二度と歩く事は出来ない、それが事実

「もう永遠に自分ひとりの力で歩くことはできません。それが事実です。10年後、15年後に医療が発達すればもしかしたら?かもしれませんが、今の医療では私は二度と歩けないと言われています。補助義足みたいな物で歩けるかもしれませんが、それには胸から下を強くしなければいけません。それが2年は掛かると言われています。もう自分だけの力で、自らの足で歩ける日は来ないんです。」

ショッキングな内容とは裏腹に、彼女の表情は柔らかかった。自らの境遇を受け入れ、前へ進もうとする、強い瞳であった。その強さをたたえる表情と同様に、車椅子姿のフォーゲルも本物だった。フォーゲルは二度と自転車に乗れない、試合に出ることは出来ない。それが事実だった。

「事故の瞬間は全然覚えてないんです。落車の前のことは覚えています。グラボッシュチームスプリントの練習をしていました。彼女が前、私が後ろで彼女が先頭交代をした瞬間から真っ暗です。次に覚えているのは、私はトラックの上、コンクリートの上に横たわっていて、何が起こったのか、誰が近くにいるのか、自分に何が起きているのかと考えましたが、落車の瞬間は何もありません。ただ真っ暗になっただけです。その後はコトブスの病院に行きましたが、その病院では対応できないと分かったため、現在もいるベルリンの病院へ搬送されました。この病院は神経外科、神経に障害を持っている人へ特化した病院なんです。その時誰が判断したのか知りませんが、その判断が良かったです。ここには私のように下半身が動かなくなった人たち用の施設があります。この病院は私のような人を扱うのに長けていますし、ここで手術が受けられて良かったと思っています。」

長い入院生活