「淡々」が得意
Q：養成所ではトップ成績で卒業されてますよね。走りだけでなく、筆記のテストも。だから頭を使うのは得意なのかなと思っていたのですが・・・
成績優秀の賞でシームレスタイヤをもらえたので、それは嬉しかったですね（笑）
高校はあまり勉強したくなくてゆるい学校に行ったんですが、小中は成績もまあまあ良い方でした。覚えることは割と得意なんですよね。勉強は頑張ればできる方だと思うんですが、日常的な部分ではあまり頭が良くないと思っています。
Q：淡々とした作業が得意ということでしょうか。それはトレーニング面でも同じ？
そうですね、淡々と同じことを続けるようなトレーニングはとても得意です。何もない道を、120kmくらいペースを保って走るような練習をよくしていました。そういう練習とダッシュの練習を組み合わせると、調子が上がるような気がしています。
逆にインターバルトレーニングなどは苦手です。こういう練習からは逃げ気味なので、ちゃんと向き合わなきゃいけないですね。
Q：インターバルの練習とは、具体的にどのような内容ですか？
中高強度の負荷で走って、自転車に乗りながら休み、また走ります。走って、休んで、を繰り返す、心臓に負荷がかかる、苦しいトレーニングです。競輪でも、男子だと1周の間に「踏んでやめて踏んでやめて・・・」ということもあるらしいんですが、基本的には中長距離系の練習ですね。
ポイントレースやマディソンは、ポイント周回の時にもがきます（全力で漕ぐ）よね。それと似たようなトレーニングです。
トップ成績は「めちゃくちゃ頑張った！」
養成所ではゴールデンキャップを2回獲得している
Q：養成所ではトップ成績を納めましたが、ご自身としては「私ならこれくらいできるよね」という感じなのか「めちゃくちゃ頑張った！ギリギリで獲れた！」という感じなのか、どちらでしょう？
めちゃくちゃ頑張りました！
最初の頃は、競走成績などもあまり気にしていなかったんです。でも「1位を狙えるんじゃないか」となってからは、順位が気になっちゃって。「ここまできたら1位獲りたい！」と思って、めちゃくちゃ頑張りました。
Q：最初から意気込んでた訳ではないんですね。
そうですね。強い候補生がたくさんいたので、1位はなかなか難しいだろうなと思っていました。
でも1位を意識するようになって、意識するからこそ走りに影響が出てしまう部分もありました。「もっとああいう走りをしたかったな」と思うレースがいくつもあり、もっと着にこだわらず、いろんな走りをしてみればよかったとも思います。
Q：吉川選手が「1位」にこだわるとき、その感覚はどんなものなのでしょうか？単純に「1位」という数字が好きな人、「負けたくない」という思いが強い人、いろいろだと思いますが。
私は「勝ちたい」という気持ちがとても強いです。できることならなんでも1番がいいんですけど・・・「負けたくない」というよりは「勝ちたい」ですね。誰かと比較してどうこうというよりは「勝った嬉しさ」を重視している感じです。
今後はガールズケイリンにも出場しますが、勝ちにこだわりすぎて面白くないレースをすると、競輪界のためにならないと思っています。面白いレースをしながらも勝てるような走りをしていきたいです。
最後まで迷走したポジション出し
Q：10ヶ月の養成所生活を経て実感した、養成所に持っていけばよかったもの、入る前にやっておけばよかったものなどはありますか？
新型コロナで外出が全くできなかったので、日用品は多めにあればよかったですね。洗剤とか、マスクとか・・・
Q：養成所内では買えないんですか？
買えますけど、割高だったり、種類が選べなかったりするんです。
Q：なるほど。次の候補生達もきっと同じような生活になるでしょうし、必要なアドバイスですね。
あとは、お風呂に行く時のカゴとかですかね。大きめのエコバッグみたいなものがあると、洗濯物とか着替えとかを運ぶのに便利でした。
入所前にしておけばよかったことで言うと、私はクランクの長さ、ハンドルの幅などに迷走してました。チームパシュートの自転車だったらポジションがしっかり出ていたんですが、競輪の自転車ではそうではなかったので。事前にその辺を定めておければよかったなと思います。
「競輪はクランクが短い方が良い」って言う人が多いんです。私は入所時に170mmを使ってたんですが、みんな「165mmが良いよ！」って勧めてきて、実際周りもみんな165mmを使っていました。でもいざ165mmを使ってみるとちょっと感触が良くなくて、167.5mmをお借りして使ってみたり・・・
結局、3回目の記録会が終わってから「やっぱり170mmが良い！」って170mmに戻ったんですよね（笑）最後まで迷走していました。
Q：これはやっぱり中長距離からのチャレンジならではでしょうか。
短距離の方ならそれほど悩まないでしょうね。中長距離で、さらにタイムトライアル系を走っていたので、競輪とはまったく感じが違います。「165mmが良いよ！」と言われて、それが良いならそれを使いたいな、と思ってしまうので・・・悩みましたね（笑）
文房具のハサミで・・・
養成所でのことで、文通に書き忘れた話をしますね！
養成所生活中、美容師さんが来られたのは1回だけでした。なので女子の候補生同士で、文房具のハサミで髪を切ってました（笑）。男子はバリカンでどうにかなるけど、女子はそうもいかなくて・・・
途中から、髪の毛用のハサミを持ってきてくれる子がいたんですが、それまでは文房具カットでした。卒業してすぐ美容室に行った子、結構多いと思います。
吉川選手と同室だったという内野艶和選手も、卒業後ショートカットになっている。
Q：言われてみれば、内野選手もバッサリ・・・吉川選手も美容室に行きました？
行きました！養成所に入る前は背中の中ほどくらいまでありましたが、在所中にじょじょに短くなり、ついにここまできました。短い方が色々楽なので、これからは短めでいこうかなと思っています。
