個々の戦いだからこその難しさ
Q:ガールズグランプリではすでに3連覇していて、やり切っちゃった感とかはあったりするんでしょうか?
自分の気持ちが今、よくわからないんです。いろんなところに目が向いちゃっているから、そういう感情になってるのかなとも思います。グランプリが近づいているのに焦りもない……でも、グランプリを3連覇した頃も1年の間に気持ちが頻繁に動きました。「次何をすれば良いかわからない」みたいないろんな悩みが出てきていました。
特にガールズケイリンは個々の戦いです。「ラインのために」「誰かのために」がなくて、難しいなと思います。同門だろうが仲の良い選手だろうが、結局は個人戦ですから。
Q:今は次のモチベーションを探しているところというわけですね。
そうですね、難しいです。
Q:他のところにトレーニングに行くというのも難しそうですね。
そうなんですよ。だから久米詩選手はすごいなって思います。ナショナルチームではないのに、そこにトレーニングしにいってるわけですから、なかなかできないメンタルです。
まだ慣れない?ガールズグランプリ
Q:次は児玉選手にとって8回目のガールズグランプリです。3回勝っていますし、慣れなどありますか?
それが、慣れないんですよ。やっぱり最高峰のレースということもあって応援してくれるお客さんの人数、声援の圧も違います。毎年毎年「グランプリは違う」と思い知らされますし、慣れません。緊張もします。
そして何より一番賞金がもらえるレースです。獲りたい気持ちはすごくあります。逆にそういう気持ちを持ち過ぎて空回りしてしまうこともあるのですが……
Q:過去3回グランプリで優勝して、ドバッと賞金が入りますよね。でも確定申告とかがあるから、使えるのはすごく短い時間ですよね?
そうなんですよ。私はレース前にお金を使っちゃうようにしてます。「獲るつもりで使う」んですよ(笑)お金は使わないと入ってこないので!
Q:それだけで覚悟が変わってきそうですね(笑)
ギャンブルですよ、ギャンブル。
金銭感覚は案の定……
Q:金銭感覚についてお伺いしたいです。日本国民の平均年収を軽く上回る児玉選手ですが、金銭感覚が壊れてきたりしませんか?
壊れてきています。値段を見ないです!
(小林)莉子さんに「布団とかベッドシーツとか洗わないの?」って聞かれた時に「洗わないよ、買い換える」って言ったら「は?」って返されて。その時に「あ、私ヤバいんだ」って思いました(笑)
Q:それはいつ頃の話?
デビューして2、3年くらいの頃ですね。今は洗うようになりましたよ!
Q:まあシルクの高級品とかでなければまだ……
でもシルクの時もありましたね、気分で選んでたんで。「部屋にこの色入れたいな〜、あ、シルクのがあるからこれにしよ」みたいな。
Q:感覚が壊れてますねえ(笑)!
洗っちゃうとなんだかいらなくなっちゃって……クッションとか、カバー類はそんな感じでした。
Q:ガールズグランプリで3回勝っていますが、その中で一番嬉しかったのはどの勝利でしょうか?
嬉しかったのはやっぱり一番最初です。獲れると言われていたけれどなかなか獲れなくて、2018年にやっと。その年はオールスターと競輪祭も優勝しましたが、優勝賞金の金額はそれらとだいぶ違いました。500万円いただいて、ウキウキしながら帰りました。やっぱり最初は浮かれましたね。1日で500万円ですから、本当に良い世界です。
ガールズを盛り上げていきたい
Q:以前テレビでガールズの盛り上げをしていきたいという話をしていましたが、デビューからここまでで盛り上がってきた感じはしますか?
感じます。オールガールズクラシックのような全員女子のレースが行われたり、G1タイトルができたり。オールガールズでは目標の売り上げ金額を大幅に超えることができましたし、「男子のついで」ではなく女子だけのためにたくさんのお客さんが来てくれました。
私も4期生なので「最初」を知ってる立場ではありませんが、オールガールズの成果を見て「やっとスタートラインに立った」という思いです。いよいよここまで来たな、と思いました。
Q:感慨深かったですか?
はい。それにオールガールズの時は、みんながその日その日の売り上げを気にしていました。そういう意識を女子選手それぞれが持っていて、ちゃんとみんなが「盛り上げたい」と思っている。私自身もです。
Q:あとは選手が増えたらもっと良いですよね。
そうですね。男子は毎年70人くらいに対して、女子は20人くらいしか入りません。受験したいと思う女子をもっと増やすためにも、ガールズケイリン選手が「夢のある職業」ということを伝えられたらと思います。たぶんみんな知らないんですよ。広めたい、宣伝したいです。
Q:個人としても頑張ってPRされていますよね。
そうです、頑張っています。「お金お金!」っていうのもそのためです(笑)
いざガールズグランプリ2023へ
Q:改めて、ガールズグランプリへの抱負を聞かせてください。
去年は落車してゴールもできず「この1年なんやったんやろな」という気持ちで終わりました。身体的な痛みよりも、走りきれなかった悔しさの方が大きかったです。今年はそういうことなく無事にゴールしたいのが一つ。
そしてやっぱり、走るからには優勝したい。現役でいる限りはトップで走り続けたい。競輪祭は本当に不甲斐ない走りで終わってしまったので、優勝目指してがんばります!