションズカップでは最も強いと言える選手ですし、初戦で対戦できて良かったと思います。

リー・ワイジー/Lee Wai Sze, Women's Sprint, TISSOT UCI TRACK CYCLING NATIONS CUP - HONG KONG

Q:スプリントで対戦が決まった時、どう思いました?

「教えてもらおう」という気持ちが半分、「あわよくば勝ってやる」みたいな気持ちが半分でしたね。でも1本目が終わった時点で「あわよくば」は無くなりました(笑)ぶちのめされましたね。「こんなに強いのか」と実感しました。

Q:リー・ワイジー選手の、特にどの部分が強いと感じましたか?

「加速力」ですね。1本目、彼女は「自分のペースで走る」レースをしました。相手の隙を狙う、みたいな走りではなかった。おそらくリー・ワイジー選手としては長めの距離をもがいていたですが、それでもまったく距離が縮まらない。それが衝撃的でした。

1対1でやるとすごく顕著に出る、誤魔化しが効かない、と感じました。

Q:以前のインタビューで「国際大会では外国人選手の気迫なども身をもって感じたい」とおっしゃっていました。その辺りはいかがでしたか?

感じました。発走前の過ごし方や、スタートラインに着いた時の気迫・・・私自身も出しているつもりだったんですが、他の選手はより出ているなあと感じました。

フルインタビューはチーム楽天Kドリームス チームサイトにてご覧ください。