2023年5月、日本選手権競輪(競輪ダービー)内で開催されたガールズケイリンコレクションで優勝。そして7月のサマーナイトフェスティバル内で開催されたガールズケイリンフェスティバルでも優勝し、ビッグレースを席巻した久米詩。この1年を振り返って「競輪選手になって一番の充実の年」と語る。

そして次の舞台は年末のガールズグランプリ。初出場となるグランプリを前にした、久米のパーソナルに迫る。

久米詩プロフィール

高校までは硬式テニス部。日本競輪選手養成所の講師である父の影響で高校卒業後にガールズケイリンの道へ。

2019年 プロデビュー
2022年 自転車競技開始
2023年1月 ガールズケイリン100勝達成
2023年5月 ガールズケイリンコレクション(平塚)優勝
2023年7月 ガールズケイリンフェスティバル(函館)優勝

「競輪選手になって一番」の充実感

久米詩, サマーナイトフェスティバル(G2), 函館競輪場

Q:2023年の1年間、すごく勝っていたイメージです。充実感はどうですか?

充実感しかなかったです。ずっと競輪に集中してて、それ以外に何をやったっけ?って感じ。もちろんトレーニングが詰まって疲れやしんどさはありますが、レースに行って勝てる楽しさももちろんありました。楽しい&しんどいながらも充実した1年だったと思います。

Q:「競輪選手になって一番」くらいの充実感でしょうか?

一番充実してました。成績もそうですが、充実度が1年通して過去一番だったと思います。

Q:それを24歳の若さで言えちゃうのがすごいことですよね。

去年までよくわかんない生活していたのもありますけどね(笑)

Q:注目されるようにもなったと思います。競輪選手になって良かったと感じますか?

注目してもらえるのはありがたいです。もっと競輪自体が広まっていってほしいなとも思います。でもそこらへんにあまり大きな期待をしているわけではないというか……「取材とかしてほしいから、もっと頑張る」というモチベーションではないですね。

自分自身がこの生活に満足している、ということが大きいと思います。

Q:今好きな漫画とか、ハマっていることとかはありますか?

全然ないんです。ヤバいですよね。トレーニングやってると無理なんですよ。

時間は捻り出せばあるのですが、疲れちゃって家から出たくないんです。最近はイベントに出たり収録があったりで、移動で疲れちゃったり……元から趣味がない方なので、別に良いっちゃいいんですけど。

ナショナルチームの緊張感

久米詩, JPCA, 女子エリート, ケイリン, 決勝, 2023全日本選手権トラック, 伊豆ベロドローム

Q:ナショナルチームと一緒に練習するようになったのは2022年の秋くらいだったと思いますが、間違いないでしょうか?

9月10月くらいだったと思います。全日本選手権が終わって、1ヶ月くらい開いたのかな……だから今、1年くらい経過したことになります。

Q:ナショナルの練習は、どのようなところが久米選手にとって良いですか?

トレーニングは1人でやる良さもありますが、グループでやる良さもあります。ナショナルチームと一緒に練習することで緊張感もありますし……みんな強いので勝手に緊張するんですよね(笑)迷惑をかけられないから、という緊張感も良い要素になっています。

太田りゆ, TEAM BRIDGESTONE Cycling, 久米詩, JPCA, 準決勝, 女子エリート, スプリント, 2023全日本選手権トラック, 伊豆ベロドローム

2023全日本選手権トラックにて

Q:だからといって国際舞台を切望している、というスタンスでもないですよね?強くなりたいからあの環境にいる選択をしている、と捉えていますが。

最初はそうでした。でも今は国際大会などでも結果を残したいと思うようになりました。

Q:JICF インターナショナルトラックカップ(11月に実施)ではケイリンで優勝されましたね。見事な逃げ切りでした。

いやいやいや、展開ですよ(笑)でも嬉しかったです。

負ける恥ずかしさと戦いながら

久米詩, JPCA, 準決勝, 女子エリート, スプリント, 2023全日本選手権トラック, 伊豆ベロドローム

Q:全日本選手権などにも出場されています。結果はなかなか厳しいものだったかと思いますが、女子選手があの場にいてくれるだけで嬉しいという気持ちもあります。

そもそも母数が少ないですもんね。全日本選手権などは特殊な環境だと思います。全日本のケイリンとスプリントでは、まだ結果を出せていません。

佐藤水菜, Team Rakuten K Dreams, 太田りゆ, TEAM BRIDGESTONE Cycling, 梅川風子, Team Rakuten K Dreams, 久米詩, JPCA, 小原乃亜, 八戸学院大学, 中村友紀子, 京浜ピストクラブ, 女子エリート, ケイリン, 決勝, 2023全日本選手権トラック, 伊豆ベロドローム

会場のお客さんもどうしても前を見るから、負けた選手のことなんか大して注目していないと思いますが、でも感覚としては負けた恥ずかしさの方が大きいんです。そういうこともあって、ちょっと競技の楽しさが薄れている部分もありました。

でも今は、それも成長の過程として良い感情だなと思っています。

Q:けいりんマルシェで掲載されていたコラムもそうですが、久米選手って自分の感情を言葉にするのが上手ですよね。

そうですか?でもめちゃめちゃ添削されてましたよ(笑)

生で観た東京2020

Q:競技をやってみて、「オリンピック」への魅力は感じますか?

魅力は感じます。羨ましいなと思いますし、東京2020オリンピックは会場で観戦して、すごくかっこよかったです。スポーツで「世界一」といえばオリンピック。知識があまりないが故ですが「世界一、オリンピック」という憧れがあります。

Q:死ぬほど努力した先の舞台ですもんね。出ていた選手たちも、そう思ってもらえて本望かもしれません。

そうですよね。それから、例えば自分が後輩に何か教える立場になった時に「オリンピアン」という肩書きってとても良いなと思います。説得力があります。

実際、競輪選手とすれば条件が悪すぎるチャレンジだとは思います。本当に「名誉のためだけ」の場所ですから。

Q:では、もしガールズグランプリで勝てば「日本一」となります。そうしたら「次は世界を」という気持ちになるんでしょうか?

タイトルを総ナメしたい気持ちもあるけど……なんとなく競技寄りになりそうな気はしますね。でも流れに身を任せてます。最近の私の座右の銘なんですよ、「なるようになる」。

久米詩(JPN), イェン・チョーユ 楊礎搖 YEUNG Cho Yiu(HKG), Final 1-6, Women Elite Keirin, 2023 Japan Track Cup Ⅰ

人生に求めるものは何?

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