勝てないのは、マインドの問題
思い込んでしまっている部分がある
「競輪」と「ケイリン」、どちらが得意なんですか？
どっちがというのはないですけど、競輪の方はやっぱり常に「負けられない」という気持ちで走っています。競技のケイリンは、自分の中で勝手に国内よりもハードルが高いものと思ってしまっている部分が多少あるので、そこらへんは難しいですね。
メンタル的にケイリンへ対し萎縮してしまっているんじゃないか？って思います。結果も出てないから、そう思い込んでしまっている部分もありますね。ブノワ監督とも話しましたけど、彼も同じくマインドの問題だろうと言っていました。
なるほど。競技で外国人選手に注目は？と聞くと、確実に新田さんの名前が出てきますけど？
それは日本の競輪を見てるからでしょうね。
結果が出始めてわかったこと
ブノワさんが短距離の監督になってから、自分の能力が上がった実感はありますか？
100％というか、全部上がったかはわからないですね。彼の教えていることは、僕が海外でトレーニングしていたことと同じ部分もあるんですよ。海外では当たり前の、目的に合わせたトレーニングだとは実感しています。
トレーニングはどこに照準を絞り、どのレースへ合わせていくのかが凄く重要。ブノワ監督がきて最初に「苦しい時も大変な時もあると思うけど、とりあえず耐えてくれ」って言われた時には、何を目的とするのか、うまく解釈できない時もありました。言っていることは理解していたんですけど、結果に出なくて歯がゆさを感じてたというか・・・・でも、結果が安定して出始めたんで、自分の中で理解は深まってきてはいます。
ブノワ監督からレース直前に差し出される道標
今は、信頼関係が十分に築けてると言えますか？
レースでは僕らは凄いプレッシャーの中で戦わなきゃいけない。選手が正しい道を選べるか？という時に道標を作ってくれる。しかも良い道を作ってくれるので、レース直前とかはすごい信頼していますね。
2017-2018 トラックワールドカップ第1戦
また、ブノワ監督の精神論は凄いですよ。あーだこーだ精神論を言ったりするんですけど、「なるほどな」と理解できるし、戦っていく中で「確かにそれは必要なことだ」って思えることを言ってくれますね。僕はそれを理解することによって、自分が戦える状態を作れているのでは、と感じています。まだまだお互いを知って日が浅いので、これからもっと信頼関係を築いていければと思っています。
ある程度イケれば、もうそれでイケる
新田選手の自分の性格を一言で言ったらどんな感じですか？
うーん、一言で言ったら…「雑」（笑）
器用ではないですし、細かいことを気にしないんで、神経質ではないですね。まあ飛行機とかでグワーってなり始めたら1番緊張しますけど（笑）
レースで失敗しても基本的に死ぬことはないから、自分のパワーを最大限に出すことだけに集中し、出せなかったら「しょうがない」、出せれば「良かった」って思えてしまいますね。
こんな性格なので、海外の大会でも何かのきっかけで強くなれる可能性があると思っています。安定してずーっとタイムが出せるとか、強い相手にいきなり勝ち続けることで自信がつけば、たぶん勝ち方がわかってくるんですよ。
デニス（・ドミトリエフ）とかも多分そうですよ。強いけど、ずっと勝てない時期がありました。でも１度メダルを獲り始めたら、ずーっとメダルを獲り続けていますよね。ずっと世界トップでいるっていう。獲り方というか勝ち方っていうのがあると思うので、そこまでいければ戦えるみたいな。
なるほど。そこハマればメチャクチャ強そうですね。だから、1回、メダルを獲るまでが問題ってことですよね。
そうですね。僕はいつも時間かかっちゃうんで。
競輪もそう（笑）ある程度イケれば、もうそれでイケるんですけど、獲るまでが時間かかる（笑）
情熱の炎
一度ハマれば絶対的に強い。それは新田選手がこれまでに競輪で積み上げている結果を見れば、事実と言える事だろう。これから始まるトラックワールドカップで、新田選手がハマる瞬間を我々日本人は目の当たりにするかもしれない。そこからどうなるか？それは、言わずもがな。
オリンピックでのメダル獲得へ向け、新田選手が燃やし続ける情熱の炎は、周囲の選手、そして日本人全てにとっても道標の灯りなのだ。
新田選手が代表を務めるDream Seekerのテーマソング、自身もMVに登場するBIGZAM“I Got a Dream”の一節には「だから一人じゃねぇだろ 共に行こう 目指すは大東京 数年後夢に向かい浴びるシャンパンファイト」とある。
バンクの上で選手は一人で戦う。だが、それは一人きりの戦いではないはずだ。新田選手が幼き頃に感じた喜びを分かち合うために、共に応援し、戦おうではないか。
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