中長距離からガールズケイリンへ

2/2 Page

「ナショナル時代に培った貯金が無くなってきた」

Q:時間が限られる中、トレーニングはどのように行っていますか?

「ナショナル時代に培った貯金が無くなってきた」と思い、今年に入ってからしっかり練習しています。

その甲斐もあってか6月のパールカップごろには調子も上がって、今年の中盤はすごく良い感じでした。それでもナショナルにいたときのパワーや筋肉が落ちてる感覚は、すごくあります。フィジカル的にも落ちてるし、踏めるギアも落ちている。もうそろそろウェイトもしないといかんなと……落車もしてしまったのでゆっくりやっていきますが、来年は今年よりしっかり練習して、走れていた頃まで戻せたらと思います。

来年はとにかく練習、体づくり。調子のことは二の次にするくらいの気持ちでフィジカルを上げることに専念したいと思います。

Q:この2年半で現ナマは増えていったけれど、アスリートとしての貯金は減っていったということですね。

そうです(笑)そろそろヤバいなと思います。ナショナルチームに居た時のように身体を作っていかないと(汗)

TISSOT UCI TRACK CYCLING WORLD CUP IV, Cambridge, New Zealand, 吉川美穂

Q:トレーニングはどのようにやっていくつもりですか?

今はまだ考え中です。行けるならロードにも行ったほうが良いと思っています。でもロードに行く気がどうしても起きなくて……10何年やってたらもう嫌になっちゃったってことですかね?ロードを走っていた頃は1人で120kmとか行ってたのですが。なんのモチベーションでそんなに行けていたのか……

老後を安心して過ごしたい

Q:では、今の吉川選手のモチベーションは?

家と猫です。うちの猫はとにかく可愛い!世界で一番可愛い!猫のために競輪してるようなもんです。

Q:家はもう建ってるんですよね?

はい、でもローンなので。競輪はいつ何が起こって走れなくなるかわかりませんから、払えるうちに払って完済したいです。

Q:では、ローンを返し終わった時の次のモチベーションは何になるんでしょう?

う〜ん……老後をなんの心配もなく過ごしたい、ですね。だから老後への投資……?

Q:現実的(笑)

だって競輪という職業に就いてしまった以上、普通の仕事はもうできないですよ。私の働いた経験といえば、自転車屋さんで半日働いて半日練習していた経験のみ。フルタイムなんて到底無理です。

そういうことも踏まえて、老後に向けた投資ですね。稼いで、稼いで、稼ぎまくって……老後に楽をする。

吉川美穂, ALL GIRL’S 10th Anniversary, 平塚競輪場

Q:競輪選手として生きてきて、この職業はお勧めできますか?

自分自身には、とてもお勧めできます。他の人には半々。

1回の開催で最低でも手取り20万円くらい貰えますし、それが月2回あるなら単純計算で月収40万円。年にしたら480万円を手取りで貰えるというのは、良い話ですよね?でもこれは末着(ビリ)の値段で、これを1年半やっていたらクビになります。

例えば養成所を出てから1年半、合計600万円くらい稼いでクビになったとして、そこから先で、できる仕事がどれだけあるのか?見つかれば良いですけれど、そういう面を踏まえると「ギリギリ受かるレベルの人」にはお勧めできないです。

また年に何回も落車する人もいますが、それもそれで選手生命が短くなりそう。将来あちこち悪くなるんじゃないかと思いますから、そういう人にもあまりお勧めできない……と思います。

Q:更に現実的ですね。

自分自身、競技をやっていた頃に比べて年収が10倍になっています。そういう点では夢があるし、やってよかったと思います。でも前述したようなことがあるので、自分のフィジカルに自信のある人にはお勧めできる、という感じですね。「めっちゃええで!」って手放しにお勧めはできないです。

いざガールズグランプリ2023へ

Q:デビューから2年半でガールズグランプリ出場。スピード出世ですが、いかがですか?

尾方の真生ちゃんの方が1年早くグランプリに出てるので「スピード出世……かなあ……?」って感じですね。

Q:ガールズグランプリ2023のメンバーを見てどのように感じますか?人気が割れる分プレッシャーは軽いと思いますが。

プレッシャーがなくてやりやすいのはあるかもしれないです。例えばサマーナイトでは良い緊張感はあったのですが、普通の開催みたいな「これ負けられへん……」って感じがなく、ちょっと気楽でした。

トップレベルまでいけば、私は「自在系でちょっと厄介だなあ」くらいはあるかもしれないけれど、基本的に見られない。やりやすくなるかな?そんな気はします。

Q:改めて、初のガールズグランプリへの抱負を聞かせてください。

最近の私の競走を見ているみなさんには「ちょっともう無理なんじゃないかな」と思われてると思います。そこを大穴開けたいですね。優勝したら特大の大穴だと思いますから!

調子を上げて、狙いに行きます。

その他選手のインタビューはこちら