専属スタッフだからこその「気づき」
Q:マッサーと理学療法士、お2人の仕事の違いとは・・・・?
中山:僕の仕事は「筋肉の緊張を緩めること」がメインです。ですが選手の感じている痛みが単なる疲れや緊張ではなく、他の筋肉と連動して起こっている場合もあります。そういう時は僕1人では見きれないです。「こういうトレーニングをすると良くなる」ということを教えてくれるのは井上さん。痛みに対するアプローチが僕と井上さんでは全く違います。
井上:理学療法士は病院で働くことが多く、基本的にはリハビリのような仕事を生業としています。本来ある身体能力をきちんと機能させるように様々な方法で患者の身体を診ます。ですから中山先生の仕事とは似て非なることを行っています。病院ではマッサーと理学療法士が揃って同じ患者さんをずっと診つづけることって、ほぼありません。
でも僕たちは1人の対象者を2人のセラピストが継続して診て、多角的な視点を持ってより深く話し合うことが出来ます。例えば「こういう体の使い方をしてるから、ここに痛みが出やすいですよね」とか「休みの日に、あんなことしてたらそりゃ疲れてるよね」とか、そんな話ができるというのは、チーム専属の強みだと思います。病院だとそこまでのことはわかりませんから。
中山:日頃から僕が施術しても治らなかったことが、井上さんの治療で治るということはよくあることで、気づきはすごく多いです。だから僕と井上さんが一緒にいるとひたすら喋っています。ずーーーーーーーーーーーっと仕事の話をしています。
Q:別の角度から見る2人が揃っていることで、気づきがとても多い、ということですね?
中山:はい。そして同じ選手をずっと継続して診ていることは本当に大きい利点です。「先週はこんな感じだったけど、今週に入ってこんな感じに変わったよ」という話もよくします。体の変化をほぼ毎日のように診ているわけですから、やっぱり話は止まらないんです。
Q:先ほど井上さんが語っていたように、チーム専属の強みですね。
中山:そうですね。治療院や病院などと掛け持ちではなく、専属としてずっと診ているからこそだと思います。
「あ、眠たいって言うぞ」
中山:短期間じゃなく、2年、3年と一緒にいますから、何月頃にどんな大会があって、といったような年間のスケジュールもわかりますし、選手1人1人に対して「この人は何時頃に起きて、どんな施術が嫌いで・・・」というようなことも自然に分かってきます。そうするとマッサージをしていても「眠たい」と言う瞬間までわかってきたりします。普通では絶対に気づかないことにも気づけるようになっていると感じます。