東京オリンピック自転車トラック競技の日本代表へ内定した選手は6人。2人1組で行う中長距離種目「マディソン」へ、オムニアム世界女王・梶原悠未選手とペアを組んで挑むのが中村妃智選手だ。
高校時代から自転車トラック競技に打ち込み、選手として、そして日本写真判定の社員としても自転車に関わってきた中村選手。オリンピック代表選手の選考期間中や発表直後の思い、これまでの女子中長距離チームの歩みなど、たっぷりと話を伺った。
※ 日本写真判定株式会社…東京都に本社を置く企業。競輪を初めとした公営競技における写真判定システムの構築を軸とし、自転車競技の選手も複数人所属している。
まずホッとした
Q:オリンピック代表内定の知らせを受けた時、どのような気持ちでしたか?
ホッとしました。喜びより、そっちの方が大きかったですね。
本当ならもっと早く選手内定発表がされるはずだったんです。オリンピックの延期に伴い出場選手の発表も延期されてしまいました。「選考レースをやり直すのか?」ということも頭を巡り、不安がずっと続いていました。「とりあえずこれで決まったんだ」という安心感、ホッとした感じがまず第一でしたね。
Q:周りの反応はどうでしたか?
親は「良かった〜、ようやく落ち着いたね〜」って反応でした。ずっと心配していたみたいです。頻繁に相談とかしていたわけではないんですが、ちょっとした電話の時に「発表いつなの?」と聞かれて「まだわからない・・・」と答えていたり・・・。
会社も喜んでくれましたが、伊豆から出ていないのでまだ直接お話はできていません。地元では市役所に横断幕が出たり、回覧板が回ったりしたらしくて、それで知った友人が連絡をくれたりしました。
Q:4年間頑張ってきましたもんね。
はい。「ようやく来たな」という感じでした。
紆余曲折の選考期間
Q:マディソンの枠を古山稀絵選手と争っていましたが、両者はまったくタイプの違う選手だと思います。選考期間であるシーズン中は、どのように過ごしていたのでしょうか?
シーズン中、みんながワールドカップに行っている時に、私は1人日本に残って練習していました。その際の練習データはすべてクレイグ(・グリフィン中長距離ヘッドコーチ)コーチに送っていました。「このデータ次第でワールドカップ第6戦・カナダ(ミルトン)大会の出場を決める」と言われていたんです。
結果、カナダ戦に出場することになり、カナダでは(古山)稀絵とペアを組んでマディソンを走りました。
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カナダでは「これでダメなら、もうダメだ」と思うくらい自分としても、とても良い感触で走れました。もともと「カナダで優れた走りをした方が世界選手権を走る」と言われており、その結果、世界選手権へ出場することができました。
そこから世界選手権までは良い調子を保てていたのですが、世界選手権本番ではポイント周回前の交代が出来ずにミスを犯しました。そのミスがめちゃめちゃキツくて、大打撃でした。
「マディソンのオリンピック選考基準がどうなるのかわからない」ということもありましたし、不安が続いていました。